一 | 問一 aB bA cB 問二 甲B 乙A 丙B 問三 A 問四 A 問五 B 問六 A 問七A |
---|---|
二 | 問一 B 問二 A 問三 C 問四B 問五 B 問六A |
三 | 問一 B 問二 B 問三 B 問四 ア A イ A ウ B エ A オ A カ B |
四 | 問一 ア A イ A ウ A エ A オ A カ A 問二 ア A イ A ウ A エ A |
五 | ア B イ A ウ A エ A オ A カ A キ A ク B ケ A コ B サ A シ A ス A セ A ソ B タ A |
A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
今年度の慶應中等部は大問五つの構成となっており、例年通りの出題でした。大問一の物語文は亡くなった父が登場するというファンタジックな話ながらも、いじめに対して何も言えない主人公の心理という、中学入試頻出のテーマでした。大問二は慶應中等部オリジナルの文章です。「君たちは殺人者のバッヂをつけているんだよ」というドキリとする書き出しですが、「受験での努力は利己である、入学後は利他精神を身につけなさい」という考えを述べた文章でした。どちらの文章題も、語彙力が必須という点で、慶應中等部らしい問題と言えます。大問三は「いろは歌」とことわざに関する問題、大問四は二字熟語・三字熟語と書き順、大問五は漢字の書き取り十六問となっていました。慶應中等部対策として努力したことが活きた問題だったと言えます。
「にわかに」は、学んだ学ばないによって差が出る言葉です。今後の受験生は今回でおぼえておきましょう。「懸念」は前後の文脈からも答えられるでしょう。「気圧される」は、正解の選択肢にだけ線部にある漢字「圧」が使われているので、正解ではないと裏読みすると失敗したかもしれません。本当の語彙力・思考力が必要です。
「三途の川」は学習というよりも知識の有無の差です。「尾を引く」は「後を引く」というイメージを文脈から読み取れたら、言葉を知らなくてもできたでしょう。「義を見てせざるは勇無きなり」を知っている小学生はほとんどいないと思われますが、これが本文の主題「いじめに立ち向かう勇気」の同内容と判断できたら、正解できました。
「死んだはずの父ちゃんが帰ってきた」と母ちゃんに知らせるのはやめた方がよいと、父ちゃんが言たのに対し、僕は「信じてもらえないか」と返しています。母ちゃんとは話せないことを父ちゃんは既に確かめていました。自分が見えないものを、相手に見えると言われたら、相手が変だと疑いますよね。
直前の一文を軸に考えれば、相反する内容も容易に思いつく問題です。
合否を分けた1題とし、後ほどくわしく解説します。
中学受験生なら必ず学習する心理表現です。「情けなさ」以外にも「無力さ」「恥ずかしさ」「みじめさ」など様々な言い方を知っておく必要があるレベルの気持ちです。
問いで「どのような行動をとる」、「『ことが大切だということ。』に続く形」とまで、ヒントを出してくれています。父の会話文でのポイントをつかむだけで○が取れます。
「勝利をつかむことができた」ということを感情の熟語として言い換えられるかという語彙力の問題です。「達成感」「満足感」は思いつけても、「成就感」はどうですか。
先生の会話文を読んでいけば、自己目的の努力を批判していることが分かります。
脱文が「つまり」で始まっているので、脱文の入る直前の内容は、「人よりミスを少なくして、一点でも多く点数を取った」の言い換えとなる、しかも「何が言いたいのかというと」と脱文にあるので、直前の内容は長く具体的に説明されているのではないかと想定する、などをヒントに探す問題です。なかなか厳しい問題だと思います。
「しめしめ」という、うまくいったときにいう言葉の語彙力があると正解が選びやすくなりますが、―線部が直前の段落の内容とつながっていることがわかっていれば、問題なく正解が選べます。
受験の時と違い、入学後の同級生は 良い意味でのライバルではあったが、相手の失敗を期待するような存在ではなかった、このマイナスの内容を正しく言い換えていないものが選べるか、という問いでした。「打ち負かす」が答えになるのですが、本文の最後の段落に「他人に打ち勝つこと」とあり、ふさわしいのではないかと考えてしまうひねった問題でした。語彙力が差をつけます。
先生の会話文をおさえられれば、「受験は利己だったが、入学後は利他を考えなさい」ということを読み取るのは容易でしょう。
「取り札」「読み札」という言葉に関係ある遊びを答える問題です。
「いろはにほへと」のつづきを答える問題です。
「いろは歌」が全ひらがなを使って作られていることを知っているかを問う問題です。
慶応中等部らしい、重箱の隅を楊枝でほじくるようなものが出されました。今回は「夜目遠目笠のうち」がそれに当たるでしょう。「水は方円の器に従う」も参考書や教科書になかなか載っていないことわざでしょう。残り四つは正解すべき問題です。
九つと多いとはいえ選択肢があるので、全問正解すべき問題です。
小学生配当漢字からの出題ですので、漢字を丁寧に学習した人へのサービス問題と考えてよいでしょう。
漢字の書き取り
「落丁」「干天」は難問、「出自」「類い」がやや難問、残りは、努力して書けるようになったかを試すレベル、つまり、差のつく漢字です。
今回は大問1の問五を取り上げます。問いの理解度合いで正解、不正解が別れる問題でした。正解者は確実にいますが、不正解の場合は、空欄にする、もしくは、苦し紛れに埋めるだけ、という受験生も確実にいることが想定される、合否を分けた1題です。
―線C「大変なとき」とあるが、このとき僕は何かに悩んでいる。そのことがわかる僕の行動が描かれた一文を本文から探し、その最初の五字を抜き出しなさい。ただし、句読点や符号も一字と数える
解き方の手順
問いの理解力が求められます。まずおさえるべき問いの部分は「僕の行動が描かれた一文」です。僕の気持ちでも、僕の会話文でも、僕の表情でもない、「行動」に絞り込みをかけて探すことができないと、大きなタイムロスとなります。逆に、本文は会話文が多く、「僕の行動」について書かれた箇所は少ないため、それほど時間をかけずに答えを見つけることができます。
「さらなる問いのおさえをしていれば」、という条件付きですが。
では、その次におさえるべき問いの部分とはどこかというと、「そのことがわかる」です。何がわかるのか?と「その」が指す内容を考えると、「僕は何かに悩んでいる」と分かります。
整理します。
「僕が何かに悩んでいることがわかる」
悩んでいる内容について答える問題だと考えてしまったら、答えは見つかりません。何に悩んでいるかは置いておいて、悩んでいることがわかる僕の行動を探すということが瞬時に読み取れたら、楽勝でしょう。いや、瞬時に分からなくても、問いをじっくり読んで理解するというやり方を今までの受験勉強でに身につけてきた人、もしくは、答えが見つからなくて、もう一度問いを読むことで問いのヒントに気づいた人もこの問題に正解したことでしょう。瞬時に分かった人はそれほど努力しなくても国語が得意な人、時間がかかった人は努力で国語を伸ばしてきた人と想像しますがどうでしょうか。国語を伸ばしたい人は、ぜひ、問いをおさえるという、当たり前のことを当然のこととして行えるように努力して下さい。
答えの一文には「スタートもゴールもどこだか分からない迷路」「いたずらに(意味:無駄に・意味もなく)なぞってみる」という表現があります。問いの「僕が何かに悩んでいることがわかる」「僕の行動」に合いますね。