医学部をはじめとする堅実な大学合格実績を積み重ね、確固たる地位を築き上げた豊島岡女子学園中。「難問も出題されるが、基本問題さえ確実に解けるようにしておけば合格ラインに乗る」という一昔前の分析は、残念ながら現在では通用しません。
もはや“女子御三家志望者の滑り止め校”に甘んじるという認識は薄れつつあります。しかし、御三家との併願者が多いのは事実であり、受験する母集団はハイレベル。そのような状況で、豊島岡女子を第1志望校に据える生徒は、どのように学習を進めればよいのでしょうか。
以下、豊島岡女子の算数の傾向分析を行い、合格のために必要な対策を述べます。
前半戦の[1][2]に配置される8問はすべて基本レベル。ただし、豊島岡女子を志望する生徒にとっての“基本”レベルであって、一般受験生にとっては“基本+α”レベルの問題も含まれます。失点を避けるだけでなく、後半に十分な時間を割くためにも、いかに短時間で乗り切るかがポイント。正確性とスピードが問われます。
冒頭の計算問題に加え、数の性質、割合と比、図形、規則性といった分野が頻出ですが、それ以外からも満遍なく出題されます。全分野について極力、穴をつくらないことが肝要です。
様々な分野から出題される前半戦とは打って変わって、中盤戦・後半戦は頻出分野が明確です。
中盤戦[3][4]の頻出分野は、①速さ、②平面図形、③点の移動。難易度には幅があり、平面図形での高難度の出題が目につきます。
後半戦[5][6]の頻出分野は、①条件整理+場合の数、②立体図形。どちらも重量級の大問と考えておきましょう。[5]には長い問題文を読みこなして整理しながら解き進めていくゲーム問題が、[6]には女子校にしては重い立体図形の問題が配置されるのが、ここ5年間の定番です。
学校側公表の合格者平均点と受験者平均点をもとに考えると、第1回入試の合格ラインの目安は7割でしょう。配点も公表されていて、[1][2]が5点×8問、[3]~[6]が6点×10問、合計100点というスタイルはここ8年間不変です。
配点がはっきりしているため、自分がどれくらい得点できているか、試験中のどの時点でも計算できます。ゆえに、状況に応じて時間配分を組み立てることができれば上手くいきますが、それができなければ焦りにつながるだけという悲惨な結果になります。時間配分の基準を作り上げ、その実践練習を積んでおくことは必須です。