A…豊島岡女子中合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題など。
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題。
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題。
一 | 問一 A 問二 A 問三 A 問四 B 問五 B 問六 B 問七 B 問八 A 問九 B 問十 A 問十一 B 問十二 B |
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二 | 問一 A 問二 A 問三 C 問四 B 問五 A 問六 B 問七 B 問八 B 問九 A 問十 A 問十一 B 問十二 B |
論説文で出典は石川幹人(まさと)の「だまされ上手が生き残る」でした。「進化心理学」という小学生にとってあまりなじみのない内容でしたが、具体例が多く、まとめの文も繰り返されるため、そこを読み飛ばさなければ大意をつかむことは難しくありません。ただし、記号選択問題では選択肢をパーツに分けて、ていねいに吟味する必要があります。
中学受験でも頻出の漢字です。ここは確実に点数をとりたいところです。
傍線部の直後の「進化心理学では…」の文に着目できれば答えられるでしょう。
設問文をていねいに読みましょう。どんな「感情」の「どのような働き」かと問うていますので、それらの内容を含む名詞止めの箇所を探すとよいでしょう。
傍線部説明問題は傍線部の前後をていねいに読むことから始めましょう。傍線部の直前の「高所恐怖症は…」の箇所を言い換えた選択肢が正解です。
傍線部の後に具体例の段落が続きます。その段落構成に着目できれば、具体例を一般化した(ふつうの言葉に置き換えた)ものを正解として選べるでしょう。
問五と同様に、傍線部を含む段落内容の要点を含む選択肢を選びます。問五と連動した問いといえるでしょう。
筆者が具体例として「チンパンジー」を挙げたのは、傍線部の直前に書かれている一文を裏付けるためです。また傍線部の直後の「人間の類縁動物」という言葉もヒントになります。
「幽霊の正体見たり 枯れ尾花(=枯れたススキ)」という言葉を聞いたことがなくても、空所の後ろの語句を対応させて考えれば、何とか正解を導き出すことができるでしょう。
傍線部を含む段落で最も言いたいこととは何かを考えましょう。「両者の判断が…」の文を分かりやすく伝えるために具体例が書かれているのです。
傍線部直前の「そうした感情」とは何か、また、傍線部は人間にとってプラスかマイナスかを考えれば探しやすくなります。抜きだし問題は字数だけでやみくもに探すのではなく、解答をイメージしてから探し始めましょう。
筆者の主張を選ばせる問題です。前述したように、大意をつかむことはさほど難しくないのですが、選択肢にひっかけが多く含まれるため、一文全体を眺めるのではなく、パーツに分けて正誤のチェックをすることが大切です。「本文に書いていない」「言い過ぎ(もしくは、内容を発展させすぎ)」などが豊島岡のひっかけの選択肢では多いようです。
唯一の記述問題です。後ほど「合否を分けた一題」で解説します。
物語文で出典は八束(やつか)澄子(すみこ)の「明日につづくリズム」です。同じクラスで仲の良い「千波(ちなみ)」と「恵(めぐ)」でしたが、将来の夢をきっかけとして「千波」が「恵」に距離を感じ始めるという内容です。状況設定はさほど複雑ではなく、読みやすい内容だったと思います。しかしながら、選択肢はかなり細かいひっかけがあるので、慎重に解かなければいけません。
平易な副詞の穴埋め問題です。空欄の前後(特に用言)をていねいに読んで、確実に得点しましょう。
傍線部の後ろにつられて「マイナス」の内容を選んでしまうと間違えてしまいますので注意が必要です。
「これぞ豊島岡国語の記号選択問題!」と言える問題です。選択肢が長いので、3~4パーツに分けて慎重に吟味することが大切です。「まだ明るいのに裸電球がともっていた(→今の小学生は裸電球を見たことがないという子もいます)」「一日中ひとりの家でわたしの持っていく弁当だけを楽しみにまっとんよ」という箇所から何が読み取れるかを考えましょう。
これは平易な問題です。前書きにもあったように「千波」と「恵」は親友なのですから、お互い気を許していたということです。
傍線部の前の「恵」の台詞を読み、その様子を表す語句を選びます。口数が多いことからも正解が選べるでしょう。
傍線部内の「どくどく」とは、傍線部前に書いてあるように「心臓の鼓動(こどう)の音」です。では、なぜ心臓の鼓動が速くなっているのかを考えましょう。
傍線部問題は傍線部前後をしっかりと読むことが大切です。直前に「千波」の気持ちが、直後に「恵」の気持ちを表す台詞が書かれています。前後の内容を言い換えたものが選択肢に含まれているかどうかを確認しましょう。
これは非常に細かい記号選択問題です。文中で出てくる「藤田先生」がどのような先生なのかをエピソードからていねいに絞(しぼ)りこんでいきます。
この場面では「恵」と「千波」の気持ちが対照的であることを読み取りましょう。問九では「恵」の気持ちを、問十では「千波」の気持ちを問うています。豊島岡の記号選択問題は大まかなイメージで選ぶと間違えてしまいますので、前述したように細かくパーツに分けて本文内容と一致するかを確認しましょう。
前半から後半にかけて、「恵」と「千波」の距離感が変化していることを読み取ります。「言い過ぎの選択肢」などに注意しましょう。
表現を問う問題です。問十一とも連動しますが、「恵」との距離を感じている「千波」を筆者はどのように表現しているかを考えます。
豊島岡女子中の国語というと「記号選択問題や抜き出し問題が中心」という印象があります。もちろんそれは間違っていませんし、今後もその傾向が大きく変化することはないと考えられます。したがって、豊島岡女子中の国語攻略のカギは、まず記号選択問題のパターンを熟知することだと言えるでしょう。
一方、記述問題はどうでしょうか? 2015年の1回目は九十字というボリュームのある記述問題が1題のみでした。記号選択問題がある程度以上得点できたら、最終的な合否を決めるのは記述問題ではないかと私は思います。また、記述問題が今後増えていく可能性もあります。
「合否を分けた一題」では記号選択問題ではなく、あえて記述問題を取り上げたいと思います。
では、「合否を分けた一題」として、一の問十二を解説しましょう。
記述問題を解くうえで大切なことの一つは「文中で解答作成に使えそうな語句は優先して使う」ということです(これは論説文でも物語文でも当てはまります)。勝手に自分の言葉で置き換えてしまうと、言葉のニュアンス(意味合い)が変わってきてしまうことがあるからです。
一の問十二も、できるだけ文中の言葉をつなぎ合わせて解答作成するとよいでしょう。
また、この問いの特徴として、「『新しい脳』『古い脳』という言葉を必ず用いて…」というように、あらかじめ解答作成に使用する「語句の指定」があります。私はこの記述問題のパターンを「条件記述」と呼んでいますが、指定された語句を肉付けしていく作業から取りかかると良いでしょう。
文中で指定された語句が書かれている箇所を探します。
「感情をつかさどる脳の部分は…古い脳であり、合理的思考をつかさどるのは…進化の歴史では比較的新しい脳です」とありますので、
「古い脳」…感情をつかさどる
「新しい脳」…合理的思考をつかさどる
と解答に必要な2つのパーツができます。
続いて、設問では、上記の2つの脳の働きについて「現代社会では何が重要だと筆者は考えていますか」と問うていますので、本文の結論部分に書かれている「筆者の主張」に着目します(本文では最後の二段落にまとめて書かれています)。傍線部⑩の直前の「すなわち私たちには、…」の箇所と、傍線部⑩の直後の文「言いかえれば(言い換えてまで主張したいのです!)、恐怖体験が適度に…」の箇所をつなぎ合わせると良いでしょう。
直前の文…感情をやっかいなものとして排斥するのではなく
直後の文…恐怖感情が適度に発動することが賢い脳の使い方につながる
※「賢い脳の使い方」を問10の答えと置き換えると、なお良いです。
以上のパーツを組み合わせるだけでも、十分合格点の取れる答案が完成します。
(解答例)安全な現代社会においても、合理的思考をつかさどる「新しい脳」だけでなく、恐怖感情などをつかさどる「古い脳」でおこる感情も排斥せずに適度に発動させることで、賢い脳の使い方をすること。
ちなみに学校発表の模範解答は以下の通りです。
(学校解答)安全な現代社会において恐怖感情などは不要にも思えるが、そのような感情を司る「古い脳」が、「新しい脳」が司る合理的な判断を効率的にするので、適度に感情を働かせることが重要である。
実際に、中学受験生が上記のような解答を書こうとすると、「司る」が文字数の都合で漢字になっている点(小学校漢字外で、本文はひらがな表記です)や文中の言葉を自分の言葉で再構築している点などが厳しいかと思います。文末も「~必要である」は不要だと思います。
まずは文中の言葉を優先させて「7割ラインの部分点」を目指すのが得策でしょう。