国語の試験時間は45分。満点は100点です。1次試験の配点は、算数・国語が各100点、理科・社会が各50点と推定されます。平成18年の2月3日への入試日程変更後も男子で5倍超、女子で10倍近い倍率となっており、児童面接、保護者同伴面接、体育実技の2次試験があることも加え、学校側の要求に合わせていく必要が高い学校であるといえます。
学校側が求めているものが何かは、過去問に現れています。一般的な受験準備であれば、過去問研究は6年生の夏以降に行うことが勧められることも多いですが、中等部に関しては、「慶應義塾」を志望校として意識した時点から、それなりの対策を取り始めることが有効です。知識の問題と軽く見て、短期間に知識のつめこみで対応しようとしても、「教養」として身についていかないおそれがあります。「面接」、「体育実技」も含め、付け焼刃の準備がきかない部分を見ようとしていると考えれば、準備の開始は早いほど良いと言えるでしょう。
長文問題については、「場面」・「設定」を的確に読み取る力を養うことが必要になります。小学生が通常体験してきた範囲を越えた題材が多いのは、難関校の長文によく見られる傾向です。お子さんは、体験したことのない状況を、ことばだけを手がかりに読み解いていかなければなりません。そのためには、考えられる様々な「場面」・「設定」について、備えをしておく必要があります。
たとえば、平成22年度に出された修験道の修行を題材とする物語文が出題されています。修験道について知識として知っておく必要はありませんが、修行というものがどういうものか、また、修行によってそれまでと違った世界が見えてくるというようなことを初見の文章から読み取るのは、簡単なことではありません。難解な固有名詞や専門用語がちりばめられた初見の文章を、お子さんなりに読みこなせるようにするためには、わからない言葉があっても流れをたどりながらわかることをつなげていくという読み方をする必要があります。
登場人物がどういう人なのか、それぞれの関係はどのようなものか、時代や場所の設定はどうなっているか、文章中に書かれているてがかりを拾っていけば、それなりの理解をつくりあげていくことができます。
語句知識については、過去問で実際に問われた言葉を抜き出してカードなどを作成していくことが有効です。その作業を通じて、どの程度の言葉の知識が求められているかを感じ取ることができます。「いぶかしむ」、「ほくそえむ」、「土地勘」、「やおら」、「白眉」、「仏頂面」などの理解が求められています。過去問を含め、入試で意味が問われている言葉について、答えとなっている説明を理解し、辞書で意味調べをして、用法・使われる文脈について納得しておくことが大切です。
ことわざ・慣用句・四字熟語、文法については、塾教材の知識部分(たとえば、予習シリーズであれば5年の上・下)を活用したり、市販の持ち運びも可能なまとめ教材(ポケでる、ズバピタ、要点ランク順など)をこなしておくことで対応できるでしょう。ことばの知識については、何でどこまで学び憶えるべきかで悩むこともあるでしょうが、これ、と決めたものを確実に憶えきることからはじめましょう。気になる知識があれば、そこに付け加えていく形にして、学び憶える素材があちこち散らばらないようにすることで、試験前の知識の見直しがしやすくなります。