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社会の合否を分けた一題

慶應中等部入試対策・社会の合否を分けた一題(2011年度)

平成23年度の中等部の入試問題では、広範な知識が全分野にわたって問われましたが、特にやっかいで取り組みによって差がつくような問題はないようです。その中では、やはり、大問の7が、記述を含む最大のポイントとなります。

この問題は、各種の選挙制度について説明した上で、その長短を分析するというものです。記述は、問4で、中選挙区制に対して小選挙区制の持つ欠点を、各選挙制の選挙結果の表から読み取って20字以上50字以内で説明する(句読点含む)問題です。

解答のポイントは、
①小選挙区制の持つ「欠点」を説明すること
②「表から読み取って」説明すること
③20字以上50字以内で説明すること
④大問の内容をふまえていること です。

解答手順としては、
まず、②表から何を読み取れるか、を考えます。

気づくべき対照ポイントは、表の下の※です。当選者の総得票率が中選挙区制では72%であるのに対し、小選挙区制の選挙結果では38%です。また、落選者の総得票率は中選挙区制では28%であり、小選挙区制では62%です。表を詳細に分析しなくても、これをヒントと考えれば、解答のてがかりは得られます。

次に、①読み取ったことを「欠点」と結び付けます。小選挙区制では、当選者の総得票率が低く、落選者の総得票率が高くなっています。このことが、どのようにして「欠点」と結び付けられるか考えます。

ここで、④大問の文章と結びつける必要がでてきます。間接民主制では、国民が投票によって代表者を選ぶ選挙という仕組みが重要であり、国民の意思を国会に反映させることが求められるという趣旨が書かれています。そして、「選挙を制度化する上でまず求められることは、政治に対する国民のさまざまな意思をできるかぎり幅広くすくい取れるものにすることです」と書かれています。

表からは、小選挙区制では落選者の総得票率が6割をこえており、落選者に投票した人の意思は政治に反映されない欠点があるといえることになります。小選挙区制では、政治に対する国民のさまざまな意思を幅広くすくい取れないことが起こるといえるのです。

これを20字以上50字以内にまとめます。字数にかなり幅がありますが、これは、欠点をどこまで具体的に説明するかによって幅が生まれるという想定によるものでしょう。ここでは、50字にあわせてみます。

小選挙区制では落選者の総得票率が6割をこえ、落選者に投票した人の意思が政治に反映されないことになる点。

これで50字です。

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