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国語の合否を分けた一題

早稲田中入試対策・国語の合否を分けた一題(2016年度)

難易度分類

問1A  問2B  問3A  問4B  問5A  問6B  問7B
問1B  問2A  問3B  問4B  問5A  問6B

A…早稲田中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題

問題別寸評

問1

漢字の書き取り問題です。

問2

空欄に心情を表す語句を補充する記号選択問題です。

空欄前後からの意味の判断がやや難しく感じられるかもしれません。また、選択肢のほうも難しい和語が混ざっているため、悩んだ受験生は多かったのではないでしょうか。

問3

傍線部の心情の説明を空欄補充で完成させる抜き出し(一部「自分で考える」)問題です。

自分自身に対する心情の変化は文章の序盤(空欄Aの前後)で表現されています。検索は容易でしょう。抜き出しではなく自分で考える問題(「…自分の姿を○○笑う」)についても、必須知識としてとらえたいところです。
 

問4

台詞から読み取れる「心情を伴う行動」を具体的に説明する記述問題です。

設問で指摘されている内容(「…同じような行動を結果的に…」)は、文章を読んだ段階では気づけないことであったかもしれません。しかしながら、この設問は「空欄を補充して説明を完成させる」形式の記述問題です。空欄以外の説明が大きなヒントになっています。これを分解し、設問に合わせて言い換えていくことによって、解答にぐっと近づけるのです。

「…嘔吐した吉田」・「汚れることも構わず」・「助けようとした」は、それぞれ「家にひきこもっている明良」・「嫌がられても」・「部に戻らせようとはたらきかけた」という意味に置き換えることかできるでしょう。

問5

台詞とは裏腹な主人公の本当の心情を具体的に説明する記号選択問題です。

主人公の本当の心情は、傍線部の手前の「ますます自分が嫌になる」です。これを確認せずに傍線部しか見ないで選択肢を読んでしまうと、正解には近づけません。

問6

比喩的に表現された心情を具体的に説明する記号選択問題です。

傍線部の「臭さ」「吐き気」は文字通りの意味ではなく、「自分自身の汚い心」「嫌悪感」を意味するものと理解できます。これによって正解にたどり着けるはずですが、選択肢には注意が必要です。「具体的な説明のほうがよい」という無意識の思い込みをもっていると、「最もふさわしい」答えを誤認してしまいかねません。

問7

具体的な行動から読み取れる心情を抽象化して説明する記号選択問題です。

解答の根拠は二つ目の二重傍線部の後、「…おまえに協力したくて…しごきにつきあって…」「不愉快…受け入れてまで…帰ってくるのを待ってる…」の部分で確認できます。しかし、ここでも選択肢に注意が必要です。「具体的な態度や行動がイメージしやすい説明」を選びたがる生徒がひっかかるような“ワナ”が仕掛けられています。

問1

筆者の批判の内容を具体的に説明する記号選択問題です。
解答の根拠は、文章の要点を丁寧に辿っていかないと明らかになりません。

まず、傍線部からしばらく進んでいくと、「どういうことが科学的な手法…か」という疑問が確認できます。その後ですぐに具体例(『鼻行類』)に移りますが、これを経て筆者は「理屈にだまされることに…気をつけなければ…」という思いを強く抱きます。

そしてその直後で「何が科学的か…とは別に…人間は論理が通れば正しいと考える…バカ……を知っていることが大事…」という批判を強調します。さらにしばらく進むと「しかし…科学もひとつの…見方にすぎない…よかったと思って…」とあります。

このような流れは、文章を読みながら要点をチェックする作業を伴ってはじめて迅速に確認できるものです。

問2

傍線部を言い換えている語句を答える抜き出し問題です。

傍線部の「習性」は決して馴染みの薄い言葉ではないでしょう。正解の検索にも時間はかからないはずです。

問3

「合否を分けた一題」として解説します。

問4

文脈にそって空欄に慣用句を補充する記号選択問題です。

大問二の問2と同様に、空欄前後からの意味の判断が難しく選択肢の慣用句も難しいものが混ざっています。見た目はシンプルですが、正答率は低いかもしれません。

問5

筆者の意見となるプラスの内容を言い換えた表現を説明する抜き出し問題です。

要点を確認するための有効な目印となる二字熟語の主なものに「必要・重要・大切・大事」などがあります。傍線部の後の段落に「ものごとを相対化…は必要だ」とありますね。

問6

筆者の主張する内容を説明する記号選択問題です。

問1で要点の確認が正しくなされていれば、問6は易しく感じられたはずですが、ここでは念のために文章の終盤の要点も確認しておきましょう。

「どんな…見方も相対化して…ごらんなさい…」、「絶対のよりどころのない状態をよしとできるように成長…が大切ではない…か」

ここでも選択肢に注意が必要です。「筆者の主張」だからといって「文末で強く表現している選択肢が適切である」という思い込みをもたないことです。あくまでも「最もふさわしい意味」になっているものが答えです。

合否を分けた一題

早稲田中学の入試問題については「ごくオーソドックスな出題構成であり、記述問題のウェートは高くない」と説明することができます。しかしながら、それは「記述ができなくても構わない」という意味ではありません。記述もしっかり解かねばなりません。

さて、ここでは、「多くの受験生が解答するものの解答に個人差が生じやすい(勘違いすると大きな減点や失点につながる)」設問を一題とりあげることとします。

二 問3

具体例が強調する内容を説明する記述問題です。

解き方の手順
①具体例の途中で、文末表現によって強調される説明が確認できます。
⇒「人間は理屈…考えるので…理屈が通ると実証されなくても信じて……実は人間の信じているもの…はそういうことではない…か

この説明の中で、設問が指定している言葉のひとつ(「実証」)が検索できますね。ここまでは問題ないでしょう。
     ↓
②さて、注意が必要なのはもうひとつの指定語句(「動物」)です。具体例(『鼻行類』)が架空の動物であることから「実証されない動物を信じてしまう」と答えたくなるかも知れませんが、それは間違いです。設問はあくまでも「具体例によって言いたかったこと(要点)」の説明を要求しています。要点(言いたかったこと)は「実証されなくても信じてしまう」ということであり、その対象は動物に限定されるものではありません。本文に戻りましょう。
⇒「わたしたちはこっけいな動物だと…示したかったのです」
     ↓
③ここまで確認した二箇所の要点を合わせて字数を調節します。
⇒「人間は理屈が通ることであれば実証されなくても信じてしまうおろかな動物であるということ。」

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