「豊島岡女子学園中学の傾向分析」で述べた出題傾向を踏まえて、これまで豊島岡女子の合格者と共に私自身が実践してきたそれぞれの攻略法をお伝えします。
前半戦[1][2]では失点ゼロで40点を確保したいところ。そのためには、①基本レベルの典型問題は当然のこと、“基本+α”レベルの問題の解法を定着させる、②処理速度を上げる、の2方向からの対策が必要です。
①基本レベルの典型問題については、「各塾のテキストに収録されている例題」や「各塾の計算問題集に付随する一行問題群」を解く作業を疎かにしないことです。特に後者を軽んじる生徒は足元をすくわれます。
“基本+α”レベルが出題される分野は、数の性質と平面図形。このレベルの問題の解法定着のためには、経験値を高めることが肝要です。そのために、月刊誌『中学への算数』の「レベルアップ演習」に載っている数・図形に毎月取り組んでもらうとともに、同レベルの一行問題を他校の過去問からピックアップしたものを解いてもらいます。
②処理速度を上げるには、思考・計算・筆記の各場面でスピードを追求することです。
筆記については心掛け次第ですぐに効果は現れます。
計算については、制限時間遵守で毎日の計算練習を行うことに加えて、「安易に筆算に
頼らず暗算力を鍛える」、「軸となる数値を覚える(円周率計算、三角数、平方数など)」、「計算の工夫を常に意識する」ことによりスピードがついてきます。
思考については、1問ごとに制限時間を設けて問題演習を行う時間帯を作り、その時間帯は常にスピードを意識して考えるというトレーニングを行います。その際、自分が必ずわかる問題、必ず解ける問題を繰り返し取り扱うこと。この“わかる問題・解ける問題の徹底反復”が、思考のスピードアップの秘訣です。
まずは、中盤戦の頻出分野である、①速さ、②平面図形、③点の移動、について。
①速さについては、過去10年間は、速さの3公式、平均の速さ、旅人算、通過算、流水算、周期と速さ、といったように非常にバリエーションに富んだ内容ですが、比が絡んだ速さの問題が多いことは一貫しています。以前は難度が高めの出題が時折目についたものの、最近は速さと比を学んだばかりの生徒に取り組ませたいような典型題ばかり。
これくらいのレベルの問題で、進行の様子を図示し、時間一定・距離一定の着眼点をつかみ、比・逆比を利用して解く、という一連の作業を短時間で手際良く行う練習を繰り返します。
②平面図形については、正多角形の分割、相似と比、円・おうぎ形、が3大テーマ。
特に正方形・正三角形といった正多角形の分割の出題はほぼ毎年あり、女子中では珍しく高難度の正六角形の分割も出題されます。そのため、正六角形を好んで出題する早稲田中、渋谷教育学園幕張中の過去問を利用して、正六角形特有の分割方法と角出しを使いこなせるようにしておきます。
3大テーマそれぞれにおいて男子難関校並みの出題が考えられるため、適切なレベルでの十分な演習量を確保します。