大問1 | (1) A (2) A (3) A (4) B (5) B (6) C |
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大問2 | (1) B (2) B (3) B (4) B |
大問3 | (1) A (2) A (3) A (4) B (5) B |
大問4 | (1) A (2) A (3) B |
A…豊島岡中合格のためには、必ず正解しておきたい問題
B…合格者と不合格者の間で、得点率に差がついたと思われる問題
C…合格レベルの受験生にも難しく、あまり差がつかなかったと思われる問題
大問4題、大問1から順に物理・化学・生物・地学の分野から各1題ずつという、例年通りの構成が踏襲されています。
学校発表の受験者平均点は31.22点、合格者平均点は36.56点でした。難度や、合格者と不合格者の間についた得点差は、ほぼ例年並みです。
大問1の物理分野、大問2の化学分野では、実験データを整理し、その場で考察して解答することが要求される、今年も豊島岡らしい出題でした。物理・化学の2分野については、過去問での対策が特に重要になる学校です。
物理分野から、電流と抵抗に関する出題です。登場する豆電球とLEDは、受験生が通常学習しているような振る舞いをしておらず、与えられたグラフから電流と電圧の関係を読み取って解答することが必要になります。このように、実験データからの現場思考が必要な問題は、豊島岡の物理分野では頻出です。
電圧(V)を電流(A)で割ると抵抗が求められることが問題文で与えられていますので、それにしたがってそのまま計算します。図2から、電圧0.5Vのときに豆電球に流れる電流は0.1A、1.5Vのときは0.2Aであることが読み取れるので、抵抗はそれぞれ、
0.5V÷0.1A=5Ω、1.5V÷0.2A=7.5Ω
です。
LEDについても図2から読み取ります。電圧が0.6Vあたりまではほとんど電流が流れない(=抵抗が大きい)のに対して、電圧が大きくなると電流の値が急激に大きくなる(=抵抗が小さくなる)ということが分かります。
すべての豆電球が同じ明るさで光っていることから、図3-Bの上の豆電球には、図3-Aの豆電球と同じ電流が流れています。
よって、図2から電圧1.5Vのときに豆電球に流れる電流の値を読み取れば答えを得られます。
2つの豆電球に同じ強さの電流が流れ、電圧計の値の和が1.5Vになっていることから、豆電球1つにかかっている電圧は、1.5V÷2=0.75Vであると考えられます。
図2から電圧0.75Vのときに豆電球に流れる電流の値を読み取れば答えを得られます。
豆電球とLEDに同じ強さの電流が流れていて、電圧の和が1.5Vになっています。図2を参考にして、豆電球とLEDにかかる電圧の和が1.5Vになるような電流の値を探します。
電流が0.1Aの線を水平に見てみると、豆電球には0.5V、LEDには1Vの電圧がかかっていて、和がちょうど1.5Vになっています。よって、図5に流れる電流の値も0.1Aです。
興味深い問題ですが、試験時間内で論理的にきちんと解くのは難しいでしょう。
図6の豆電球がついていることから、回路中で唯一(並列でなく)単独につながれている「鉛筆の芯」には電流が流れることが分かります。
図6の右上部分と、図7の左下部分には、「5円玉」と「フェライト磁石」が並列につながれており、図6の豆電球がつくことから、図7でもこの部分は電流を通しているはずです。また「鉛筆の芯」が電流を通すことがすでに分かっているので、図7の豆電球がつかないのは「金色の折り紙」が電流を通さないからであるということが分かります。
再び図6に戻ります。左下の並列部分にある「金色の折り紙」は電流を通しません。よってこの部分では「水銀」が電流を通しており、ここにある電池は回路に電圧をはたらかせてはいません。すなわち、図6では右上にある電池が回路に電圧をはたらかせており、「5円玉」「水銀」「鉛筆の芯」を通る回路ができているのだと判断できます。
論理的に解く手順の一例は以上のようになりますが、試験ではある程度「当てはめ」を行って解くのが現実的でしょう。時間がかかりそうと判断したら飛ばしても差し支えない問題と言えます。
合否を分けた一題として後述します。
メダカの卵のふ化に関する出題です。極端な難問は見当たりませんが、多くの受験生にとって、(2)以降では解答に100%の自信を持ちきるのは難しかったかもしれません。
水槽を直射日光の当たるところに置くと水温が上がりすぎるため、直射日光の当たらない明るい場所に置くようにします。
また、えさの食べ残しが生じると水を汚す原因となるため、食べ残しの出ない程度に与えます。
生まれたばかりの卵(え)から数日の間に、卵の中に小さな粒が数多く生じ(あ)、これがメダカの体の元となります。その後、体の形がはっきりとし、徐々に大きくなってきます(う→い→お)。
メスの背びれには切れ込みがなく、しりびれは三角形に近い形をしています。また、卵は腹びれとしりびれの間から生まれます。
自信を持って解答するのはやや難しかったかもしれません。
あ→逆に、オスの方がメスの腹部をつつくような行動が見られます。
い→逆に、オスの方がメスの周りを泳ぐ行動が見られます。
え→オスがメスを産卵場所に誘導するような行動は、メダカには見られません。
まず、ふ化率に注目します。水温22℃と26℃のときにふ化率が90%と最も高くなっており、8月11日から17日の7日間で10個×7=70個の卵を採取するので、そのうちの90%すなわち63個がふ化すると考えられます。
次に平均ふ化日数に注目します。水温22℃のときには平均ふ化日数が15日ということから、8月17日に採取した卵は8月31日までにふ化が間に合いません。26℃のときの平均ふ化日数は10日なので、上記63個の卵すべてが8月31日までに稚魚になっていると考えられます。
地学分野から、月の満ち欠けに関する出題です。(3)をきちんと計算で処理しようとすると誤答してしまう可能性がありますが、本年のセットの中では全体に得点しやすい大問だったと言えます。
月の公転周期と自転周期は一致しており(27.3日)、月は常に地球に同じ面を向けていることは豊島岡受験生にとっては基本的な知識です。月面上の点xは月がどの位置に公転しても、常に地球の方に向いています。
上弦の月から15日後には下弦の月が見えます。下弦の月がのぼってくる時刻は、真夜中ごろです。いずれも非常に基本的な内容です。
月の公転のみを考えると360°÷27.3日=13.18…より、1日に約13度西から東に移動すると考えたくなるかもしれません。しかし、見かけの月の動きには地球の公転も関係しています。地球の公転のはたらきによって、同時刻では1日に約1°東から西にずれてので、月の公転の影響と合わせると、1日に約12度西から東に移動することになります。
12度に対応する時間は約48分であり、西から東に移動するので、前日と比べて日々遅い時刻に南中します。
このあたりの事実は豊島岡受験生にとっては基本的知識と言って良く、計算問題としてではなく、知識問題として処理した受験生も多いでしょう。
大問2を取り上げます。
化学分野から、クエン酸と重曹、水酸化カルシウムの反応に関する計算問題です。小学生にとって初見の化学反応を与えた上で比例関係に着目して計算させるという、本校に特徴的な出題でした。
過去問を充分練習していないと難しく感じそうですが、豊島岡の化学計算問題としては難度は比較的抑えめと言え、受験生間で大きく差がついた大問になったと思われます。
【気体Aの性質】の中に、250mLの重さが0.44gであることが書かれています。1L当たりの重さは、0.44g×(1L/0.25L)=1.76gと計算できます。
22gのドライアイスの体積は13.75㎤です。22gの気体Aの体積は、250mL×(22g/0.44g)=12500mL=12500㎤と計算できます。
したがって、ドライアイスが気体Aに変化するとき、体積は12500㎤÷13.75=909.09…より、909倍になります。
クエン酸と重曹の反応、すなわち【反応①】の数値を参考に考えます。
発生した気体A275mLの重さは、0.44g×(275mL/250mL)=0.484gと計算できます。したがって、反応したクエン酸の重さは、10.5g×(0.484g/6.6g)=0.77gです。
【反応③】より、クエン酸12.6gと過不足なく反応する水酸化カルシウムの重さは、5.55g×(12.6g/10.5g)=6.66gです。したがって(4)の反応後には、クエン酸は残っておらず、水酸化カルシウムが8.88-6.66=2.22g残っています。
ここに重曹10gを加えると反応②が起こります。水酸化カルシウム2.22gと過不足なく反応する重曹は12.6g×(2.22g/5.55g)=5.04gなので重曹の量は充分あり、沈殿Bが7.5g×(2.22g/5.55g)=3g生じます。