A…筑波大附属合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
一 | ⑴A ⑵A ⑶A ⑷A ⑸A ⑹A ⑺A ⑻B ⑼A |
---|---|
二 | ⑴B ⑵B ⑶B ⑷A ⑸A ⑹A ⑺a B ⑺b B ⑺cA |
今年度は論説文が1問、物語文が1問、合わせて大問2問の出題でした。数年前までは出題されていた放送の聞き取り問題やグラフの読み取り問題は今年度も出題されませんでした。特別な出題形式の問題がなくなり、受験生にとっては受けやすい学校となりました。出題された小問は記述3問、抜き出し5問、記号選択11問、漢字2問でした。論説文・物語文ともに課題文の文章は短めで、内容的にも基本レベルの問題がほとんどです。問題数も多くありません。受験者のレベルの高さを考えると、かなりの高得点勝負になったと思われます。この傾向は毎年変わらないので、基本的な問題を取りこぼすことなく得点できる受験生が求められていると言えます。
稲垣栄洋「はずれ者が進化をつくる―生き物をめぐる個性の秘密」
脱文挿入の問題です。脱文の最初に「そのため」とあるので、何のために取り除くのかを考えて答えましょう。「平均値は上がるかもしれません」という文の次に「そのため」を入れると、「かも」という不確定な要素が入っているので、つながりが良くありません。脱文や脱語挿入の場合は、当てはめて読んでみてしっくりくるかどうかで正解かどうかを確かめましょう。
傍線部の言い換えを選ぶ問題です。傍線部に「それ」とあるので、指示語の問題です。指示語の問題は、指示語の前の部分から指し示すものを探すことが鉄則です。数行前にある「生物はバラバラであろうとします。そして~」という部分が正解のヒントです。
傍線部の言い換えを選ぶ問題です。傍線部に「こうなると」とあるので、指示語の問題です。指示語の数行前にある、「かつて~」から傍線部までの部分をまとめましょう。傍線部の直前にある部分だけを見てしまうとどの選択肢が正しいのか迷ってしまいます。このような場合は捜索範囲を広げて考えましょう。
表の空欄を記述する問題です。設問に「文章中のことばを使って」とあるので、文章中に解答があるということです。設問の表にある「進化のメリット」というのがヒントです。メリットとは利点のことです。「飛べない鳥へと進化してい」くと、どうして「エサも少なくてす」み、「たくさん卵を産むことができる」のか、本文からその理由を探し、文末を変えれば正解となります。
表の空欄にあてはまることばを抜き出す問題です。設問の表にある「ブラキオサウルスの仲間にしては」と同じ表現を本文から探せば、容易に解けます。
傍線部の空欄にあてはまることばを答える問題です。本文の最初にある「ほとんどのカタツムリの殻は右巻きです」という文章をヒントにしましょう。筆者の説明も、カタツムリの殻が右巻きであるというところから話を始めるのが当然です。
空欄に入る接続語を選ぶ問題です。
傍線部を説明した設問の文章にあてはまることばを抜き出す問題です。Cは二字、Dは十一字という字数指定があります。Cは設問の文中にある「繁殖や生存」という言葉を、Dは「進化への影響」という言葉を本文中から探しましょう。そこの近くに正解となる表現があります。空欄抜き出し問題では、空欄の前後の言葉が大きなヒントになります。
大問に使われている2つの文章の要約と共通点を選ぶ問題です。不正解の選択肢はⅠ、Ⅱそれぞれの要約に間違いがありますし、共通点の部分で本文にない価値観を持ち出しています。
漢字の書き取りの問題です。
高田由紀子「スイマー」より
傍線部の表現から読み取れることを選ぶ問題です。抽象表現を具体化する問題なので、苦手なお子さんは多いでしょう。このような問題では全体的な読み取りをするのではなく、選択肢の文章を2つに分け、それぞれの表現が正しいかどうかを考えましょう。選択肢どうしの内容を対照し、「さげすむ」「心配する」「とまどう」「気落ちする」の4つにそれぞれ〇×をつけ、「はげます」「たたえる」「失格にしないようにのぞむ」「熱狂する」の4つにも同様に〇×をつければ、正解は自然と導き出せます。
傍線部の発言から読み取れる登場人物の心情を選ぶ問題です。傍線部の言い換えとしてぴったりくる選択肢がないので難問です。龍之介にメドレーリレーに出てほしい、という信司の思いは、具体的か抽象的かの違いはありますが、全ての選択肢に書いてあります。「ぼくは…逃げないよ」という発言を的確にまとめている選択肢を選びましょう。
合否を分けた一題で解説します。
傍線部での主人公の心情を選ぶ問題です。航は「笑い続ける龍之介を見て」気を取り直したわけですから、そこを言い換えた選択肢を選びましょう。
空欄にあてはまることばを抜き出す問題です。海人の発言したことばですから、この場面での龍之介と航の会話がヒントになります。龍之介と航が話題にしていることばを探しましょう。
登場人物の発言のあとに省略された内容を記述する問題です。設問に「主語・述語が整った文で」「具体的に」答えるという指示があります。コーチの問いかけに対する龍之介の答えを書きましょう。主語は龍之介の一人称なので「おれ」が適当です。「具体的に」という指示があるので、「メドレーリレー」ということばを使いましょう。述語は「○○する」という形で答えましょう。
本文についてまとめた設問部分の空欄にあてはまることばを抜き出す問題です。航が「東京のスイミングクラブにいたころの話を」「話し始めるとき」の「苦しそうな」様子を十字以内で探しましょう。「話し始めるとき」ですから、航が話をしてしばらく経ってからの表現を答えてはいけません。設問の条件をしっかりと読み取りましょう。
本文の表現の工夫を選ぶ問題です。設問の最初に「龍之介を説得する航の気持ちとそのえがかれ方」という指定がありますので、この部分だけを考えましょう。「せりふの形」とは、必ずしも「」を使った表現ではありません。独り言の形で書かれているものも含まれます。
傍線部の理由を選ぶ問題です。この場面での最後の方の航の発言に「おまえたちが誘ってくれたから」「また泳ごうって、思えるようになったんだ」とあり、本文の最後の父さんの発言に「佐渡で大事な仲間ができた」とあります。両方を参考にして選びましょう。
傍線部の説明を七十字以内で記述する問題です。記述問題としてはやや長めですが、参考にする箇所は比較的わかりやすく、決して難問ではありません。しかし、参考箇所をそのまま記述すると大幅に字数制限を越えてしまうので、重要度を考えた取捨選択が必要です。必要な個所をまとめることができたか否かで差がついたと考え、合否を分けた一題として取り上げることにしました。
考え方
主人公が自分の過去を振り返ったときに「今なら分かる」と思ったことを記述する問題です。主人公の過去について本人が詳しく振り返っている場面はこの部分しかないので、参考にする箇所は分かりやすいです。傍線部の前の部分2つと後の部分の内容をまとめ、足りないことばを付け足せば正解となります。まずは傍線部の前の部分と後の部分の要旨を考えます。この要旨は実際に書く必要はありません。
上記2つをまとめます。記述では、書いていないことを指示語でまとめてはいけないので、冒頭の「あの時」をくわしく説明します。
このままでは字数制限を越えてしまうので、以下の3つの作業を行います。
①「優勝できたら」「一番になりたかったら」などの重複表現をまとめます。
②否定的表現と肯定的表現で同じ内容があって字数制限を越えそうになっているので、肯定的表現を優先し、否定的表現を省きます。
③長いことばは同じ意味の短いことばに置きかえ、重要でない具体的表現は省略します。