1 | (1) A (2) A (3) A (4) A (5) A (6) A |
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2 | (1) A (2) A (3) A (4) A (5) A (6) A(7) A |
3 | (1) A (2) A (3) A |
4 | (1) A (2) A (3) A (4) B |
5 | (1) A (2) B (3) B (4) B (5) A |
A…慶應中等部合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2019年度の慶應中等部は、基本的知識を問う問題が中心で、セオリー通りに考えれば得点できる、典型的な問題がほとんどでした。難易度が高かった昨年度に比べて、かなり易化しており、以前のレベルに戻した印象です。ほとんどが選択肢で、計算するところもなく、論理的に段階を踏んで考える問題があるものの、処理に手間取るようなものではありません。とはいえ、得点に差がつかないため、ミスは禁物です。落ち着いてしっかりと得点しておくことが大切です。今後、昨年度のように再び難易度が上がる可能性もあるので、計算問題やデータ処理などに慣れておくなどの対策をしておいた方がよいでしょう。
地学分野の問題は、大設問2題。太陽の動きと気象に関する問題と、川のはたらきに関する問題。
化学分野の問題は、水溶液の性質に関する問題。
生物分野の問題は、光合成に関する問題。
物理分野の問題は、水そうから流れ落ちる水に関する問題。
基本の知識をしっかり身に着け、問われ方が変わっても解答できるよう、使える形にしておきましょう。本年も、物理分野が中心の位置づけにあり、水圧の理解が必要でした。とはいえ、きちんとグラフを読みとることができれば、迷うことなく解答できたのではないでしょうか。
問題構成は、4分野から大問5題、小問29問。
解答形式は、記号選択が27問、ことばが2問、昨年あった計算がありませんでした。
小問数は昨年より2問減少しています。ことばも、基本の知識で、迷わず書けるものでした。
(地学)太陽の動きと気象に関する問題です。
太陽見え方、太陽高度と気温・地温、季節による天気の変化、台風付近の風の強さ、虹の見え方など、多岐にわたります。どれも、基本的な知識があれば、迷わず解答できる問題ばかりです。
季節による日影直線の違いの問題です。太陽の南中時刻は、東ほど早く、西ほどおそくなります。
太陽高度が最も高くなるのは南中時で、東京では正午より早い時刻です。晴れた日の地温の最大は13時前後、気温の最大は14時前後であることを手掛かりにします。
夜の間に、気温・地温ともに下がり続け、日の出とともに上がり始めます。1日の最低は、気温・地温とも、夜明け前です。
aは、偏西風の影響で周期的に天気が変わり、東アジア内陸部の砂漠からの砂塵が届くことから、春とわかります。bは、台風が上陸することもあることから、秋です。cは、東京をふくむ太平洋側の場所で空気が乾燥する、冬です。dは、南からの季節風がふき、湿度が高いので、夏とわかります。
台風付近の風の強さは、進行方向に対して、台風の中心より右側が大きくなります。これは、台風の進行方向と、台風に吹き込む風の向きが一致するためです。
虹は、太陽の光が、空気中の水滴にあたって屈折・反射した光が、目にとどいたものです。したがって、ふつう太陽とは逆の方角に見えます。
(化学)水溶液の性質に関する問題です。
典型的な実験をとりあげ、水溶液の性質や中和反応に関する、基本的な知識を問う問題となっています。
どちらも中和反応で、新しくできる物質(塩)は塩化ナトリウム(食塩)です。
うすい塩酸はアルミニウムか鉄、水酸化ナトリウム水溶液はアルミニウムと反応して、水素が発生します。「同じ物質は入れないものとします。」とあるので、うすい塩酸には鉄、水酸化ナトリウム水溶液にはアルミニウムをあてはめます。
燃焼したときに、二酸化炭素が発生しないものを選びます。エタノール・紙・砂糖・灯油・メタンガスはすべて有機物で、炭素を含むので、二酸化炭素を発生するので、あてはまりません。
常温では、ドライアイスは液体から気体へ昇華します。このとき、まわりの空気を冷やし、ふくまれている水蒸気が水滴に変化し、白いけむりのように見えます。
うすいアンモニア水と炭酸水の中和反応です。液性は「アルカリ性→中性→酸性」と変化するので、BTB液は「青→緑→黄」と変化します。
エタノールは液体、オキシドールの溶質は過酸化水素水で液体、アンモニア水の溶質はアンモニアで気体、塩酸の溶質は塩化水素で気体、炭酸水の溶質は二酸化酸素で気体、石灰水の溶質は水酸化カルシウムで固体です。
アルカリ性のアンモニア水・石灰水を選びます。エタノールは中性、塩酸・オキシドール・炭酸水は酸性です。
(地学)川のはたらきに関する問題です。
川の流れのようすについての、基本的な知識の問題です。
川の水の流れる速さは、川幅がせまいほど速くなります。また、曲がっているところでは、内側より外側の方が、流れが速くなります。
流れが速いところほど、浸食作用が大きくなり、川底が深くけずられます。
これも、典型的な図です。図5の1のところが深く、2のところが浅くなっているものを選びます。
(生物)光合成に関する問題です。
光合成の基本の知識があれば、解答できます。実験条件を考える問題は、実験の目的にそった具体的な操作を考えます。
光合成に必要な水は、おもに根毛から吸い上げます。二酸化炭素は気孔から取り入れます。
光合成は化学反応です。材料は水と二酸化炭素、あたらしくできるものはでんぷんと酸素です。
夜間に光を当てたものと、そうでないものを比較します。このとき、できたでんぷんが夜間に作られたものであることを確かめるために、昼間は光をあてないようにします。
(物理)水そうから流れ落ちる水に関する問題です。
図7の実験結果のグラフを利用して解きます。根本原理を理解できていれば、迷うことなく解答できる問題です。
容器の高さを高くすると、落ちて羽根車に当たるときの水の速さが速くなり、(1)のときよりも、羽根車を勢いよく回します。
→合否を分けた一題参照。
水は、高い所から低い所に落ちることで、羽根車をまわすことができます。一方、乾電池でプロペラをまわすときは、導線を流れる電流が、プロペラのついたモーターをまわします。電流の流れ方は、乾電池の高さと関係がないので、図8のアとイは、回転の速さも向きも同じです。
オーソドックスで基礎力をためす問題で固められた本年の中等部にあっては、比較的容易に解答できる問題が多く、差がつきにくかったのではないでしょうか。そんな中で、条件を変えた場合の結果を予測するこの問題は、イメージに頼らず、根本原理に立ち返って考えることができたかどうかで合否を分けたと考え、取り上げました。