一 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A問6 B 問7 Ⅰ…B Ⅱ…A Ⅲ…A 問8 A問9 A 問10 B 問11 A 問12 B 問13 B |
---|---|
二 | 問1 A 問2 B 問3 A 問4 B 問5 A 問6 A問7 B 問8 B 問9 A 問10 B 問11 A |
A…浦和明の星中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
出題形式は、大問一に論説文、大問二に物語文と例年通りでした。浦和明の星の特徴であるともいえる、書き抜きで答える問題の多さにも変わりはありません。他の上位校とは趣の異なる要素ですので、的確に正しい語句を発見するために、過去問で十分に練習をしておくことが大切です。この場合、ただ「答えが合っていた/間違っていた」で済ませてしまっては、「答えを暗記しているかしていないか」のチェックのようになってしまい、過去問を二周三周とやり込む意味が薄れてしまいます。答えとなる語句が「どういった話題のところにあったのか」を考え(たとえば論説文での書き抜きの答えは、具体例のところではなく抽象化された部分にあることが圧倒的に多い、など)、今後似たタイプの問題が出たときに同じように探しにいけるよう、自分の中でルール化をしておくことで、素早く正しい言葉を見つけ出せるようになるのではないでしょうか。
高階秀爾『日本人にとって美しさとは何か』より
漢字の読み取りです。
「興味深い話」の内容を答える問題です。この「話」がどこからどこまでを指しているのかを確認します。すると、二段落後の末尾に「~とその先生は苦笑していた。」という表現があるため、その直前までであることが分かります。その次の段落で、話の内容に対して筆者が「私がこの話を聞いて興味深いと思ったのは……」と述べていますので、その後が答えの根拠となります。
慣用句、接続語、俳句に関する知識と、ぜひ得点したい基本的な問題が続いています。
「妙音」の意味としてふさわしいものを選ぶ問題です。「妙」という字から「奇妙」と連想しエを選んでしまう受験生もいるかもしれませんが、文脈からきちんと意味を類推すべきです。傍線部を含む一文全体を見ると、「~という一句は、『古池』や『蛙』が美しいと言っているわけではなく、もちろん『水の音』が妙音だと主張しているのでもない。」とあります。「古池」や「蛙」と同様に、水の音のことも美しいと言っているわけではない、と読み取ることができます。またそもそもの字義として「妙」は「巧みでありすぐれている様子、美しい様子」という意味を持っていることも、ここで覚えておきましょう。
空欄補充の問題です。「このような」と指示語が含まれるので、まずは内容を把握します。傍線部直前の芭蕉の俳句は具体例ですから、その前まで遡ると、「日本人は、遠い昔から、何が美であるかということよりも、むしろどのような場合に美が生まれるかということにその感性を働かせてきた」と述べられています。その後の「状況の美」とあわせて、Ⅱ、Ⅲはすぐに見つけることができます。Ⅰは西欧の「実体の美」について述べられている十一字の箇所ということになりますが、こちらも同段落内に答えとなる語句はありますので、こちらも是非正解したいところです。
「春は曙、やうやうしろくなりゆく…」という冒頭で始まる作品のタイトルを選ぶ問題です。平安時代に清少納言によって書かれた「枕草子」という随筆が正解です。歴史でも習いますし、学校の国語の教科書にも登場する作品ですので、落とせません。
傍線部「模範的な」の、ここでの意味を選ぶ問題です。これまでに述べられてきた、日本人の好む「状況の美」というものを最もよく示す例として、問8の枕草子が紹介されています。まさにその性質にあてはまる、ぴったりの、といった意味で使われていると言えますので、アの「典型的」を選ぶのが正解です。
空所にあてはまる語句を書き抜いて答える問題です。ミロのヴィーナスの魅力は「 」から生じる美によってもたらされる……とあり、これは西欧の美的感覚に関する言葉であることが予想できます。空所直後の「~から生じる」もヒントとなるでしょう。西欧の「実体の美」に関して述べられている部分から探していくと、第五段落に「……いずれにしても客観的な原理に基づく秩序が美を生み出す」という表現が見つかります。
傍線部とは対照的なものの見方を見つけて答える問題です。傍線部は日本的な美の捉え方で、「うつろいやすく、はかないもの」です。その反対の内容ということは、西欧的な美の捉え方で、「移ろいもせず、儚くもなく、その物自体がずっと美しい状態である」という内容になると考えることができます。傍線部と設問からそこまで内容の予想をしてから本文へ戻ることで、探す時間を短縮することができます。
傍線部「そのため」の指し示す内容を選ぶ問題です。日本人が季節ごとの美の鑑賞を、行事として好んで繰り返しているのはなぜか、ということです。その季節特有のものが儚い→儚いからこそ美しいと感じる→だからそれを行事にした、という因果関係に気をつけましょう。間違えるとしたらアだと思われますが、これでは行事が儚いということになってしまい、不適格です。
空欄Yに当てはまる言葉を選ぶ問題です。この文は「つまり」から始まっており、そこまでの話をまとめていることが分かりますので、同段落の名所絵に関する記述をしっかりと読み取りましょう。広重が「江戸の名所」を描き出していったところ、自然と「季節や行事+名所」という形になっていたということです。
小野寺史宜『梅雨明けヤジオ』より
漢字の読み書きです。
傍線部のときの「わたし」の心情としてふさわしいものを選ぶ問題です。ヤジオの「やる気がねえなら負けちゃえよ!……勝つ気を見せろよ!」という野次に、「わたし」は「うるさいなぁ」と感じています。この場合は物理的に音声がうるさいのではなく、その内容に対し心理的に反発していると読み取ることができ、反発したくなるということは、自分自身にも何か思い当たることがあるのだと考えていきます。では、「わたし」の境遇はどのようなものか? と、実は人物の背景そのものを問われている問題でした。
傍線部の表現がどういうことかを選ぶ問題です。「舌を出す」という言葉には「①心の中で馬鹿にしてあざ笑う②自分の失敗を恥じたりごまかしたりする」という二種類の意味がありますが、同段落で川本くんが委員長として「うまくやってた」様子が描かれているため、①であると解釈するのが正しいでしょう。
傍線部のようなクラスメイトの反応の理由を「わたし」がどう考えているのかを一文で見つけるという問題です。まず、設問そのものをしっかり読みましょう。「『わたし』は、クラスメイトが傍線部のような反応をするのは〇〇だからだと思っている」の、〇〇に当たる部分を探すようなイメージです。真面目すぎる学級委員が疎まれるのはなぜか。彼らも所詮は先生ではないからです。
空欄にあてはまる言葉を選ぶ問題です。岡崎先生・長野くんと、クラスのみんなの間に入ってどうしようもなくなっていることから「板挟み」を選ぶことができます。
傍線部の表現から人物の性格を読み取る問題です。「~してしまう」という補助動詞には、その行動が不本意であるという気持ちを添える働きがあります。本当は「いいよ」と言いたくないのに、本当は他に言いたいことがあるのに、それを「いいよ」と言ってしまう、ということです。遠慮がちで対立を恐れる「わたし」の性格が読み取れる一文です。
傍線部「がさつ」のここでの意味を問う問題です。「ここでの意味」なので、文脈を把握しましょう。同段落の内容より、長野君の「がさつさ」というのは、まちがったことはしていないがやり過ぎた、学級委員としての振る舞い方に対して使われている言葉であると判断することができます。他のクラスメイトたちの心情を考慮しなかったという意味での「がさつさ」なのです。
傍線部「こっちのお母さん」がどのような人物像なのかを選ぶ問題です。ヒントになりそうなのは、長野君の発言の中の「こっちの親だから片見里以上にムチャクチャ言われる」という表現です。片見里の親としてどのような人物が出てきていたかを探し、参考にしましょう。
言葉の知識の問題です。何らかの影響を及ぼした状態にすることを「爪あとを残す」と言います。
合否を分けた一題で解説します。
空所にふさわしい表現を自分で考え、文章を完成させる問題です。
ア…長野君が以前考えていた「いいやつ」像です。「とりあえず先生の言うことを守ればいいだろうと思ったんだ。…言うことを聞いとけば怒られないだろう、みんなにも言うことを聞かせれば絶対に怒られないだろうって。」を参考にしてまとめましょう。
イ…こちらは2回使われているので両方にあてはまるように考えなければなりません。長野君は「ア」ではダメだと気付いたときにすぐに「そんなら自分がやるべきだと思うことをやろう」と考えるようになり、行動に移しました。また、ヤジオは元マネージャーの出産のニュースを真っ先に受け取ることができるほど信頼されており、本当は周囲に好かれる好人物であることがうかがえます。二人のそういった行動力の源となる「正義」感と考えるのが適切です。
情景描写の解釈として正しいものを二つ選ぶ問題です。
中学受験生があまり得意としない分野である上に、今回は複数選択(未発表ですがおそらく完答で得点だと思われます)ということで、ここを的確に得点できたかどうかは大きく影響したといえるのではないでしょうか。
考え方
まずは表現そのものが読者に与える印象を考えます。
「雲のすき間から光が射す」という情景は、今後プラスの方向へと物語が進んでいくことを予感させるものです。「雲」というのがこれまで登場人物が抱えていた問題点で、それが解決し好転していくというイメージですね。
では、この物語におけるプラスの変化とはいったい何でしょうか。傍線部付近の「わたし」のモノローグから探っていきましょう。
傍線部の前で「ヤジオ」について、「その人は、本当にいいやつなのだろう。いい女子なのだろう。…長野くんとわたしがいずれそうなるようなことも、あるんだろうか。」とあります。ヤジオと電話相手の女子は、少なくとも本文中では恋愛関係にあったかどうかは分かりません。長野くんとわたしが勝手に想像はしましたが、ヤジオ本人はそれを否定してしますので、ウ「ひそかな恋心を抱き続けるヤジオ」は不適格です。ただお互い信頼し合っているいい関係であると解釈すべきです。よって、「わたし」と長野くんの関係が良い方向へいくであろうというオが相応しいといえます。
そして傍線部の後では、「夏休みはまだ始まったばかり。……九月一日には、学校に出ていけるかもしれない。」とあります。人間関係のトラブルから学校へ行っていなかった「わたし」が、前向きな気持ちになっています。どうしてそう思えるようになったのか? この物語全体を振り返ると、長野くんがどういう気持ちで学級委員をしていたのかが分かるという大きな変化と、初め「うるさいなぁ」と思っていたヤジオに対してもイメージが良くなるという変化が読み取れます。この二人との関係の変化によって、「わたし」は以前より前向きに物事を考えられるようになったということです。よってイが相応しい答えとなります。
情景描写そのものが読み手にどのようなイメージを喚起させるかを正しく読み取り、そしてそこへ至るまでの描写を本文に書かれていることから正確に読み取る。それが情景描写の問題の解き方です。
答え
イ・オ