1 | 問1 A 問2 B 問3 A 問4 A 問5 A 問6 A問7 B 問8 A 問9 A |
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2 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 B 問5 A 問6 A 問7 A 問8 B |
3 | 問1 A 問2 A 問3 B 問4 B 問5 A 問6 B 問7 A 問8 A |
A…豊島岡女子中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2020年の入試でも、例年通り地理・歴史・公民が大問1題ずつ出題されました。
C難度の問題はなく、全体的な難度は昨年と同等、例年と比較するとやや易しかったといえます。
選択問題では一部中学入試ではなじみのうすい用語も出題されましたが、リード文の参照や他の選択肢との比較で十分対処できる内容でした。
各分野、穴のない確実な知識と、因果関係を押さえた理解が求められる出題内容となっています。
歴史分野の出題。「先人たちが困難な状況にどのように対処してきたか」を切り口として、外交史、政治史上の転換点について出題されました。
歴史上の出来事の流れを問う年代整序問題や同時代史についての出題もあり、単なる用語暗記では太刀打ちできない内容ではありますが、難易度としては例年と同程度です。
リード文を読む際に手がかりを探すことを意識して傍線部の前後を読めたかどうかが、スピーディーな解答の鍵になりました。
6世紀頃(古墳時代)の中国、朝鮮半島のようすについての出題です。
リード文を注意深く読み、7世紀初めの日本が影響を受けた=6世紀までのできごとを答える必要がありました。
1.新羅の朝鮮半島統一は636年(7世紀)、2.隋の中国統一は589年(6世紀)、3.後漢の滅亡~三国時代は3世紀前半、4.モンゴルの朝鮮半島進出は13世紀半ばのできごとです。
年号まで記憶する必要はありませんが、古来日本は大陸からの影響を強く受けていることを考えると、日ごろから資料集を活用して、同時代のようすを押さえておくとよいでしょう。
渡来人により日本に伝来し、取り入れられたものについて選ぶ問題です。
問1と同様、「6世紀末まで」という表現に注意しましょう。
2.貨幣が日本に取り入れられたのは638年ころの富本銭が最初です。5.律令は7世紀後半から一部が取り入れられ、701年(8世紀初め)に、唐の律令を参考に最初の本格的な律令である「大宝律令」が定められました。
江戸時代、モリソン号事件への批判をきっかけに渡辺崋山らが処罰された「蛮社の獄」についての出題です。
1.は1842年の「薪水給与令」、2.は大老井伊直弼が1858年に結んだもので、これを批判した開国反対の水戸藩主や吉田松陰を処罰したのが「安政の大獄」です。4.ラクスマンの根室来航は1792のことです。通商は認められませんでしたが、長崎への入港許可は与えられ、1804年レザノフ来航のきっかけとなりました。
明治政府の政策についての年代整序問題です。明治時代初めは年代整序の問題としては頻出ですので、年号も併せて覚えておきたいところです。
1.は1889年、2.は1872年(殖産興業政策の一環として)、3.は1885年、4.は1901年のできごとです。
各時代の武士による統治政策について、正しいものを選ぶ問題です。
1.「御成敗式目」は守護・地頭・御家人の権利や義務、裁判の基準を定めた最初の武家法です。「朝廷が守るべき決まり」が誤り。
2.「守護や地頭を置くのをやめて」が誤り。守護・地頭は室町時代にも引き続き置かれました。守護が任命された地で力をもち、領主化したものが応仁の乱で争った細川氏・山名氏などの守護大名です。
「管領」とは将軍を補佐する役職です。
4.「公事方御定書」は裁判の決まりを示したもので、朝廷の管理、統制には「禁中公家諸法度」が定められました。
皇位継承をめぐる争いとして適切なものを選ぶ問題。
1.応仁の乱は室町幕府8代将軍の足利義政の跡継ぎ争いと、有力な守護大名同士争いがからみあったもの。
2.大塩の乱は江戸時代の1837年、大阪の元役人大塩平八郎がききんに苦しむ民衆を救うために起こしたものです。
3.島原の乱は江戸時代初めの1637年、幕府によるキリシタン弾圧を受け、キリシタンと農民が起こした一揆です。
5.平治の乱は平安時代末、保元の乱の後、後白河上皇のもとで力をもった平清盛と源義朝が争った戦いです。平清盛側が勝利し、平氏の全盛期を迎えるきっかけとなりました。
「三不如意」とは、院政を始めた白河上皇が、「賀茂川の水、すごろくのさい、山法師(比叡山延暦寺の僧兵)、これぞわが心にかなわぬもの」と上げたものです。
アメリカでの株価暴落から始まった経済の混乱を答えるものです。大陸への侵略で日本経済の立て直しを図ったというところから、「世界恐慌」を答えます。
満州事変~第二次世界大戦開戦までの日本の動きについて、正しいものを選ぶ問題です。
1.「盧溝橋事件を機に」が誤り。満州国建国の動きは、柳条湖事件をきっかけにはじまりました。
2.「二・二六事件で」が誤り。犬養毅首相が暗殺されたのは「五・一五事件」です。
3.日中戦争開戦は1937年、日本の国際連盟脱退は1933年と、できごとの前後関係に誤りがあります。
地理分野から、豊島岡女子学園の最寄り駅である池袋駅周辺や、東京都について、地図や統計資料を用いて幅広く出題されました。
表の判別問題が3題出題されていますが、一番大きな数字、小さな数字に着目して、それぞれの項目を特徴にもつ選択肢を考える力が問われました。
表の判別問題。
東京都とその周辺の3県(神奈川県、埼玉県、千葉県)の鉄鋼業出荷額、県庁所在地の家賃、1世帯当たりの乗用車保有台数をもとに判別します。
東京都を選ぶ問題なので、県庁所在地の家賃、1世帯当たりの乗用車保有台数の数値がともに大きいことから4を選択します。
鉄鋼業の出荷額が一番高いことから1が京葉工業地域のある千葉県、鉄鋼業の出荷額が少ない3が内陸にある埼玉県、残った2が神奈川県となります。神奈川県は、県庁所在地の家賃が東京都に次いで全国第2位です。
鉄道の終着点や大きな駅で、他の鉄道やバスの路線などの起点や乗換駅となる駅のことを「ターミナル駅」といいます。
異なる時代の地形図を比較して、土地利用の状況を問う問題です。
あ、い、え の選択肢は古い地図上でも同じ場所に道路があることが確認できます。
→表の判別問題。合否を分けた一題で扱います。
図をもとに、共通する特徴を記述する問題。
市街地の発達は、古くは街道沿いに発達した宿場町にもあるように、交通の便の良いところに見られることから考えます。
1914年~1986年の間に大きく範囲が広がっていることから、鉄道の路線が敷設されたことにより行き来が便利になった場所で市街地が拡大したことがわかります。
平成26年度第一回入試にも、全く同じ図を用いた同様の問題が出題されています(大問2問2)。
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」といいます。ここ数年、中学入試でも多く取り上げられている用語です。
APECは「アジア太平洋経済協力」、NIEsは「新興工業経済地域」の略で、韓国・台湾・シンガポール・ギリシャ・メキシコなどを指します。OECDは「経済協力開発機構」、TPPは「環太平洋パートナーシップ協定」の略です。
都市鉱山から取り出されるレアメタル・レアアースの資源化への取り組みが進められていますが、現在の技術では、コスト面の問題から再資源化が難しいことが明らかになっています。
グラフの判別問題。
産業用ロボットの稼働台数の推移のグラフを見ると、数値が下降していっている あ が日本、2010年から大きな伸びを見せている う が中国です。
現在世界の稼働台数1位は中国、2位が日本、3位が韓国となっています。
公民分野について、平和な社会をつくるための取り組みを切り口に知識を問う問題です。
難問は出題されませんでしたが、憲法・国会・裁判所・国際関係・時事問題と幅広く出題されています。
「子どもに教育を受けさせる義務」が保障する権利について問う知識問題です。基本的人権のうち、社会権に含まれる「教育を受ける権利」を保障しています。
憲法9条については、自衛隊の位置づけをめぐり議論が続いています。
平成29年、27年にも関連する問題が出題されており、押さえておきたい問題です。
憲法改正の発議には衆議院・参議院でそれぞれ総議員の三分の二の賛成が必要となりますが、憲法改正が一つの争点となった2019年の参議院選挙では、改憲に賛成する議員の数は必要な合計164議席には4議席足りない結果となりました。
日本が加盟している国際機関をすべて選ぶ問題です。
1.の経済協力開発機構(OECD)は模試等での出題が少ないため迷った受験生もいるかもしれませんが、日本は発足当時から加盟しています。
時事問題からの出題です。
「主要国首脳会議(サミット)」の参加国であるG7は、カナダ・フランス・ドイツ・イタリア・日本・イギリス・アメリカで構成されています。2019年はフランスのビアリッツで開催されました。
G7の参加国にBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アメリカ)とアルゼンチン・オーストラリア・インドネシア・韓国・メキシコ・サウジアラビア・トルコとEU(ヨーロッパ連合)を加えて開かれる会議が「主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)」で、2019年は大阪で開催され、自由貿易の推進と海に流れ込むプラスチックごみの削減について話し合われました。
国際赤十字やアムネスティ・インターナショナルなど、民間人や民間団体の作る団体を「非政府組織(NGO)」といいます。
一度判決が確定した裁判について、重大な理由がある場合に裁判のやり直しをすることを「再審」といい、民事裁判、刑事裁判ともに認められています。
内閣が総辞職するのは、2.3.4.の選択肢に示された3つの場合のみです。
4.最高裁判所裁判官の国民審査が行われるのは、裁判官の任命後初の衆議院議員総選挙のときで、その後10年経過するごとに、経過したあと初めての衆議院議員総選挙で国民審査が行われます。
表の判別問題。
挙げられている項目がなじみの薄いものでも、都道府県の特徴と結び付けて考えて手がかりを見つけることができたかどうかが、正解するかどうかの分かれ目となりました。
農作物など頻出のものは順位を覚えておく必要がありますが、知識を問うというよりは自分で考えて答えを出すタイプの問題で、この学校らしい出題といえます。
都道府県別の耕地率と林野面積率を示した表を見て、大阪府、高知県、千葉県、山形県のうち千葉県を表したものを選びます。
表の判別では、数字が極端に大きいもの、または小さいものを手がかりにして考えていきます。
千葉県は近郊農業が盛んで、農業生産額全国第4位であることから、耕地率に着目すると答えは1か2に絞られます。
次に、林野面積率を考えます。千葉県は北部の東京湾側が市街地と工場地帯、下総台地では畑作、太平洋側の九十九里平野では稲作が広く行われていることから、林野面積率が30.8%と低い1を選びます。
補足として、耕地率は割合が高い順に全国1位が茨城県、2位が千葉県、3位が佐賀県(2015年)となっています。
林野面積率は割合が高い順に、高知県が全国1位(「最後の清流」四万十川が流れていることを考えるとイメージしやすいですね)、46位が千葉県、47位が大阪府です。