[1](1)A (2)A (3)A (4)A (5)A (6)A (7)A (8)B
[2](1)A (2)A (3)A
[3](1)①A ②A (2)B
[4](1)A (2)①A ②B
[5](1)A (2)①A ②B ③B
A:明の星合格を目指すなら必ず得点したい問題
B:着眼点や解法ツールにより正答率・所要時間に差がつく問題
C:難易度や処理量から判断して、5分以内に解ききる腕力がなければ一旦とばすべき問題
2011年度(H23年度)の第1回入試問題は、合格者平均点76.2点からわかるように、非常に易しく解きやすいセットでした。前述「【1】算数の傾向分析〔1〕女子御三家前哨戦の第1回入試」で指摘した「易化のボトムライン」とすべき2008年度第1回入試問題とほぼ同じレベルです。合格者平均点と受験者平均点(63.2点)との差が13点。他科目の合格者平均点と受験者平均点の差は2.5~4.5点であり、算数での得点差が合否に直結することがうかがえます。
[1]の計算問題を含めた一行問題群は(8)を除けば「明の星志望者であれば一度は解いた経験がある問題」ばかり並んでいます。それでも、(5)は苦手とする受験生が多いタイプの問題ですし、(7)は結局のところ数の性質の問題で「会員数は336と240の公約数で40より大きい数」であることに気付かなかった受験生が少なからずいたはずです。[1]でも得点差がついたでしょう。
今回、得点しにくい問題はすべて速さの問題でした。[3][4]と連続して大問に速さの問題を配置しているのが目を引きます。
[1](8)は様々なアプローチの仕方が考えられますが、「円周上の2点の移動の問題」と捉えて、2点が見えている時間帯をそれぞれ書き出して、同時に見えている時間帯を調べるという手法をとった生徒は堅実に得点できたでしょう。
[3]は、これまでの速さと比の問題演習量の差が如実にあらわれる問題です。直線上の進行図を書き、時間一定の部分、距離一定の部分を明確にしながら解き進めることができたかどうかがカギです。
[4]は苦手とする受験生が多い「進んで休む」「進んで戻る」の周期の問題。「カタツムリ問題」として中学受験算数では太古の昔からある題材です。
最終問題の[5]が、例年に比べて軽めの問題であったこと、勘を頼りに適当に数をあてはめても答えが出せてしまう可能性のある問題であったことから、
[5]を先に短時間で解き終え、[3][4]に残りの時間を充てた生徒は時間に圧迫されずに済んだようです。[5]のようなタイプの問題を苦手にする受験生にとっては、[3](2)・[4](2)②のどちらかを得点しない限り、苦しい展開になりました。
ここでは合否を分けた一題として、[4](2)を取り上げます。