| 新規会員登録

国語の合否を分けた一題

慶應中等部入試対策・国語の合否を分けた一題(2016年度)

難易度分類

A…慶應中等部合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題など
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題

問一 あ A  い A  う B  え B  お A  か A
問二 A  問三 C  問四 A  問五 A  問六 A
問一 Ⅰ B  Ⅱ B  Ⅲ A  Ⅳ B  Ⅴ A
問二 A  問三 A  問四 A  問五 B  問六 A
問一 B  問二 A) A  B)A  C) A
A) A  B)B  C) A  D) A  E) A

問題別寸評

論説文でしたが、出典の表記がなく不明です。「言葉の持つイメージのむくらみ」について論じた文章です。

問一

空欄に合う熟語を選ぶ問題です。空欄の前後をよく読み、絞り込んでいきましょう。(う)は、空欄直後に「微視的といった極端な対比」とありますので、「微視的」と対比される言葉を選びます。(お)は空欄の後に「幻想的な世界をかもし出している」とあることから、正解を選択しましょう。

問二

平易な問題ですが、「ふさわしくないもの」を選ぶという条件に注意しましょう。

問三

やや紛らわしい選択肢が含まれています。この場合の「ことばからイメージする」とは、本文冒頭に書かれている筆者の体験談からも分かるように、ことばの背景を考えるということです。「行間を読む」「自由に解釈する」という意味ではありません。

問四

詩に詠まれている季節を問う問題です。Aの虫は「鳴く虫」なので、夏ではなく秋です。「てふてふ」は春、雪はもちろん冬です。

問五

脱文をもとの場所に戻す問題です(脱文挿入問題)。脱文に含まれる指示語「その」が何を指しているかを考えます。また、「まずは」とあるので「自国の文化、経済、文化など」を知ったうえで、その後はどうするのかを考えると、戻すべき場所をしぼりやすいでしょう。

問六

本文中に「しんしんと降り積もる雪のイメージは、そのような命あるものをすべて眠らせる(神秘)的な力として、幻想的な世界をかもし出しているのだ」とあります。この部分に着目できれば、平易な問題です。

物語文でしたが、と同様、出典の表記がなく不明です。「食」をテーマにした内容で、ただ食べるだけではなく、食文化そのものを味わうべきだという「和洋叔父さん」の考え方をつかみましょう。

問一

語彙の空欄補充問題です。「水入らず」「黒星を喫する」「戦戦恐恐」など、教科書基本レベル以上のものが、いくつか出題されています。ただし、日常で用いられないものは、ほとんど出題されません。普段から言葉に対する意識を高めておきましょう。

問二

1~4のうち「『僕』と叔父さんとのやりとり」ではないものが一つだけ含まれていますので、それを選びましょう。

問三

叔父さんは、「僕」が小さいころから「謎をはらんだ好奇心をくすぐる話(質問)」をしてきて、うまく答えられずに悔しい思いをしていたと本文にあります。今回こそは、叔父さんを「あっ」と言わせたいわけです。

問四

指示語の問題ですが「それ」が指す具体的な内容は、「僕」が叔父さんとうなぎを食べた場面に書かれています。

問五

傍線部中の「鼻先を人差し指で撫でる」「はにかんでいた」に着目します。ここで「僕」は照れているわけですが、それは傍線部直前にあるように、「僕の言葉に叔父さんは急に語気を強め、まっすぐなまなざしと笑顔を向けた」からです。

問六

この物語文の主題は「食文化」です。ただ食べるだけでなく、その背景をしっかりと理解したうえで、食物を味わってほしいということです。

論説文で出典は柳田国男の「毎日の言葉」でした。までご覧になってお分かりかと思いますが、今年の慶應中等部は「言葉」がテーマになっているようです。ここでは「アリガトウの意味の変遷」について論じた文章です。

問一

唯一の記述問題です。後ほど「合否を分けた一題」で解説します。

問二

本文の内容と一致するかを問う問題です。いずれも平易な問題ですが、「あれ?」と迷ったら、必ず本文と照らし合わせることが大切です。

敬語を含めた「言葉の正しい使い方」を問う問題です。コンビニなどでも「○円からお預かりいたします」という言い方を耳にすることがありますが、本来は間違った使い方です。「大丈夫」という使い方も出題されていますが、おそらく問題作成者(慶應中等部の先生)が普段から「気になっている言葉」なのでしょう。もしかしたら、生徒がそういった使い方をしていたのかもしれません。

慶應中等部の漢字は、小学校で習う漢字であるにもかかわらず、小学生にとって難解な熟語が問われることがあります。ところが、今年はオーソドックスな漢字の出題でした。「雑貨」「再開」「保管」「首脳」など、中学入試ではおなじみの漢字ばかりですので、ここでの失点は避けたいところです。

合否を分けた一題

慶應中等部国語というと「大部分が記号選択問題」という印象があります。もちろんそれは間違っていませんし、今後もその傾向が大きく変化することはないと考えられます。したがって、慶應中等部国語攻略のカギは、まず記号選択問題のパターンを熟知することだと言えるでしょう。

一方、記述問題はどうでしょうか? 記号選択問題がある程度以上得点できたら、最終的な合否を決めるのは記述問題ではないかと私は思います。「合否を分けた一題」では記号選択問題ではなく、あえて記述問題を取り上げたいと思います。

では、「合否を分けた一題」として、の問一を解説しましょう。

まずは傍線部の前をていねいに確認しましょう。「ありがとうもこれと同様に、楽しいにつけうれしいにつけて、神または仏を讃えたのであります」とあります。ここから、「『ありがとう』という言葉は神や仏を讃えたものである」と導けます。

次に傍線部中を確認しましょう。「まるで自分に言われたように否定する」とは、短く言い換えると「自分に対する言葉ととらえる」となります。

実は、この問題の難しさは「文字数が少なすぎること」にあります。「『ありがとう』という言葉は…」という語句を入れると、25字以内では収まりませんので、省略するしかありません。ぎりぎりまでそぎ落として、以下のように解答作成をします。

(解答例)
神や仏への讃美を、自分への言葉ととらえているから。

この記事は役にたちましたか?
全く役に立たなかった役にたたなかったどちらでもない役に立ったとても役に立った (1 投票, 平均値/最大値: 5.00 / 5)
Loading ... Loading ...


慶應中等部合格対策ドクターのトップに戻る
この記事が気に入ったら是非ご登録を

慶應中等部入試対策・関連記事一覧

慶應中等部入試対策・同じ教科(国語)の記事

慶應中等部入試対策・同じテーマ(合否を分けた一題)の記事

他校の同じ教科(国語)の記事



PAGE TOP