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理科の合否を分けた一題

慶應中等部入試対策・理科の合否を分けた一題(2020年度)

難易度分類

(1) B  (2) A  (3) A  (4) A  (5) A  (6) A
(ア) A  (イ) A
(1) A  (2) A  (3) A  (4) A  (5) A  (6) B
(1) B  (2) A  (3) A

A…慶應中等部合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2020年度の慶應中等部の入試は、例年通りの基本的知識を問う問題と、論理的思考を試す問題が中心でした。問題形式も、典型的な問題がほとんどで、レベル的にも平年並みでした。問題数も少なくなっていて、右欄に語句を書く問題が増えたものの、ほとんどが選択肢なので、時間的にも余裕があったのではないでしょうか。しかしながら、このような場合には、得点に差がつかないため、ミスのないように注意しなければなりません。また、一昨年度のように再び難易度が上がる可能性もあるので、計算問題やデータ処理などに慣れておくなどの対策をしておいた方がよいでしょう。

大問1は、化学・生物・物理分野の複合問題。
大問2は、物理分野で、電池・電球・モーターの回路についての問題。
大問3は、地学分野で、星座や惑星の見え方についての問題。
大問4は、化学分野で、もののとけ方に関する問題。

グラフを読み取って答える問題が、本年も出されました。
少々手間のかかる問題もありますが、手際よく処理できるように慣れておくとよいでしょう。

問題構成は、4分野から大問4題、小問25問。
解答形式は、記号選択が18問、ことばが7問、今年も数字で答える問題はありませんでした。
小問数は昨年より4問減少していますが、ことばで答える問題が増加しています。とはいえ、どれも基本の知識で、迷わず書けるものでした。

問題別寸評

(総合)分野をこえた問題です。
会話文を読み、流れにそって設問に答える問題です。どれも基本知識なので、ミスのないように注意します。

(1)

ナツミカンの酸味の正体は、クエン酸です。この性質をおさえるには、水に溶けてアルカリ性を示す重そう(炭酸水素ナトリウム)を用います。消石灰(水酸化カルシウム)も、水溶液の石灰水はアルカリ性ですが、粉末の状態ではその性質が強すぎるため、食用で使用するのは危険です。

(2)

酸性の水溶液に重そうを加えると、二酸化炭素が発生します。これは、「シュワシュワって泡が出る」とあることからもわかります。重そうは、そのまま加熱しても二酸化炭素が発生するため、調理や入浴剤にも使用されています。

(3)

種子になるところ(胚珠)を包んでいるのは子房です。ミツバチによって、めしべに十分花粉がつくと、種子が熟したときに形のよいイチゴになります。

(4)

はたらきバチはすべてメスです。アリの場合も同じなので、おぼえておくとよいでしょう。
ミツバチの8の字ダンスは有名です。指示通りにカタカナ2文字で書かなければならないので、注意が必要です。

(5)

LEDのDは、ダイオードのDです。
実験などで使用したことがあるお子様も多いのではないでしょうか。

(6)

発光ダイオードに電流が流れると、電流の大きさに応じて明るく光りますが、電流が流れる向きは1方向に決まっています。選択肢が多いですが、選ぶ答えは1つなので迷うことはないでしょう。

(物理)電池・電球・モーターの回路についての問題です。
電池を直列につなぐと流れる電流が大きくなること、このとき電池の極がそろっていないと、打ち消しあって電流が流れなくなることを押さえておけば、解ける問題です。
スイッチを上や下に切りかえたときに、流れる電流がどのように変化するか、手際よく書き込みながらチェックします。
1 上:電池1個分、下:流れない
2 上:電池1個分、下:電池1個分
3 上:電池1個分、下:電池1個分
4 上:電池1個分、下:電池1個分(上と逆向き)
5 上:電池2個分、下:電池1個分
6 上:流れない、下:電池1個分
7 上:電池2個分、下:流れない
8 上:流れない、下:電池2個分
(A)の条件にあてはまるのは「5」です。
(B)で、モーターの向きは電流の向きで変わるので、この条件にあてはまるのは「4」です。

(地学)星座や惑星の見え方についての問題です。
夏の大三角、冬の大三角をつくる星や、それらの星をふくむ星座の名前は基本の知識です。
惑星に関する問題も、図を見ながら知識と関連付けて考えれば解答できる問題です。

(1)

図Aの「1」のはくちょう座、こと座、わし座は夏の代表的な星座、「2」のオリオン座、おおいぬ座、こいぬ座は冬の代表的な星座なので、8月の夜空に見えるのは「1」です。とても基本的な問題です。

(2)

「1」のこと座のベガは天頂付近を通り、はくちょう座のデネブは天頂より北側を通ります。これに対して、「2」のこいぬ座のプロキオンやオリオン座のベテルギウスの南中高度は約60度です。
実際に観察したり、星座早見で使ったりしたことがあれば、経験的に知っている事柄として解きやすかったでしょう。

(3)

夏の天の川は、七夕伝説にあるように、おりひめ星(こと座のベガ)と、ひこ星(わし座のアルタイル)の間で、はくちょう座にもかかる位置です。おぼえておきましょう。

(4)

アはアルタイル、イはプロキオン、ウはシリウスです。これも基本の知識です。

(5)

図Bで、地球のある太陽系から銀河系を見たとき、2の方向に恒星が最も多く、4の方向が最も少ないことがわかります。七夕のころに、天の川が濃く見えるとあるので、2の方向があてはまります。
リード文をよく読み、図Bの意味をしっかり理解しましょう。

(6)

木星と土星は、太陽系の惑星です。惑星は、太陽の近くから、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の順です。木星と土星はどちらも、地球より外側をまわる外惑星なので、これらが並んで見えるとき、地球からの距離も木星の方が近いはずです。惑星は太陽の光を反射して輝いているので、木星の方が大きく明るく見えることがわかります。

(化学)もののとけ方に関する問題です。
どの問題も、根本原理をおさえていれば解答できますが、(1)はやや手間がかかるので、ミスのないように注意して取り組まなければなりません。

(1)

→合否を分けた一題参照。

(2)

水に溶けるアンモニアの量を、体積から重さになおして考えます。1リットルが約0.7gなので、70リットルは、0.7×70=49(g)です。よって、図の◆2とわかります。

(3)

図は、「100gの水に溶けることができる量」のグラフです。物質を溶かすことができるのは液体の状態の場合だけです。日常生活では、水が液体でいられるのは、0℃から100℃までの間です。つまり、0℃より低い温度では固体の氷、100℃より高い温度では気体の水蒸気になっているはずです。

合否を分けた1題

あてはまるものの数を答えるために、ひとつひとつの物質について確認する必要があり、少々手間のかかる問題です。
読み違いのないように、グラフに線を引きながら、ひとつひとつ確かめていかなければなりません。
面倒ですが、集中力を保ちながら丁寧に処理できたかどうかで合否が分かれたと考え、この問題を選びました。

(1)

ア:40℃で溶ける量が、60℃より多いグラフを選びます。D、G、Hの3つがあてはまります。
イ:50gの水に30g溶けるかどうかは、100gの水に60gとけるかどうかで判断します。20℃で溶けないA、C、E、F、G、Hのうち、80℃で溶けるのは、AとCだけです。
ウ:水の温度が20℃と80℃に、縦に線を引き、グラフが交わる値を比べます。「差が20gより小さい」のであれば、どちらの値が大きくても構いません。B、D、E、F、G、Hの6つが当てはまります。
エ:0℃で溶ける量が少ない物質から確認していくように工夫すれば、効率がよいのではないでしょうか。A、F、Hの3つがあてはまります。
オ:イと同じように、50gの水に10g溶けるかどうかは、100gに水に20g溶けるかどうかで判断します。80℃では、すべての物質が溶かすことができますが、20℃では、A、Fで固体が出てきます。したがって、条件にあてはまるのは、その他の6つということになります。

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