自由型記述は、条件を順守するのが鉄則です。
設問内容を見てみましょう。
「七七、十四音の前句」 ⇒「お題」(今回は「喜びにけり喜びにけり」)
に
「おもしろい五七五、十七音の付句」
をつける。
これが設問内容です。
まずは、与えられた条件を整理しましょう。
①五七五の音数を守ること
②前句に使われている言葉を使わずに作ること
ただし、
「前句からおもしろおかしい出来事を連想して付句にまとめるのが『前句付』」
とありますから、
条件の三つ目として
③「面白おかしい出来事を連想して」「おもしろい五七五、十七音の付句」にまとめること
というのを忘れてはいけません。
この「おもしろさ・おかしみ」こそが本文に隠された解答条件なのですね。
ですから、たとえばいくら①・②の条件はクリアできていても、
▲おじいちゃん 手術成功 手をとって 喜びにけり喜びにけり
は、③の条件が守られていないため、減点対象となります。
では、
○おじいちゃん 3がならんだ通信簿 喜びにけり喜びにけり
はどうでしょうか?
ここで、「おとうさん」でも「おかあさん」でもなく「おじいちゃん」であることから、通信簿は孫のものであることが推測されますね。
通信簿が三段階評価ならば、この句は何のために作ったのか、作句者の意図がはっきりしません。
ここはやはり五段階評価中の並の3評価、それでも孫可愛さに「親ばか」ならぬ「爺ばか」になっている。
そのほほえましさ、おかしみを読みとれるなら、この付句は①②③条件クリアです。
① ②はなんとかクリアできても、③のおもしろおかしい要素、となると〈ひねり〉が必要です。
意外と完全に得点することは難しいことがおわかりでしょうか。
本番で時間もなく焦っているならば、部分点をねらって、とりあえず思いついたことを書いておく、という「逃げ」も必要です。
余談ですが、現代のお子さんは、「通信簿」や「五段階評価」という言葉にはなじみが薄いので、上記の付句は小学生向きではありません。
小学生ならば、
◎目をつぶり 開く答案 勘当たり 喜びにけり喜びにけり
といったところでしょうか。
さてさて、実際の受験者の中にどんな優秀作品があったのか、学校側に開示してほしいところではあります。
【一】 A ⇒ 問一(Ⅰ・Ⅲ)・問二・問三・問六・問七・問八
B ⇒ 問一(Ⅱ)・問四・問五・問九・問十・問十一
C ⇒ なし
【二】 A ⇒ 問一・問二・問六
B ⇒ 問四・問五
C ⇒ 問三
【三】 A ⇒ 問一
B ⇒ なし
C ⇒ 問二
【四】 B
【五】 B
A・・慶応中等部を志望するレベルなら確実に得点に結び付けなければいけないレベル
B・・差がつく問題
C・・慶応中等部を志望するレベルでも、得点に結びつけるのは難しいというレベル