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国語の合否を分けた一題

早稲田中入試対策・国語の合否を分けた一題(2018年度)

難易度分類

問一 B 問二 A 問三① A ② A  問四 B 問五 A 問六 C 問七 B 
問一a B b A c B 問二 B 問三 B 問四 B 問五 A 問六 A 問七 B 問八 A 問九 A

A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題

問題総評

今年度の早稲田中学は大問二つの構成となっており、例年通りの出題でした。大問一は、戦後を舞台にした物語文が使用されており、今の感覚では読みづらい文章でした。早稲田中学らしい文章の選択といえます。大問二は打って変わって現代がテーマの論説文でした。二者択一批判の文章でした。どちらの文章問題も、難度の高い問いが含まれています。落としてはいけいない問いをいかに落とさず、難問をいくつ拾うか。そんな点の取り方が求められます。

問題別寸評

問一

態度を表す言葉
線部の近くに答えのないぬき出し問題でした。さらに語彙力も必要とされるため、差がつく問いと考えます。

問二

空欄補充
語彙力が求められる問いですが、続く内容から割と容易に判断できるものです。

問三①

指示語
直前の内容から簡単に答えが選べます。

問三②

主人公の気持ち
母親に対して怒っていることが読み取れれば、答えは選べます。

問四

行動の理由
直後の「今日は困る!」の内容を正確に読み取る問いです。いつもは食事に誘われたらご馳走になっていくのに、今日は急いで立ち去ったのは、もちろん怒って家から出てきたことと関係します。そのことと食事に関係のある選択肢を選びます。

問五

普段の父の態度
父に関することが書いてある部分から、解答欄の「いつも~ままの父親」に当てはまる言葉を、三字で探します。「まま」が本文中にあるので、正解したいところです

問六

線部の換言 記述
後ほど、合否を分けた一題でくわしく説明します。

問七

線部から読み取れる主人公の説明
直後に書かれた夢の内容をしっかり読んだうえで、問いにあるように、「本文全体をふまえて」考える問いです。主人公は自分の価値観が母を中心とした周りの人と違うことに苦しんでいるのが本文全体の内容です。隣の子どもたちはこれとは少しずれています。また、楽しんでいるというのも読み取れません。易しくはありませんが、本文の主題ですので、正解してほしい問いです。

問一

漢字の書き取り
a「憎」が中学生配当の漢字ですので少し厳しいでしょうが、「憎む」という表現は何度も見てきたことと思います。「悪」は間違えやすい漢字ですが、しっかり覚えて受験をむかえてください。 b訓読みが複数ある「交」でした。 c「克」も中学生配当の漢字です。早稲田中学は小学生配当の漢字以外も出題されることを意識しておいてください。

問二

脱文挿入
脱文の「いじめはなくせます。」がとても強い表現だと感じ取れたら、挿入場所にたどり着けます。本文の「あえて言いたいと思います。」の直後があえて言うほどの内容ではないことも、ヒントになると思います。脱文挿入は時間がかかるのですが、今回は読んでいるときに違和感を抱けるかが、正解不正解の大きな差になりました。

問三

空欄補充
線部から遠いところに答えがあるぬき出し問題ですが、三つの空欄の直後に必ずある「<自由>への欲望」の類義語を探せば、本文冒頭部分にある答えにたどり着けます。

問四

線部と言える点
直後に答えの要素となる「あっち、どっちが正しいか?」があります。このまま使ってもよいですが、早稲田中学の記述は字数が大変少ないので、換言が必要です。さらに続きを読むと、「どっちかが絶対に正しいわけじゃない」とあります。最後に解答用紙にある「問い手に~ところ」に合う表現を加えることで答えが完成します。高度な記述力が求められる問いです。しかし、△は死守してほしいです。

問五

空欄補充
本文の主題です。二者択一以外の道もあるということを読み取れていれば、正解が選べる問いです。

問六

空欄補充
直後の「ムカついて」を丁寧に追っていけば、必ず見つかる問いです。落とせないぬき出しです。

問七

「一般化のワナ」だと考えられる理由
直前のチャンピオンや社長さんのいう一握りの人間だけの意見であるということに気づけば、正解が選べます。

問八

いじめをなくす方法
最後の段落に答えが書いてあります。落とせない問いです。

問九

段落構成
2段落の冒頭で「この問いに答える前に・・・ちょっとだけふれさせてください。」とあります。つまり2段落は本筋から離れたことを言っているのです。この点に気づけば、それほど悩まず答えが選べます。

合否を分けた1題

今回は大問1の問六を合否を分けた一題に取り上げたいと思います。
早稲田中学特有の、狭い字数幅の中に、多くの要素を入れ込む記述です。短くまとめたり、言い換えたりする力が試されています。

問六 線部の換言 記述

傍線部5「若布にはなれん。また流れに逆らって立ってる棒杭になってしもうた」とありますが、それはどういうことですか。「若布」、「棒杭」がそれぞれ誰のどういう態度を表しているかを明らかにしつつ、三十字以上三十五字以内で書きなさい。

解き方の手順

まず、「棒杭」が誰のどのような態度を指しているのかを確かめます。

本文を引用します。
戦争中の自分は川の中に立っている棒杭のような感じがしていた。最初は川の流れがゆるやかだった。でも、戦争が始まってから、どんどん流れが早くなり、棒杭はなんとか流されないように立っているのが精一杯だった。ところが、終戦の詔勅の日に激流が急にピタッと止まったかと思うと、こんどは流れが百八十度逆になった。

「某杭」はH自身のことであり、戦争という時代の流れに翻弄されながらも、決して自分を変えることはなかったという態度が読み取れます。
ポイントは「流れ」をどう自分の言葉で換言するかです。

次に「若布」が誰のどのような態度を示しているかを確かめます。

本文を引用します。
Hは、人々がこれからどうするのかと見ていたら、見事に流れに従ったのだ。それはHが海に潜っていたときに見た若布のようだった。若布は、潮の流れに逆らわないで揺れていた。でも、根っこは岩についていた。若布のように生きたほうが自然なのかもしれなかった。

「和布」は「人々」のことです。これを「世の人々」のように意味をはっきりさせます。また、「流れに従った」ということは、時代の流れに上手く合わせたなどと換言します。

最後に、問いの中心部分「どういうこと」にかかります。「どういうこと」とは、傍線部を換言しなさいということです。
「和布にはなれん。また流れに逆らって立ってる棒杭になってしもうた」
これに、先に上げた二つの換言を代入して完成です。

世の人々の時代の流れに合わせた生き方が、自分を変えることのできない自分にはできなかったこと。(48字)
これを、35字以内にさらに言い換えます。
世の人々は時代の流れに合わせたが、自分にその生き方はできなかったこと。(35字)

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