一 | 問一 すべてA 問二 B 問三 A 問四 B 問五 A 問六 A 問七 B 問八 A 問九 A |
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二 | 問一 すべてA 問二 A 問三 A 問四 A 問五 A 問六 A 問七 A 問八 B 問九 A |
A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
今年度の豊島岡女子学園中学は大問二つの構成となっており、例年通りの出題でした。
大問一は、聞くことの重要性を語った論説文でした。
大問二は、全国大会出場が決まった高校の放送部を舞台に、誰がメンバーとして全国大会に行くか決める際の、部員それぞれの思いを描いた物語文でした。
論説文、物語文ともにポイントが読み取りやすい問題でした。そのため合格者平均が82.51点という破格のものになっています。記号問題1問5点どころか、漢字や慣用句1問2点でも簡単には落とせないレベルでした。
どれも正解しなくてはならない漢字です。
脱文にある「情報が入ってこない」という表現から、直前はマイナスの内容であることがわかります。そのうえで脱文の「自分自身を成長させたり、自己革新するため」が直前の内容に関わっているものかどうかで判断します。やや難しい問題と考えます。
この論説文の主題である「聞くことの重要性」を書かれた箇所が読み取れていれば正解が選べます。落としたくない問いです。
空欄の直前直後を読むことで、筆者の主張とは異なる、「聞くこと」に対する以前の考え方が書かれた部分に答えがあると想定できれば、正解が選べます。やや難しい問題と考えます。
線部の直後の内容を正確に読み取れれば正解は選べます。
「メガネ」がたとえているものが、線部の直前にある「観念」だとわかれば、「観念」の説明部分を読むことで正解が選べます。「観念」はこの文章のキーワードでもあるので、正解したい問いです。
Mさんの話のまとめとなる表現を使って答える部分は、書けないと大きなマイナスとなります。但しこの要素だけで答えを作っても正解とはなりません。問六でもふれた「観念」をどうするかも書く必要があります。「“自分勝手な聴き方”に気づく」目的=観念を乗り越えるため、と考えるのです。文章全体の把握が必要なことから、正解するにはやや難しいと考えますが、部分点は確実の取らなくてはいけない問いでした。
線部の直前直後の正確な読みが試された問題です。「それを実現する」や「成長するチャンス」という表現に反応できれば正解が選べます。正解してほしい問いです。
「聞くこと」に対する筆者の意見が読み取れたら落とすことのない問題です。正解しなければならない問いです。
どれも落とせません。
部長がこれから話すことと、直前の三年生の会話文のギャップを読み取れれば正解が選べます。正解すべき問いです。
問二と関連した問題です。線部の前の出来事、三年生が自由時間の有無を聞いたことを間違ったこととして白井先輩は正そうとしているのです。正解すべき問いです。
直前の2文の内容を言い換えたものを選ぶ問題です。選択肢の正確な読み取りがかかせないのは豊島岡女子学園らしい問題と言えます。正解してほしい問いです。
これまでの話の流れから、線④の白井先輩の部分が何を言っているのかを、明確に判断できます。これだけで正解選択肢候補は二つに絞り込めます。そしてその二つから、アツコ先輩の会話文の意味を、線⑤の直後「うっかり、本音を漏らしてしまった…だけど、それはダメだ。」を根拠に考えます。正解すべき問いです。
「道具のように」という比喩表現への言い換えが、答えの要素として良いかどうか悩むことになると思いますが、他の選択肢の内容が的外れであるため、正解すべき問いだと言えます。
主人公は正也の会話文の途中で「それでも……本当に東京に行かなくていいのか?」と思っています。そして正也の会話を聞き終えた後でも、線部のようにしか思えないのです。これらから答えを選びます。正解すべき問いです。
合否を分けた一題で説明します。
線部の後にある、月村部長の会話文が理解できたかが問われています。明確に部長の思いが書かれています。正解すべき問いです。
今回は大問二の問八を、合否を分けた一題に取り上げたいと思います。豊島岡女子学園は配点を発表しています。豊島岡女子学園の入試問題は選択肢問題の多いのが最大の特徴ではあるのですが、記述問題の配点が一番大きい点も見逃せません。選択肢問題2問分以上の配点の時もあります。
記述問題で大きく外さないこと。
これが豊島岡女子学園の合否を分けるポイントかもしれません。しかし、難易度レベルとしては標準的な問題です。解き方をしっかり身につけておきましょう。
―線⑧「部長は殴られたかのように顔をゆがめ、俯いた」とありますが、この時の「部長」の気持ちを八十字以内で詳しく説明しなさい。
解き方の手順
まず、問いで聞かれている要素を確認します。
・「詳しく」とあることから、具体的表現も用いて書くことが分かります。
・「殴られたかのように」とあることから、強い衝撃を受けていることが分かります。
・「顔をゆがめ」と「俯いた」という表情・動作から気持ちを類推します。
次に、線部の直前にどんな出来事があったのかを確認します。
すると、「正也のひと言に」とあるので、
「全国大会には、三年生の先輩たちで行ってきてください。僕は今日、こういう話じゃなく、『ケンガイ』や他の作品の話を、先輩たちとできることを期待していました」
という言葉がきっかけとなる出来事だと分かります。
ではなぜ、部長は正也のこのひと言に「殴られたかのような」強い衝撃を受けたのでしょうか。
そこで答えに必要となる要素が、部長がこれ以前に何を考えていたか、あるいは、どんな行動をしていたか、です。
それは、自分が行かない代わりに正也に全国大会に行ってもらうという提案をするという行動でした。自分もせっかくなら全国大会(というよりは、ちょっとした旅行気分なのでしょう)に行きたいが、正也が行った方が今後の放送部になる、正也も全国大会に行って色々なことを見てきたいと思っているはず、という思いからの行動でした。
しかし、正也は誰が全国大会に行くかなどという次元の低いことではなく、今回の放送部の『ケンガイ』や他の作品の話がしたい、作品と向き合いたいという、放送部として当然のことを望んでいました。
部長である自分がそんなことも考えられないほど、全国大会に固執していたことが情けなく、恥ずかしく思えたのです。これが気持ちです。
また、上記の、これまでの部長の考えや行動は、線部の直後にはっきり書かれています。この部分を使っても構わないのです。
後は、出来事と気持ちの間をつなぐ内容を詳しく書きます。問いに「詳細に」とあったのは、この要素を必要とするからなのでしょう。
しかし、この要素も線部の直後に、「大切なものは見えていなかった」とあるのです。
記述の答えの構成としては
①部長のこれまでの行動・考え→線部の直後
②きっかけとなる出来事→線部の直前
③気づいた内容→線部の直後
④気持ち→「殴られたかのように顔をゆがめ、俯いた」と出来事から考える=情けない・恥ずかしい
の順に書くときれいなつながりになります。
実際に文章中の言葉を出来るだけ使って書いてみます。
①部長なりに正也のことを慮り、自分が引いて正也を(全国大会に)行かせる決断をしたが、
②正也の『ケンガイ』や他の作品の話がしたい(=作品と向き合いたい
)というひと言をきっかけに、
③自分には(作品と向き合うという)大切なことが見えていなかったと気づき、
④自分が情けなくて仕方ない。(121字)
これを80字以内へ書き直したものが以下の解答です。
解答
部長なりに正也のことを慮ったつもりだったが、正也のひと言から、自分には作品と向き合うという大切なことが見えていなかったと気づき、自分が情けなくて仕方ない。(77字)