1 | (1) A (2) A (3) B (4) B (5) A |
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2 | (1) A (2) A (3) B (4) A (5) A (6) A (7) A |
3 | (1) A (2) A (3) A (4) A (5) A (6) B |
4 | (1) A (2) A (3) A (4) A (5) B (6) B |
A…豊島岡合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2019年度の豊島岡は、例年に比べて、大幅に易しくなっていて、高得点をねらえる問題となっています。易化傾向にあった昨年度と比べても、受験者平均で7.49点(29.88点→37.37点)、合格者平均で7.02点(34.78点→41.80点)上がっています。実に、50点満点で合格者平均が40点を超えているということは、満点をとった生徒が何人もいたであろうことがうかがえます。
理社で50分という限られた時間の中で、高度な計算問題に取り組まなければならなかったこれまでの問題形式と比べて、本年は特に、計算問題の問題数が半減し、難易度もかなり抑えられています。知識問題も基本的なものが多くしめています。過去問で力をつけてきた受験生にとっては、少々肩すかしだったかもしれませんが、逆に言えば、ミスが少なかった生徒ほど有利だったといえます。
物理分野の問題は、斜面を転がるものの運動についての問題。
化学分野の問題は、水溶液と金属、中和反応についての問題。
生物分野の問題は、ヒトの体内のつくりやはたらきについての問題。
地学分野の問題は、気象観測・湿度についての問題。
物理→化学→生物→地学 の流れは、例年通りです。
豊島岡特有の論理的に考える力が求められる問題に対しては、根本原理が理解できているかどうかがポイントとなります。普段の学習で、「なぜそうなるのか」「他の条件ではどうなるのか」を常に意識しましょう。数的処理力を必要とする問題に対しては、表やグラフを読み取り、関連付けて考える力をつけておく必要があります。ある程度の演習量も必要ですが、考え方や式をかくことで、解法を自分のものにしておくことが大切です。
問題構成は、4分野から大問4題、小問29問。昨年より、6問減少しています。
解答形式は、記号選択が20問、数字が5問。言語が2問。作図・記述はありませんでした。
記号選択が、昨年の15問から大幅に増加していますが、20問中6問は計算が必要なので、横ばいといっていいでしょう。数字は、記号選択からの6問を足したとしても11問で、昨年の20問から大幅に減少しています。
(物理)斜面を転がるものの運動についての問題です。
グラフから数値を読み取って、指示された方法で処理する問題です。後半は、「慣性モーメント」に関連した問題で、理論的には高度な内容ではありますが、(5)の選択肢にあるように、実生活で実感することができる現象が多くあり、解答に迷うことはありません。
説明にある通り、「平均の速さ」=「ある時間で進んだ距離」÷「ある時間」の式にあてはめて考えます。グラフで読みとった値を使って計算する必要ですが、解答は選択肢なので、誤差を気にする必要はありません。
(2)の結果から、時間と速さは比例することがわかります。
合否を分けた一題参照。
図6はおもりが中心に集まっている場合、図7はおもりが中心から遠い場合です。図8と図9を比べると、図8の方が斜面を転がる速さが速く、図2や図3に近いことがわかります。これは、物質の慣性モーメント(回転しにくさ)がちがうことによるもので、重さが中心から離れているほど、慣性モーメントが大きくなります。
あ:手足を広げると、空気抵抗が大きくなり、落下速度がおそくなります。慣性モーメントには、関係ありません。
い:フィギュアスケートを注意してみるとわかります。スピンを回っているとき、手足を体の中心に引きつけると、回転モーメントが小さくなり、回転が速くなります。
う:回転モーメントが大きくなり、回転しにくくなって、倒れにくいといえます。
え:バットやゴルフクラブを短く持つと、回転モーメントが小さくなり、同じ力でも、すばやくスイングすることができます。
(化学)水溶液と金属、中和反応についての問題です。
塩酸や水酸化ナトリウム水溶液のアルミニウムとの反応と、混合した場合の中和反応の問題です。よく見る問題のパターンだったので、取り組みやすかったのではないでしょうか。
水素の性質についての問題です。基本の知識です。
溶液⑤は、アルミニウムが溶けなかったので、完全中和していることがわかります。溶液⑤よりも、A液の割合が大きい溶液②は、酸性を示します。
溶液⑤の結果から、完全中和する割合は、A液:B液=40:160=1:4です。
溶液③では、A液20mLとB液80mLが反応して、A液100mLが余ります。
(生物)ヒトの体内のつくりやはたらきについての問題です。
基本の知識の問題が中心です。計算問題も、典型的なものです。
デンプンを含むものを選びます。牛肉・卵の白身は主にタンパク質、バターは脂肪を含んでいます。
これも、基本知識です。「ひらがなで答えなさい。」とあるので、ミスをしないように気をつけなければなりません。
横隔膜は、肺の呼吸運動に関係する筋肉で、大動脈・大静脈・食道の3つの管が通る穴があります。横隔膜より上には肺と心臓があり、下には肝臓と胃が接しています。
体重にしめる割合が最も大きい内臓は、かん臓です。かん臓では、さまざまな化学反応が行われていますが、このときに発生する熱が、体温維持に役立っています。体積が大きいことで、より効果的であるといえます。
じん臓のはたらきについての基本の知識問題です。じん臓は、横隔膜より下にあり、血液からこしとった尿は、輸尿管を通してぼうこうに送られます。
(地学)気象観測・湿度に関する問題です。
本当の基本の知識ばかり並んでいます。後半の湿度の計算も、ミスのないよう、しっかり得点したいところです。
基本の知識です。雲量が0~1なら快晴、2~8なら晴れ、9~10ならくもりです。
「シベリア高気圧が発達」「西高東低の気圧配置」「筋状の雲」とくれば冬です。やさしすぎて、不安になるほどです。
12時ごろに最大がある①が、太陽高度です。「晴れた日」の変化とありますから、最大が13時ごろの②が地温、最大が14時ごろの③が気温となります。
百葉箱には、温度計などが入っているので、南向きにとびらがあると、開けたときに直射日光が入って、正確にはかれません。
これまで、ものの運動について考えるときは、転がる球の大きさや重心の位置を考慮せず、理想的な条件で解くという、暗黙の了解がありました。(1)~(3)で取り上げている実験は、小さな鉄球を使うことで理想的な条件に近づけていて、実験結果の数値も、理論値と同じになっています。(4)以降では、ここからさらに踏み込んで、「慣性モーメント」を考慮する問題となっています。導入として、(4)できかれているのは、静止している車輪についてです。車輪が回転せずに止まるのは、力がつり合っているからであると気がつき、考えを進めることができたかどうかが、合否を分けたと考え、この問題を取り上げました。
「どんな角度で回転を止めても、手を放した車輪は回転せずに止まっていました。」とあります。このことから、車輪につけたおもりは、どんな角度でもつり合うことがわかります。
① 図5で、地面に接している点を支点として、力のつり合いを考えると、「あ」のおもりとつり合う位置は、「い」か「え」のどちらかです。しかし、車輪を回転させると、「い」ではつり合わなくなるので、「え」を選びます。下の図のように、回転させてもつり合うとき、この車輪の重心は、地面に接している点の真上にあることがわかります。
② ①では、「い」の反対側にある「え」を、何となく選んでも正答できますが、②では、力のつり合いを意識する必要があります。下の図のように、全部で3個のおもりの重心が,車輪の中心になるようにするためには、正三角形をつくるかたちに配置すればよいことになります。