5年生から6年生への移行時期には、難易度の上昇に戸惑う生徒が多いでしょう。通塾曜日が変わり、取り扱う教材も増え、新たな1週間の学習スケジュールを構築する必要があります。ただ、算数Bを学習の主軸に据える点に変わりはありません。平常授業の学習内容を完全に理解し定着させることが最優先です。
前述の5年生の学習スタイルのうち、〈1〉~〈6〉は6年生になっても同様です。〈7〉は不要でしょう。〈8〉の復習は6年生だと日曜日に行うことになります。
追加すべき点として、以下の内容が挙げられます。
〈9〉土特は問題演習に終始するため、ここでの苦手分野の克服は期待薄。得意分野の演習を積み、より強固なものにするという捉え方をすべき。全てに手をつける必要はなく、授業中に間違えた問題のみ、家庭で解き直しができれば十分。
〈10〉平常授業内での『入試問題演習』も、土特と同様の取り組み方をする。
〈11〉平常授業内での『分野別補充プリント』は、ポイントを踏まえた正しい解説を受けた後に定期的に反復すれば、非常に効果的。平面図形の演習量を確保できる。
〈12〉余力がある生徒、算数を得点源にしたい生徒は、年度によっては複数出題される「平面図形」「割合と比」「数の性質」の演習量を早い段階から確保しておきましょう。月刊誌『中学への算数』の「レベルアップ演習」に載っている数・図形・文章題に毎月取り組むのが効果的です。
また、速さと比について一言。
『デイリーサポート』については「510-37ニュートン算」が5年生最後のテキストになりますが、かつてはその後に「510-38速さに関する問題」というテキストが存在しました。
速さと比の基本問題としては使い勝手の良い内容のテキストです。「510-22旅人算」から「61-06速さ(1)」まで間があき過ぎるので、新6年の平常授業が始まる前の入試休み期間中に、この「510-38速さに関する問題」に取り組ませることで上手くつなげることができます。さらに、「61-06速さ(1)」を終えてからは、適宜問題演習を組み込んでいきます。
ゴールデンウィークのGS特訓については、質・量ともにハイレベルの演習に打ちのめされて帰宅するはずです。ただ、来年の2月3日にはこのレベルまで自分を引き上げなければならないという厳しさを実感することに意義がある講座ですから、悲観せずに、割り切って取り組みましょう。授業中に間違えた問題のみ、とは言っても相当な数になるでしょうが、その日のうちに家庭で解き直しをして下さい。
志望校判定サピックスオープンは、中等部志望者ならばAで110点以上または偏差値62以上を目標に臨みましょう。Bはひどくない程度の得点で十分です。
『サマーサポート』は難易度が急上昇します。中等部の出題傾向にそぐわない問題が多くなるため、生徒の状況に応じて問題の取捨選択が必要になってきます。在籍クラスによっては、デイリーチェックの得点をある程度割り切って考えることも必要でしょう。
また、在籍クラスによってはハイレベルな演習に終始し、難問にじっくり向き合う時間が長くなります。すると、どうしても処理速度が鈍りがちになります。中等部志望者にとって致命的であり、それを防ぐために、軽めの問題をテンポ良く解き進める作業をどこかに組み込んでいく必要に迫られます。幸いにもSAPIX生には『基礎トレ』という最適教材があるわけですから、スピード練習を行っているという強い意識を持って取り組みましょう。
『サマーサポート』の問題を削る分、東京出版『ステップアップ演習』を夏休み中に1回転させておきます。「典型的な標準問題+少しひねった典型問題」への対応力を強固にするための問題演習ですから、正しく理解することが肝心です。さらに、正解した問題も必ず解説を熟読し、複数の解法を習得しておくと、過去問演習の際に威力を発揮します。
『有名中学入試問題集』ですが、在籍クラスによって取り扱いが異なります。SAPIXから出された指示が負担になるようなものであれば、柔軟に対応していきましょう。
夏休み後半の夏期集中志望校錬成特訓から、本格的な中等部対策授業が始まります。ただ、演習授業が連日長時間に渡って行われるので、家庭での復習時間の確保が難しいでしょう。授業中に間違えた問題の解き直しだけは必ずその日のうちに済ませて下さい。