1 | (1) A (2) B (3) C (4) A (5) A (6) A (7) A |
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2 | (1) A (2) A (3) A (4) B (5) C |
3 | (1) A (2) A (3) A (4) A (5) A (6) B |
4 | (1) A (2) B (3) A (4) A (5) A |
A…豊島岡合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2018年度の豊島岡は、例年通り、幅広い知識と論理的思考力、高いレベルの計算力が試される問題が中心です。昨年度と比べ難しい計算問題の割合がやや減少し、難易度のメリハリが鮮明となり、標準レベルの計算問題をしっかり解くことで、得点しやすくなっています。
実際に、昨年度と比べて、受験者平均で5.16点(24.72点→29.88点)、合格者平均で4.55点(30.23点→34.78点)上がっています。
とはいえ、時間不足は相変わらずで、時間のかかる高レベルな計算問題は後回しにし、選択肢についても的確に素早く判断することが大切です。
物理分野の問題は、コインやふりこの衝突についての問題。
化学分野の問題は、水とアルコールの状態変化と体積の関係。
生物分野の問題は、ガの死亡率に関する問題。
地学分野の問題は、岩石の風化についての問題。
対策としては、豊島岡特有の高度な思考力が求められる問題に対し、目先の変わった条件や見たことがない内容の問題であっても、臆せず取り組むことができるようにしておくことが大切です。それには、根本原理が理解できているかどうかがポイントとなります。普段の学習で、「なぜそうなるのか」「他の条件ではどうなるのか」を常に意識しましょう。
表やグラフの数的処理力も必要です。何を示した数字なのか。数字と数字がどう関係しているのか。どのような目的で、何を明らかにしようとしているのか。といったことを、問題で問われていなくても考えるくせをつけておきましょう。
高いレベルの計算問題に対しては、算数のつるかめ算・時計算・割合の考え方をしっかり身につけておくこと。計算問題に数多くあたり、効率的な処理ができるようにしておくことが大切です。男子校(芝や巣鴨など)の過去問から計算問題をピックアップして取り組むのもよいでしょう。
問題構成は、4分野から大問4題、小問35問。
解答形式は、数字が20問、記号選択が15問。言語・作図・記述はありませんでした。
(物理)物質の衝突についての問題です。
物体が衝突すると、止まっていたものが動き出したり、動いていたものが止まってしまったりします。
ここでは、衝突の前と後について、観察から規則性をみつけ、条件を変えたときの結果と予測します。
現象①→②の流れから、Aの衝撃力は、B・Cではなく、すべてDへ伝わると考えられます。
「考察」から考えると、衝撃力はA→B、B→C、C→Dと順番に伝わったことになります。
→合否を分けた一題参照。
衝撃力の伝わり方が、円板の場合と同じなので、衝突後、Aは止まり、Bは衝突前のAの速さで動きます。このとき、BはAの運動エネルギーをすべて受け取っているので、最高点はAを放した高さと同じになります。
最高点に達する時間に関しては、衝突から離れて考えます。
最下点から最高点までにかかる時間は、ふりこの周期の1/4です。
ここから、(1)~(4)までの流れから外れます。頭を切り替えて、ふりこの運動の根本原理にそって解答します。ふりこは、向きと速さが常に変化する運動です。また、糸から離れたBは、重力によって、下向きに加速することを考慮しなければなりません。
最下点では水平方向の運動です。
その後、支点を中心、ふりこの長さを半径とした円弧にそって運動するので、(6)では斜め上方へ向かっています。最高点では、いったん停止したあと、それまでの軌道にそって最下点に向かいます。
(化学)水とアルコールの状態変化と体積に関する問題です。
すべて、計算問題です。あたえられた条件を整理しながら、考えます。
状態が変化すると、体積は変わりますが、重さは変わらないことをしっかりおさえておきましょう。
100gの水の体積は100㎤ です。水が固体になると、10%体積が増えるので、100×1.1=110(㎤ )
アルコールは固体のままですから、水にとけたりせず、水中にあると考えます。
100gの液体のアルコールは100÷0.9(㎤ )で、これが固体になると20%体積が減るので、100÷0.9×0.8≒
89(㎤ )全体の体積は、100+89=189(㎤ )
100㎤ の液体の水の重さは100gです。100㎤ の固体のアルコールの重さは100÷0.8×0.9≒
113(g)です。合わせて、100+113=213(g)
全体の重さは、(3)と同じ213(g)です。1㎤ あたりの重さが0.98gなので、全体の体積は、213÷0.98≒
217(㎤ )
本年度最も難易度が高い計算問題です。試験時間を考えると、後回しにした方が賢明でしょう。
つるかめ算では対応できないので、比を利用して解くとよいでしょう。
液体の水とアルコールを、同じ体積だけとって固体にすると、水は体積が10%増え、アルコールは20%減ります。このことから、液体のときの体積の比が、水:アルコール=2:1であれば、固体になったときに体積の合計の増減がないことになります。このとき、重さの比は、水:アルコール=(2×1):(1×0.9)=20:9ですから、液体の水の重さは、200×≒
138(g)。したがって、液体の水の体積は、138÷1=138(㎤ )
(生物)ガの死亡率に関する問題。
導入に昆虫の基本の知識の問題があり、次いで「ガの生命表」についての問題となっています。
「ガの生命表」については、表の数的処理がメインで、選択肢は消去法で選ぶため、因果関係が確認でいない、ざっくりした作問になっています。
モンシロチョウは、4回脱皮して5令幼虫となり、もう一度脱皮してさなぎになります。
不完全変態の昆虫は、えのトンボだけです。
チョウとトンボは4枚、カとハエは2枚のはねを持ちます。ダンゴムシとクモにははねがありません。
まず、発育段階と死因の関連を確認します。卵は「ふ化せず」、成虫は「自然死」とあるので、その発育段階の期間に死亡した個体の死因とわかります。
つぎに、「生存数」・「死亡数」・「死亡率」の関係をみます。たとえば、卵の発育段階では、134÷4287×100≒
3.1 が成り立つので、「生存数」は発育段階最初の個体数、「死亡数」は発育段階内での死亡数とわかります。桁の多い計算で面倒ですが、計算力をつけて、対応できるようにしておきましょう。
① 4153×0.468≒
1944
② 463÷0.247≒
1874
死亡率は%で出してから四捨五入します。1373÷1414×100≒
97.1
あ:1令幼虫~7令幼虫の「死因」は「捕食」です。→×
い:最も死亡率が大きいのは、4~6令幼虫です。親に保護されているとは考えにくいです。→×
う:4令幼虫以降、天敵から身を守るための物質が作れるのなら、3令幼虫までより死亡率が下がるはずです。→×
え:4令幼虫以降、死亡率が大きくなるので、理由は確認できませんが、他の選択肢のような齟齬はありません。
(地学)岩石の風化に関する問題。
問題文の読み取りと、基本的な知識で対応できる問題です。
本文に、物理的風化は「割れ目に入り込んだ水がこおること」と「気温の変化」が挙げられています。前者は寒冷な地域で、後者は寒暖差の激しい乾燥した地域でおきると考えられます。
化学的風化の説明には「地下水や雨水に溶けだしたり、水に含まれる物質と化学反応を起こす」とあるので、温暖(化学反応を起こすために十分な温度であること)で湿潤(溶けだすための水があること)な地域とわかります。
「このような性質が弱い」とありますから、ハンマーでたたいても、もろく崩れることがないものを選びます。日本語の表現にひっかかって迷うことがないよう、注意しましょう。
かたいものほど、急な荷重に対してもろい性質があります。
金属はたたくとうすくのびる性質があります。
二酸化炭素が溶けた水は炭酸水で、酸性を示し、時間はかかりますが石灰岩を溶かします。
水溶液による風化ですから、化学的風化をいえます。
長石についての知識が無くても、「ボーキサイト」とあれば、アルミニウムと答えられるはずです。
どちらかというと、社会の知識で解答できる問題です。
「地すべり」は、地下のすべり面にそって、土砂が滑り落ちる現象で、地震・融雪などで自然に発生する場合と、道路・ダム建設などで人為的に発生する場合があります。
「土石流」は、集中豪雨によるものがほとんどですが、火山の噴火や地震による山体崩壊によっても起こります。
「液状化現象」は、砂を多く含む土地で、地震が起きたときに起きる現象です。振動で砂の粒と粒の間の摩擦がなくなり、液体のようになります。
天災の種類やその被害についての知識は、他校でもよく聞かれます。地震や火山、台風や異常気象によっておきる現象を、一通りまとめておくとよいでしょう。
おはじきで遊んだことがある生徒は、イメージがしやすかったのではないでしょうか。
「ニュートンのゆりかご」というインテリアも似たような動きをします。
衝撃力の伝わりかたは物体によってちがうので、実験によって確かめます。
現象①:Aの衝撃力が、すべてBに伝わります。
現象②:Aの衝撃力が、Bではなく、すべてCに伝わります。
現象③:Aの衝撃力が、Aに1/3、Eに2/3の割合で分配されます。
運動量保存則と力学的エネルギー保存則から金属球の運動が求められるのは、1対1の場合ですが、「考察」に「円板は接触していても、すき間がある場合と同じようにふるまう。」とあり、これを手がかりにします。
いわゆる典型的な問題ではないため、どう考えたらよいか迷う生徒もいたかもしれません。読み取った手順と考え方を使って、しっかり対応できたかどうかが、合否を分けたのではないでしょうか。
(2)・(3)
はじめ、A・Bが同じ速さですべっています。
はじめに、BがCに当たると、現象①のように、Bの衝撃力がCにすべて伝わります。→Bが止まり、Cが最初のBの速さですべり出す。
次に、A・B間にすきまがあったとすると、Aの衝撃力がBにすべて伝わります。→Aが止まり、Bが最初のAの速さですべり出す。
つまり、Aは止まり、B・Cが最初と同じ速さで動きます。
Aの衝撃力がBにすべて伝わり、Aが止まり、Bが最初のAの速さですべり出す。
→Bの衝撃力はBに左向きに1/3、Eに右向きに2/3の割合で分配される。
→Bの1/3が、Aに伝わるので、Aが左向きへ1/3の速さで動き、Bは止まる。
つまり、Aが左に1/3の速さ、Eは右へ2/3の速さで動き、Bは止まります。