1 | (1) A (2)A (3)B (4)B (5)B (6)C |
---|---|
2 | (1) A (2)A (3)B (4)B (5)A (6)A |
3 | (1) A (2)A (3)A (4)A (5)A (6)B |
4 | (1) A (2)A (3)B (4)A (5)B (6)B |
A…豊島岡女子中学合格を目指すなら必ず得点したい問題
B…やや難しく差がつく問題
C…難問
2017年度の豊島岡女子は、例年通り、実験と観察を通して、知識や規則性を確認しながら、考察を進める問題が中心です。
物理分野は、台車の運動の実験結果から、規則性を見つけ、数的処理を行う問題。
化学分野は、実験の手順を読み取り、数的処理を行う問題。
生物分野の問題は、知識を中心にしながら、問い方に一捻りある問題。
地学分野の問題は、天体の動きを、知識とデータから考えて処理する問題。
豊島岡女子特有の、問題文を的確に読み取る能力、データ処理能力、計算力、基本でありながら確実な知識が求められるものでした。
対策としては、基礎知識をしっかり身につけていることは大前提として、グラフや表に多く接して慣れておくとともに、いろいろな設定の計算問題に積極的に取り組んで、演習を重ねておきましょう。
問題構成は、4分野から大問4題、小問30問。
解答形式は、言語が2問、記号選択が12問、数字が16問、作図・記述はありませんでした。
どの大問にあっても、計算が必要な問題があり、物理・化学では、際立った量になっています。
(物理)台車の運動についての問題です。
台車に一定の力を加えて加速したときの、時間と移動距離の関係から、速さをもとめます。さらに、加えた力の大きさを変えた場合の、結果を予想します。
図1の実験では、10gの力を加えて、台車を加速しています。図2は、このときの時間と台車の移動距離との関係です。図2から、「移動距離=時間×時間×5」の関係があることがわかります。8秒後の移動距離は、8×8×5=320(㎝)です。
だんだん速くなる運動なので、時間を区切って、区間ごとの平均の速さを求めます。
0~1秒の間は、5㎝移動しているので、平均の速さ5㎝/秒。
1~2秒の間は、15㎝移動しているので、平均の速さ15㎝/秒。
2~3秒の間は、25㎝移動しているので、平均の速さ25㎝/秒。
(2)の結果を、区間の真ん中の時間にあてはめると、0.5秒に速さ5㎝/秒、1.5秒に速さ15㎝/秒、2.5秒に速さ25㎝/秒となります。これをグラフにすると、図3のようになります。このように、時間と速さは、比例し、1秒で10㎝/秒ずつ速くなります。台車に15gの力を加えた場合(A)と、台車に4gの力を加えた場合(B)についても、同様に処理します。
移動距離のグラフが読み取りにくい場合は、以下のように処理することもできます。
図4のAについて、2秒後に30㎝移動しているので、0~2秒の間の平均速度は15㎝/秒(30÷2)→1秒後(0~2秒の真ん中)の速さが、15㎝/秒。→図5の「あ」が一致する。
といったように処理することができます。
図3と図5の「あ」を比べると、加えた力が1.5倍になると、速さが1.5倍になることがわかります。
図3の5倍の50gを加えると、1秒後の速さは50㎝/秒。時間と速さは、比例するので、1秒ごとに、速さが50㎝/秒ずつ速くなります。
図1の台車を基準にすると、台車の重さが1.6倍、加える力は0.8倍なので、台車の速さは、1秒ごとに10×11.6×0.8=5(㎝/秒)の割合で速くなります。
これまでの結果から、速さは「時間」に比例し、移動距離は「時間×時間」に比例することがわかります。
速さが3倍になるとき、時間は3倍、移動距離は9倍(3×3)なので、位置Pは、50×9=450(㎝)の位置です。
(化学)中和滴定に関する問題です。
濃さのわからない酸性の水溶液を、濃さのわかっているアルカリ性の水溶液で完全中和したときの量で比べると、酸性の水溶液の濃さがわかります。
ブドウ糖水溶液・塩化ナトリウム水溶液は中性、ホウ酸水溶液・硫酸・炭酸水は酸性、アンモニア水・石灰水・水酸化ナトリウム水溶液はアルカリ性です。
A液12mLに溶けている酢酸の重さは、9×12100(g)、B液18mLに溶けている水酸化ナトリウムの重さは、8×18200(g)です。したがって、(9×12100)÷(8×18200)=1.5(倍)。
実験4から、酢酸と水酸化ナトリウムは、この割合で完全中和することがわかります。
実験5で、C液32mLは、B液5mLと完全中和しています。もし、C液の代わりにA液を使うと、どのようになるでしょうか。
まず、(2)の結果から、B液5mLと完全中和するA液の量は、12×518(mL)。
C液32mLに溶けている酢酸は、この量のA液に溶けている酢酸と同じはずなので。
9×12100×518=0.3より、酢酸の量は、0.3(g)とわかります。
実験3から、食酢25mLを4(100÷25)倍にうすめて、C液をつくっていることがわかるので、食酢に溶けている酢酸の量は、C液の4倍です。0.3×10032×4=3.75 より、約3.8g。
ごく簡単な算数の計算問題です。
実験1~3では、A液100mL、B液200mL、C液100mLを作ります。
実験4では、A液12mLとB液18mLを使うので、100÷12=8.33…より、8回。
実験5では、B液5mLとC液32mLを使うので、100÷32=3.125より、3回。
①1回の実験で、食酢は25mL使います。1学年で合計48班(6×8)あるので、25×48÷500=2.4より、500mL入りの容器が3本必要です。
②実験1~3で作った溶液をすべて捨てるので、(100+200+100)×48=19200より、約19.2Lです。
(生物)メダカに関する問題。
メダカのようすや観察の方法について、基本的な知識を中心とした問題です。
卵がかえることを、孵化といいます。
ボルボックスは、数千個の体細胞でできている群体で、直径数百μmくらいの球体(中は中空)になっています。クンショウモは、複数の細胞が集まって、平面的な勲章のような形になっていて、直径は数十~数百μmくらいです。ゾウリムシは、細胞の長さは 90-150µm、幅は 40µm くらいで、円筒形に近い形です。
大きさは、動物プランクトンのミジンコが最も大きく、次に、群体や個体の大きいものと続きます。
メダカの雄雌は、ひれの形から判断します。基本の知識ですから、確実に得点しましょう。
産卵時の行動のようすです。これも、基本の知識ですから、確認しておきましょう。
解剖顕微鏡は、いわば、反射鏡と台のついたルーペのようなもので、倍率は10倍程度です。また、特別な標本をつくる必要がなく、メダカの卵を、生きたまま観察することができます。
メダカの卵がふ化するまでの時間は、「日数 ✕ 水温=250℃」という目安があります。水温が23℃であれば、250÷23=10.8より、約11日です。この半分ほどの期間で、胸びれや、心臓の動きや血液の流れが見え始めます。24×6=144より、だいたい150時間前後であると考えられます。
(地学)惑星に関する問題。
内惑星と外惑星の動きや、太陽の観測の仕方や大きさの計算について考えます。
本文の「合」と「衝」の説明を、正確に読み取ることができているかどうかを、確かめる問題です。
金星は内惑星なので、地球から見ると、「内合」か「外合」の位置について考えることになります。金星から見ると、地球は外惑星ですから、「合」か「衝」の位置があてはまります。
地球から見て、惑星が太陽と反対の位置にあるとき、一晩中見ることができます。外惑星の衝の位置が、これにあたります。
→合否を分けた1題参照。
黒点が表面の中心から動いて縁にくるとき、見かけ上、1/4回転自転したことになります。
1回転する時間は、6日18時間×4=27日 となります。
27日間に太陽の周りをまわる角度は、金星の方が地球より大きいので、黒点の動きは、地球からよりも遅れて見えます。
この黒点の直径は、太陽の直径に対して、3mm÷15cm=3÷150=1/50(倍)の大きさです。地球の直径は、太陽の直径に対して、1/109(倍)の大きさなので、1/50÷1/109=2.18より、この黒点は地球の2.18(倍)とわかります。
豊島岡の計算問題は、論理的にはシンプルでありながら、数的処理においては難易度が高いのが特徴です。根本原理を理解していることはもちろんですが、算数の解法(旅人算・つるかめ算など)をあてはめて考える問題も見られます。男子校によく見られるパターンですので、巣鴨などの過去問で慣れておくとよいでしょう。
太陽から遠い惑星ほど、公転周期が長くなります。地球より公転周期が短い金星が、太陽のまわりをまわって、再び内合するまでの日数を計算します。算数の、旅人算の手法を使います。
図2から、地球は1日に0.986°、金星は1日に1.6°公転することがわかります。金星と地球の角度の差は、1日あたり1.6−0.986=0.614(°)なので、この差が360°になるときに、次の内合になるとわかります。360÷0.614≒586.3より、約590日後とわかります。