A…早稲田合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
1 | 問1 B 問2 A 問3 A 問4 B 問5 B |
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2 | 問1 B 問2 A 問3 B 問4 A 問5 A |
3 | 問1 B 問2 A 問3 A 問4 B 問5 C |
4 | 問1 B 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A |
2018年度の早稲田は、例年通り、基本的知識と論理的な思考力を問う問題が中心でした。難易度も例年並みです。
物理分野の問題は、棒を格子に組んだ面のつり合いの問題。
生物分野の問題は、食物連鎖と生態系の変化についての問題。
化学分野の問題は、固体の分類の問題。
地学分野の問題は、空気の対流と季節風についての問題。
物理分野は、本年も力のつり合いの問題でした。
化学分野は、実験を通して物質を分類する問題で、良く出される形式ですから、しっかり対策をしておきましょう。
見慣れない問題であっても、特別な知識は必要ありません。手がかりとなる部分があるので、どうしてそうなるのかを確認しながら、解き進むとよいしょう。
問題構成は、4分野から大問4題、小問28問。
解答形式は、記号選択が21問、数字が4問、言語が1問、作図が1問、記述が1問。
選択肢は、化学の正誤問題でやや迷うところがありました。
数字は、力のつり合いの計算で、煩雑なものではありません。
言語は、発生する気体の名を書くもので、基本の知識です。
作図は、おもりの位置を書き入れるものでした。
記述は、15字以内の字数指定がありましたが、特別な知識が無くても、対応できる根本的な内容でした。
理科は30分40点満点と、時間的に余裕がない中では、いかに論理的に考え、素早く判断出来るかがポイントとなります。
(物理)棒を格子に組んだ面のつり合いの問題です。
棒のつり合いの考え方を発展させて、格子を組んだ平面のつり合いについて考えます。
解き方を知らなくても、問1~3を手がかりにして、考えることができます。
図1の糸Bは棒Bを支えているので、50gのおもり2個分の重さがかかります。50×2=100(g)
つまり、棒Bの50gのおもり2つを、100gのおもり1つに置き換えることができることがわかります。
棒Aのつり合いを考えます。
左回りのはたらき=(Mの重さ)×50
右回りのはたらき=100×40+60×50=7000
左回りのはたらき=右回りのはたらき より、Mの重さ=140(g)
棒Bを90°回転させても、糸Bにかかる力は100gのままです。
また、新たなおもりの重さは、140+60=200(g)です。
棒Aのつり合いの式は、200×(糸Aから新たなおもりまでの距離)=100×40
糸Aから新たなおもりまでの距離=20(㎝)
問1~3の考え方を手がかりにします。
B9とH9のおもりを、1店に置き換えます。おもりの重さの比がB9:H9=50:100=1:2なので、逆比の2:1の位置(F9)が置き換える点です。置き換えるおもりの重さは、150g(50+100)です。
E5を支点として、F9の150gとつり合わせるには、D1に150gのおもりをつるせばよいことがわかります。
B6とH9を結ぶ線を引き、問4と同様に考えます。
B6の120gとH9の60gは、D7の180gに置き換えることができます。
これとつり合わせるためにおもりを1つ下げるとき、「F3に180g」か、「G1に90g」の2通りが考えられます。いま、おもりの重さは100g以下とあるので、「G1に90g」が答えです。
(生物)食物連鎖と生態系の変化についての問題です。
食物連鎖による個体数ピラミッドのバランスは、一時的な変化であれば、また元の個体数に回復することができると学んできました。しかし、外来種や温暖化による気候の変化は、このバランスを大きく変え、破壊することもあります。題材は取り組みにくいように感じるかもしれませんが、基本の知識があれば、十分対応できます。
例の食物連鎖は、「植物→草食動物→肉食動物(小型)→肉食動物(中型)→肉食動物(大型)」の順になっています。
これを池の生態系にあてはめると、「イカダモ→ミジンコ→メダカ→アメリカザリガニ→サギ」の順になります。
土の中には、植物が育つための養分が含まれています。これが海に流れ出ると、海の植物プランクトンの養分となります。
文中から、「ミズナギドリ→ネコ」の関係がわかります。また、ネコはネズミを食べるので、「ネズミ→ネコ」の関係です。ネコがいなくなると、ネズミが増え、その結果、ミズナギドリが減ったことになります。その原因は、①ネズミがミズナギドリのえさを食べてしまった。②ネズミがミズナギドリを食べてしまった。のどちらかだと考えられます。ミズナギドリは海鳥で、魚などを食べることから、①は当てはまりません。
オオサンショウウオ・アユ・トキ・ウナギは在来種、マングーズ・ブラックバスが外来種です。
二酸化炭素が増加すると、温暖化が進んで、海水温が高くなります。
海水温は赤道に近いほど高いので、海水温の上昇が起きると、サンゴに適した海水温の地域が北上すると考えられます。
(化学)固体の分類に関する問題。
6種類の粉末を、実験を通して分類します。どの実験も基礎的なもので、結果もよく知っていることがらですが、パズル的な煩雑さがあり、論理的な思考が試されます。
ろ液(あ)に溶けているのは、水に溶け、再結晶が可能な食塩(b)です。
水に溶けず、水酸化ナトリウム水溶液に溶ける物質は、アルミニウム(a)です。
水にも水酸化ナトリウム水溶液にも溶けない物質は、鉄と銅と石灰石です。このうち塩酸に溶けて、水素以外の気体を発生させるのは、石灰石(e)だけです。
気体Wは水素、気体Xは二酸化炭素です。取り違えないように注意しましょう。
選択肢がヒントとなっています。
「水にとける」のは、食塩・さとうで、水溶液となります。
「塩酸にとける」は、水素を出してとけるアルミニウム・鉄、二酸化炭素を出してとける石灰石、塩酸の溶媒の水にとける食塩・さとうの3通りが考えられます。
「水酸化ナトリウム水溶液にとける」は、水素を出してとけるアルミニウム、水酸化ナトリウム水溶液の溶媒の水にとける食塩・さとうの2通りが考えられます。
YでとけずにZにとける物質が2種類(鉄と石灰石)あることから、Zが塩酸で、Yが水酸化ナトリウム水溶液であるとわかります。
操作⑤で水酸化ナトリウム水溶液にとけた物質は、水素を発生するアルミニウムと、再結晶が可能な食塩です。また、操作⑦でとけた物質は、水素を発生する鉄と、二酸化炭素を発生する石灰石です。沈殿(く)は、塩酸にも水酸化ナトリウム水溶液にもとけない銅です。
以上より、混合物Aにはa・b・eが、混合物Bにはa・b・c・d・eが含まれていることになります。
→合否を分けた一題参照。
(地学)空気の対流と季節風についての問題。
海風・陸風が吹くメカニズムから、日本付近を吹く季節風について考えます。
基本の知識と、根本原理をおさえていれば、答えることができる問題です。
「日中の温まりやすさや夜間の冷めやすさ」の違いを確かめる実験ですから、実験を始める前に、温度を均一にしておく必要があります。
白熱電球の光によって、水そう内の砂や水があたためられ温度が上がります。このとき、水よりも砂の方があたたまりやすく温度が高くなり、砂に接したところの空気の方が軽くなって上昇するので、ここに水に接したところの空気が流れ込みます。
白熱電球を消すと、水そう内の温度が下がります。このとき、砂の方が冷めやすいため、水に接している空気の方が軽くなって上昇し、砂の方から空気が流れ込みます。この現象は、夜に陸風が吹くメカニズムと同じです。
海辺の陸と海を、大陸と海洋に置き換えて考えると、日差しの多い夏は海岸の日中、日差しの少ない冬は海岸の夜間と同じになります。
したがって、夏の風は白熱電球を30分間照らしたときのようすを観察すればよいことになります。
夏に温度が高い大陸の空気は軽くなって、上昇気流が発生することから、大陸に低気圧が、海洋に高気圧ができます。風は高気圧から低気圧から吹くので、ウを選びます。
操作の順番を考えることは、パズルを解くような難しさがあります。
典型的な操作ばかりでも、きちんと整理考えてしていかなければ、手がかりを見失ってしまします。
実験で生じたろ液と沈殿について、どの物質が含まれているかを、くまなく確認することが、大切です。
(1)共通した物質は、アルミニウム・食塩・石灰石です。→×
(2)「物質のすべてがとけ」ることから、操作⑤で加えた水酸化ナトリウム水溶液や、⑦で加えた塩酸は余っていると考えてよいでしょう。
ろ液(お)は、水酸化ナトリウム・テトラヒドロキシアルミン酸ナトリウム(とけたアルミニウムが変化したもの)・食塩の水溶液で、アルカリ性です。
ろ液(き)は、塩化水素・塩化鉄・二酸化炭素・塩化カルシウムの水溶液で、酸性です。
どちらもBTB溶液の色は変化します。→×
(3)操作⑤で塩酸を加えると、アルミニウム・食塩・鉄・石灰石の4種類がとけます。→×
(4)操作⑦では、鉄が溶けて水素が、石灰石がとけて二酸化炭素が発生します。→〇
(5)YとZを蒸発皿に入れると、中和反応により食塩水ができます。これを加熱すると、少なくとも食塩の結晶は出てきます。もし、水酸化ナトリウム水溶液が余っていれば、水酸化ナトリウムの結晶も出てきます。また、Yを加熱しても、水酸化ナトリウムの結晶が出てきます。→×