1 | ①A ②A |
---|---|
2 | (1)A (2)B (3)B |
3 | (1)A (2)A (3)①A ②A |
4 | (1)A (2)B (3)B |
5 | (1)A (2)B (3)B |
A…筑波大附属中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
大問5の構成で各分野から1題ずつと、今年は地学が2題出題されました。ここ数年の中では問題数が多めの年でした。1問にかけられる時間は短くなりますが、正しい知識を身につけていれば、判断に困る問題はそれほど出題されていません。大問5で出題された日時計の問題は、根本的なとらえ方が身についていないと得点化が難しい問題ではあるので、合否を分けた一題として後ほど解説します。
2021年 筑波大附属中 理科 出題構成
例年の合格者最低点(割合)のデータから得点率7割をきちんと超えることを想定して難易度を分類しています。A問題の9割、B問題の5割を得点化できると、7割3分ほどの得点率となります。全体の受験者での正答率が10%を切るような難問は出題されていないと思いますが、得意不得意によってどの問題を確実に取るべきか、またそのために時間をどこに多めにあてるかは変わってくるでしょう。Bレベルの問題の半分は解ける力を確実につけられていたか勝負の分かれ目になったことでしょう。
(地学)堰堤という川の途中に作られた段差をテーマに、流水のはたらきに基づいて考える問題です。事前に知識として身につけていた受験生はそこまで多くないと思いますが、その場で考えて十分に解ける問題です。
文中補充の問題ですが、②の根拠となる理由を選ぶので、合わせて考えましょう。
エの選択肢「外来魚が上流へ進出する」ことは防ぎたいことではありますが、それに対応する根拠が①の選択肢にありません。②で選んだはたらきに対応する根拠が①にあるものを選びましょう。
(生物)メダカとヒトの誕生から話が始まり、植物も含めて比較する問題です。教科書やテキストから学ぶべき知識について事柄どおしを結び付けて覚えているかが問われます。
生物が成長するために必要なものと考えれば、養分と同じように生まれてからは外から取り入れている酸素であると分かります。
胎児と比較して考えると、受け取るのではなく蓄えられていることが特徴です。20字以内という字数制限にも注意して解答をまとめましょう。
同じようなことが見られる植物について答えるので、「ふ化直後」にあたるのは「発芽直後」、同様に蓄えられている養分でしばらく成長することについて説明しましょう。こちらも20字以内で答えるため内容は理解していても、まとまり切れなかった受験生も多かったと思います。例年、15~20字の記述が出題されているので、受験する場合は短い文で端的に説明するトレーニングは積み重ねておきましょう。
(物理)てこに関する問題です。典型題の計算問題や、てこを利用している道具について理解しているかが問われました。
図1から3まで、与えられた条件とまわそうとするはたらきの大きさの考え方を用いてきちんと計算しましょう。おもりの重さは具体的にはあたえられていませんが、大小関係について答えるので自分で定めた値(一般的には1とする)で計算を進めましょう。
(1)の続きとして考えます。自分の設定した値をたよりに問題の条件を満たす長さを逆算していきましょう。
てこの考え方を学習する際にほとんどの受験生が学習する内容ですのでA問題としましたが、知識として抜け落ちてしまっていた人もいたことでしょう。特に、栓抜きは日常で使う機会はほとんどなくなったのにも関わらず、理科では出題されつくりも実感しづらい道具です。知識事項としては当日焦らないように確認しておきましょう。てこの3点の配置をただ丸暗記するのではなく、道具としての役割と作りが結びついていることに注目しましょう。
(化学)水溶液の性質から分類について考える問題です。考えるためには各水溶液の性質が正しく知識として頭に入っていることが最低限必要です。
手順1によって6種類の水溶液は3種類ずつ2つのグループに分かれています。アやイでは2種類と4種類、ウでは1種類と5種類に分かれてしまうので、条件を満たすのはエだけです。
手順3はイでなければならないので、手順2と4を入れかえた解答として2通り答えましょう。あてはまるものを探すよりもあてはまらないものを省くという考えかたが重要です。
与えられた溶解度の数値をたよりに判断します。それぞれの選択肢について正誤の判断をするため、取り組む時間に差がつきやすい問題だったと考えられます。正答率がそこまで低くなるとは思いませんが、この問題の取り組み方によっては他の問題を解くための時間を圧迫してしまった人もいたことでしょう。潔く解かずに次の問題に進むことも一つの判断です。
(地学)日時計について考える問題です。太陽の運動について学習する際に、日影曲線については学習する人がほとんどです。今回は、水平な地面に置いた場合と、直方体の側面につけることで、地面に垂直に置いた場合について考えるという出題でした。表面的な知識の暗記になってしまっていると、(2)以降について正しく判断することが難しかったと思われます。
日時計Aは普段学習しているとおり、水平に置いた場合についてですので、太陽のある方角とは逆方向に影がのびることに気を付けて判断していきましょう。
天体の問題では、実際には立体的な運動をしているものを、ある方向から見ることで平面的にとらえて学習することがしばしばあります。地面に垂直に置いた場合については、考えたことがない場合でも、投影図を用いて考えましょう。
太陽は昼に南中するので、日時計をつけた側面は南に向けます。太陽が南中しているときは、西から見た図で考えると、棒の影が真下にのびる様子が見て取れます。午後2時の様子は上から見た図によって、西に傾いた太陽の光により影が東にのびていることが分かります。
日時計Aについての判断は問題ありませんが、日時計Bについてよく考えないとオを選んでしまいそうになります。(2)と同じように南中したときの様子を、夏と冬で比べてみましょう。
夏の方が冬よりも南中高度が高いため、日時計Bの場合は影が長くのびていることが分かります。教科書通りでは通用しないことも入試では出題されます。理科の様々な現象について考察するときは算数の力も大いに活用しましょう。