日能研は、通常授業・講習ともに拘束日数・拘束時間が大手塾の中では断トツに長いのが特徴です。ゆえに、限られた家庭学習時間で、やるべきことを効率良くこなしていく必要があります。
★学習スケジュール
6年生夏休み前までにやるべきことは
〈1〉毎週のカリキュラム内容の完全理解・定着
〈2〉既習内容の定期的な復習
〈3〉中等部志望者にとって、日能研のカリキュラムでは手薄になるところの補充
の3つです。
〈1〉『本科教室』の構成が若干変わります。「考えよう」「深めよう」とその後の課題(5年生『本科教室』で言えば「学びのひろばのまとめ」にあたる部分)は必須。5年生のときと同様に、その週のうちに2回転するスケジュールを組むと効果的です。また、「オプ理」「オプ活」「オプ説」は6年生用はコンパクトにまとまっています。負担になるような分量ではないので、軽めの思考力問題として極力取り組むようにしましょう。
新たに『強化ツール』というテキストが配布されますが、「共通」は必須です。この「共通」と『本科教室』の「深めよう」までをきちんと理解・定着させておけば、7月までのカリテの共通問題で80点を切ることはまずありません。
『栄冠への道』は、生徒の状況により、必要ある場合に適宜取り組むという位置づけで十分です。
上位クラスのみ配布される『難関校対策問題』はA問題・B問題ともになかなかの良問が揃っています。このテキストについていけるようであれば、算数は確実に得点源になります。ただ、中等部の出題レベルに合わない問題もかなり収録されているので、取り扱う問題の取捨選択が必要でしょう。
『計算と漢字』も5年生のときと同様に進めましょう。6年生になって忙しくて時間がないという理由で計算練習をサボるのは許されません。毎朝15分程度の時間は心掛け次第で捻出できるはずです。
〈2〉毎週のカリキュラム内容の学習だけでは、既習内容が抜け落ちて行きます。2週間前と2ヶ月前のカリキュラムの復習を日曜日に組み込みましょう。
なお、日曜日のカリテ後に日曜日特別講座が始まります。土曜日に通常授業があるため、日曜日がテストと日特でつぶれてしまうと、まとまった家庭学習時間を確保できなくなるのが日能研生の悩みの種です。
日曜日は、その日に受けたカリテないしセンター模試の解き直し、既習内容の復習、苦手分野の理解、後述する「〈3〉中等部志望者にとって、日能研のカリキュラムでは手薄になるところの補充」等、やるべきことが山積みです。これらを削ってまで日特に参加する意義はあまり感じられません。後期日特は中等部対策のため有効ですが、前期日特の受講は生徒の状況に応じて慎重な判断が必要でしょう。
〈3〉中等部の過去問演習を行う段階で、速さの問題に手こずる日能研生が目立ちます。挙げられる原因は2つです。
まず1つ目の原因は、日能研のカリキュラム上、速さと比の学習時期が他塾に比べて遅いこと。SAPIXでは5年生秋から、四谷大塚では6年生春休み明けから学習するのに対し、日能研は6年生6月からの学習となります。スタートが遅いだけに、それまでの比を用いない解法にとらわれて切り替えが上手くいかない生徒や、入試まで残り8カ月での演習量では仕上げることができない生徒がいます。
2つ目の原因は、上位クラスではダイヤグラムを用いての指導が多いこと。テキストの解説及びテストの解説もダイヤグラム使用が中心です。ところが中等部の速さの問題については、ダイヤグラムだけではなく、直線上の進行図の方が馴染む問題も出題されるため、直線上の進行図を書き慣れていない生徒にはきつい状況になります。
この2つの原因を踏まえて、新6年生の2月から夏休みに入るまでを目途に、四谷大塚『予習シリーズ6年上』の速さと比(1)~(4)、速さに関する問題(2)の例題・基本問題・練習問題に順次取り組み、直線上の進行図の書き方と比の使い方を徹底的に指導し、身につけてもらいます。
また、余力がある生徒、算数を得点源にしたい生徒は、年度によっては複数出題される「平面図形」「割合と比」「数の性質」の演習量を早い段階から確保しておきましょう。月刊誌『中学への算数』の「レベルアップ演習」に載っている数・図形・文章題に毎月取り組むのが効果的です。
★テスト
中等部志望者のカリテの目安は、共通・応用で110点~120点。共通を完璧に、応用は計算問題を正解すれば十分、その他で1~2問拾えたら尚良しです。応用の得点の悪さは気にする必要ありません。
センター模試では癖のある問題が出てくるようになり、高得点が取りにくくなります。5年生の頃は120点超が当然だった生徒が、100点~110点をうろつくことが頻繁に見られるようになりますが、決して学力が低下しているわけではないので、焦らないで下さい。最低でも100点を切らないような学習を心掛けること。また、[2]の一行問題群での失点は典型問題の解法が定着していない証拠ですから、要復習です。