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理科の合否を分けた一題

筑波附属中入試対策・理科の合否を分けた一題(2018年度)

難易度分類

(1) A  (2)① A  ② A  ③ A
(1)① A  ② A  ③ A  (2) A  (3) B
(1) B  (2) B
(1) A  (2) A

A…筑波大附属合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2018年度の筑波大附属は、例年通り、基本的知識に基づいて適切に判断する問題と、実験から論理的に考察する力を試す問題が中心です。
筑波大附属特有の基本知識と、実験や観察の経験を問う問題がバランスよく出されています。
特に本年は、複数の分野にまたがった設問が多く、ただ覚えるだけでなく、知識と知識のネットワークがはられていて、使える知識となっているかが問われています。
大設問1は水の循環に関するもので、地学・化学・生物にまたがる内容です。
大設問2は季節の変化に関するもので、地学・生物にまたがる内容です。
大設問3は塩酸と鉄の反応に関するもので、実験の考察と、あらたな実験の立案が問われています。
大設問4は電磁石に関するもので、対照実験の考え方が問われています。

対策としては、普段から実験や観察に積極的に参加し、結果を整理したうえで論理的に考察できるようにしておきましょう。実験用のノートを作り、実験の目的や結果の意味、考察の背景を明確にしておくとよいでしょう。

問題構成は、4分野から大問4題、小問14問。
解答形式は、記号選択が13問、記述が1問。昨年あった、言語はありませんでした。
選択肢は、「すべて」選ぶものが多く、適切な判断が必要です。
記述は、15字以内の字数指定があり、適切な表現が求められています。
試験時間は、国語と合わせて50分ですから、理科は迅速に処理し、国語にまわせるようにするとよいでしょう。

問題別寸評

(地学・化学・生物)水の循環に関する問題です。
海や川、雲や氷山といった地球環境としての水にとどまらず、動植物の体内で循環する水についても、そのはたらきを考えます。
水は、あらゆる生命活動を支えています。

(1)

「すべて」選ぶ、選択肢の問題です
水の沸点や、沸騰蒸発の違いについての知識は、確実に答えられるようにしておきましょう。
呼吸によって、二酸化炭素と水ができ、呼気として排出されること。流れる水のはたらきについてもきかれています。

(2)

①発芽には、水が必要です。
②人の体内の不要なものは、尿として体外へ出されます。尿の大部分は水です。
③体液の大部分は水です。水は、体内の循環にも欠かせません。
②・③は、水はいろいろなものをとかして運ぶことができることに関係しています。

(地学・生物)季節の変化に関する問題です。
季節による、昆虫や天体のようすとその観察方法について考えます。

(1)

いろいろな生物の冬越しのしかたは、たくさんの学校でよく出されています。
冬越しのすがたと、場所を確かめておくとよいでしょう。
ナナホシテントウは成虫、オオカマキリは卵、カブトムシは幼虫で冬越しをします。

(2)

気温は、1.2~1.5mの高さで、温度計に直射日光が当たらないようにしてはかります。
そのままの表現でなくても、文意を読み取って答えます。高さについてはアが、直射日光をさけることについてはオがあてはまります。

(3)

「季節によって夜空のようすが変化していることがわかる」ことがらを選びます。
つまり、年周運動を確かめることができる観察を選びます。
ア・イ:月の形や出てくる時刻は、約29.5日周期で変化しますから、あてはまりません。
ウ:冬の大三角をつくるプロキオン・シリウス・ベテルギウスの色は、変化して見えることはありません。
エ:同じ時刻に見えるオリオン座の位置は、1か月に30°ずつ動いて見えます。
オ:例えば、同じ時刻に南の空に見える星は、1年周期で変わります。
したがって、エとオを選びます。

(化学)塩酸と鉄の反応に関する問題。
「鉄を塩酸に入れると、とけて水素が発生する」ことは、知識として知っています。
ここでは、それを確かめる実験を行い、その結果からわかることを考えます。
実験1からは、反応によって気体が発生すること。反応によって熱が発生すること。反応によって、固体の鉄はなくなったこと。が、わかります。
実験2からは、反応後に残った液体には、固体が溶けていることがわかります。
実験3では、溶けていた固体が、鉄と異なる性質をもつことを確かめています。

(1)

まさみさんの考えは、「鉄はあわ(気体)になって、空気中に出て行った。」となっています。
もし、鉄が気体となって出て行ったのであれば、試験管の中には塩酸だけが残っているはずです。
実験2で、固体が残ったことから、塩酸以外に、反応によって新しくできた物質があると考えられます。

(2)

→合否を分けた一題参照。

(物理)電磁石に関する問題。
電磁石の基本の問題です。

(1)

強い電磁石にするには、電流によって発生する磁力を強くしなけれがなりません。具体的には、
〇巻き数を増やす。→ウ
〇コイルに流れる電流を大きくする。→イ(回路全体の抵抗が小さくなるため)、オ(乾電池を直列につなぐと、回路全体の電流量が増えるため)
があてはまります。

(2)

エナメル線の太さ以外の条件は、すべて同じにしなければなりません。

合否を分けた1題

実験1の結果から、まさみさん・けんたくん・あきとくんの考えが出てきました。どれも、この段階では誤っているといえません。この問題では、さらに実験を重ねることで、だれの考えが正しいか確かめようとしています。
実験2で、液体に溶けているのは塩酸だけではないことから、まさみさんの意見が誤りであるとしました。
次に、実験3では、液体に溶けている物質が鉄以外のものであることから、けんとくんの意見が誤りであるとします。
このような考え方の流れを把握したうえで、実験2の結論の背景は何であったかを明確にすることができるかどうかが合否を分けたと考え、合否を分けた一題として取り上げます。

(2)

実験2で、「液体に溶けているのは塩酸だけではない。」となぜ判断できたのでしょうか。
それは、塩酸の溶質が気体で、加熱すると蒸発して残らないと知っていたからです。
ここでは、そのことを確かめる実験を答えます。
例えば、「うすい塩酸だけを加熱する。」と、すべて蒸発して何も残りません。

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