白黒で写真がほとんどないのが残念ですが、簡潔すぎず詳しすぎず、塾の授業を復習するための教材として、日能研のテキストはよく出来ています。カリキュラムに無理もなく、中学受験に必要な内容をこなせます。通常授業では理解に重きが置かれているため、しっかり内容が理解できている受験生が多い印象があります。
ただ、通常授業ではほぼ説明のみで演習が行われないため、問題を解くとなると手が動かない、何をしてよいか分からないといったタイプが見られます。演習は講習期間に行われていますが、それでは演習量が足りていないのは実情です。この場合私の授業では、理解の確認をした上で、具体的な手の動かし方を徹底します。数値に線を引く/書き抜く(書き抜き方)/書き込みをする(書き込み方)、そしてその後の処理の仕方…習わなくても出来る生徒もいますが、習わないとまったく思いつかない生徒もいます。豊島岡では計算問題が中心ですから、要領よく解く方法を知っていないと勝負できません。
6年前期までは日能研のカリキュラムにしたがって
授業→復習→本科テキストの問題と栄冠への道で演習→カリキュラムテスト→直し
のサイクルでよいと思います。量が少ないですが、問題のセレクトは偏りがなく、それぞれの単元でいろいろなアプローチの問題があるのがよいところです。演習量が足りない場合(やっと解けるようになったばかりでテストを迎えてしまう場合、解けるが時間がかかる場合)はコピーしておいてもう一度解くことをオススメします。
また、オプションコースで計算の回や物理、化学の発展的な問題を扱う回があった場合は必ず受講するようにしてください。
6年後期も基本的に日能研のカリキュラムにしたがっていけばよいと思います。塾での授業は知識抜けや計算方法の確認に役立て、自宅ではどんどん過去問を進めてください。
テストはかなり内容の濃いものを出す日能研です。とても詳しい解説がネット上に公開され、最新の問題に対応出来るのがすばらしいところです。公開テストでは毎回、その場で考える実験問題や読解問題が出題されていますが、豊島岡志望生は、ここは解きなおしに時間を割かず、計算を使う応用問題をていねいに解きなおしてください。
さて、日能研には大きな欠点がひとつあります。メモリーチェックではまったく知識が足りません。本科テキストにはひととおりの知識が載っていますが、そこからまとめ出すのは大変です。塾で追加の知識プリントが配られればそれでもよいですが、ない場合は市販のものを買ってください。「教養のための理科/受験編」もしくは「最高水準ノート」あたりがよいでしょう。3回は通して完璧に覚えてください。