1 | 問1A 問2A 問3A 問4 |
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2 | 問1A 問2A 問3A 問4A 問5B |
3 | 問1A 問2A 問3B 問4A |
4 | 問1A 問2A 問3B 問4A 問5A |
5 | 問1A 問2A 問3A 問4C 問5B |
6 | 問1A 問2A 問3A 問4A 問5A |
7 | 問1B 問2A 問3B 問4B 問5A 問6A |
A…慶應湘南藤沢中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2021年度の慶應湘南藤沢中等部は、基本知識を問う問題が中心です。難易度は例年と比較して易化したといえます。
地理分野では、出題頻度の高い地図の読み取りの出題が見られませんでした。一方で、例年出題されている統計資料を用いた問題は出題されていました。統計資料に関する問題は、農業をはじめとした産業や都道府県別の人口や製造品出荷額といった基礎を問う問題です。
歴史分野では、例年の出題と大きな変化はなく、江戸時代や明治時代が出題の中心でした。また、時代整序や正誤問題などを通して、出来事や人物と時代の一致を問う問題が出題されていました。
歴史の学習は、各時代の基本知識を確実に定着させたうえで、年号を始めとする出来事の並べ替え問題にも対応できるよう、年号(特に江戸幕末や明治~昭和)と因果関係を知識として正確に定着させましょう。
公民分野では、記述問題の出題はなく、例年より易化しているといえます。
出題単元は、国会の働きや、内閣の仕事などの基本知識が出題の中心となっていました。
公民分野では、基本知識の定着を行う際には、仕組みや働きなどの根本の理解に重点を置いて学習を進めることが必要です。
また、上記に挙げた分野ごとの対策に加えて①スピード(処理力)、②取捨選択という知識要素以外での対策も必須です。
25分で40問~50問程度を解き進めていくことを考えると設問・リード文中のキーワードと答えを素早く結びつけ解答していく、スピードを意識した練習を行う必要があります。また、
難易度の高い知識を答えさせる問題が出題された際に「捨てる」という判断を行うことも必要です。したがって、得点源となる問題を確実に得点する問題のレベル分けを行い、優先度の高いものから確実に得点していくことも重要です。
問題構成は、3分野から大問7題、小問38問。
解答形式は、語句補充形式が1問、記号選択が29問、正誤問題が6問、並べ替えが2問です。
(地理分野)東日本大震災や東北地方の沿岸部についての問題。
2011年の東日本大震災から今年で10年が経過することをふまえた、復興の現状や課題点に関連した問題での出題です。東日本大震災以降、災害に対する意識が向上したことで、中学入試全体でも自然災害への備えについて取り上げられる頻度が増えました。
慶應湘南藤沢中の例年の地理分野の出題では、テーマとなる事柄について、その理由や関連する地方・地域に関する地理分野の問題が出題されています。
その中で、表やグラフ形式の問題は、出題頻度が高いといえるため、統計資料などをきちんと定着させておくように心掛けましょう。
養殖に関する問題。
ホタテは、北海道や青森などの比較的水温の寒い地域、カキは広島県や宮城県などで養殖がさかんです。わかめは岩手県での生産がさかんです。
水産業の養殖は、その他にも真珠や真鯛、海苔といった項目をおさえるようにしましょう。
自然災害伝承碑に関する問題。
自然災害伝承碑は、津波の到達地点の目安となり、避難場所の目印となる役割を果たします。
その他にも、後世に津波による被害を伝えることで日頃の備えの大切さを伝える働きがあります。
東北地方の統計に関する問題。
各項目から、都道府県の判別を行います。
人口の項目では、最も人数が多い都道府県が宮城県であることがわかります。宮城県は東北地方で唯一の政令指定都市を持つ都市でもあります。
次に製造品出荷額に注目します。製造品出荷額は工業がさかんかどうかの指針となる項目です。
岩手県と福島県を比べると、福島県は半導体やIC工場も多く建設されていることから製造品出荷額が高くなることがわかります。
(地理分野)食糧生産や地球環境に関する問題です。
食糧生産や地球環境に関する問題は出題頻度が高いです。
特に、輸出入品目をはじめとした貿易に関する問題は例年の出題が見られます。大問1での各県の統計とあわせて輸出入に関する統計データも高い定着度を目指しましょう。
フードマイレージに関する問題。
フードマイレージとは、食品の輸送距離と重さによって地球環境に及ぼす影響について表した数値です。
その他、フードロスは食品ロスのことを表します。
フードバンクは、品質に問題がないが、包装の問題などにより市場で流通出来なくなった食品を、生活に困っている人に配給する活動を指します。
農作物の輸出入先に関する問題。
農作物の輸出入先をはじめとした貿易に関する問題は、出題頻度が非常に高くなっています。
大豆の輸入先はオーストラリアが最大ではなく、アメリカが最大の輸入先です。その他、カナダ、ブラジルから輸入しています。小麦についても同様にアメリカからの輸入が多くなっています。
食品原料の輸入先に関する問題。
チョコレートの原料となるカカオ豆は、アフリカが原産地となっており、アフリカからの輸入が多くなっています。
その他、コーヒーはブラジル、茶は中国からの輸入が多くなっています。
お茶は、古くは薬として用いられました。日本に伝わったのは、鎌倉時代の頃で、栄西が日本に持ち込んだと言われています。
(歴史分野)経度をテーマとした歴史の総合問題。
慶應湘南藤沢中等部では、例年歴史を大問の中心としながら、関連のある地理分野の知識を、横断的に問う問題も出題されています。特に、歴史的な事象が起きた都道府県に関連付けて出題がみられるため、歴史学習を進める際には、地理と関連付けを念頭に置いて学習を進める必要があります。
合否を分けた一題で取り上げます。
古戦場に関する問題。
1~4の古戦場は地理としての関連性が高いため、位置している都道府県と結び付けて知識を定着させましょう。
1:壇ノ浦の戦いは、源氏と平氏の戦いにより、平氏が滅亡した戦いです。山口県で行われた戦いです。
2:川中島の戦いは、武田信玄と上杉謙信との戦いが行われた場所です。長野県で行われた戦いです。
3:厳島は、広島県の宮島の厳島神社が位置する場所です。毛利氏と陶晴賢との争いが行われた場所です。
4:桶狭間の戦いは、織田信長と今川義元との間で行われた戦いです。桶狭間は、愛知県に位置しています。
経線3は富山県を通過する事から、愛知県で行われた桶狭間の戦いがあてはまります。
(歴史分野)江戸幕末についての歴史問題。
慶應湘南藤沢中等部では、江戸幕末の歴史は定番問題といえます。
中でも、時代整序問題や化政文化、改革、尊王攘夷運動、開国の影響は必須の知識といえます。
出来事と年号の一致をさせつつ、因果関係をおさえたうえで学習を進めましょう。
江戸の政治史に関する問題。
各選択肢の内容を整理していきます。
1の武家諸法度への参勤交代の追加は3代将軍徳川家光が行った政策です。
2の生類憐みの令は、5代将軍徳川綱吉が行った政策です。
3の公事方御定書は8代将軍徳川吉宗の指示によって作成されたものです。
4の上知令は老中水野忠邦が行った政策です。
天保の改革を行ったのは、水野忠邦です。
幕末の時代整序問題。
この問題は、定着度によって差がつくといえます。幕末は出来事が非常に多いため因果関係での結びつきをおさえつつ、年号によって知識を整理しましょう。
1のペリー来航は1853年、2の薩長同盟は1866年、3の桜田門外の変で1860年、4の大政奉還は1867年です。
ペリー来航から、大政奉還までの期間は、年号が定着した状態で入試をむかえましょう。
(歴史分野)明治の戦争に関する歴史問題です。
明治時代の政治史や産業史に関する問題も江戸時代と同様に出題頻度が高いです。
また、この時期は、慶応義塾創設者の福沢諭吉に関する問題が出題されることも多く、対策は必須です。
福沢諭吉に関する問題。
福沢諭吉の支援を受けて伝染病研究所を設立したのは北里柴三郎です。
北里柴三郎は東京大学との対立によって一時は、研究所を持たずにいましたが、福澤諭吉が海外で北里柴三郎が功績を上げことに注目し資金援助し1892年に「伝染病研究所」を設立することに成功しました。
明治時代~大正時代にかけての産業の高度化に伴う社会の変化に関する問題。
工業が発達したことで、劣悪な環境からの脱却を目指した労働者たちによる社会運動が起こりました。
その他、1は昭和時代の後半1960年代の出来事です。3は、日清戦争の起こる前の1874年から起きた自由民権運動を指しています。4は、安保闘争についての説明で戦後昭和の1960年代の出来事です。
(公民分野)憲法と三権に関する政治分野の問題です。
公民分野は、例年に比べて基礎知識を問う問題が多く、あまり差がつかないといえます。
したがって、分野による偏りをなくし、仕組みや仕事を説明できる状態に仕上げましょう。
日本国憲法に関する問題。
最高法規という位置から、憲法に違反する一切の法律や命令、規則について無効と定められています。
日本国憲法に関する問題。
憲法の人権に関する問題でも特に出題頻度が高い、公共の福祉に関するものです。
基本的人権については、公共の福祉に反しない限り最大限尊重するとされています。
(公民分野)地方自治に関する政治分野の問題です。
地方自治の政治国の政治と共通する部分が多いという特徴があります。
国の政治との共通点を考えて仕組みや働きと関連付けるようにしましょう。
また、時事問題と関連付けての出題も予想されるため、日頃から時事ニュースに関心を持って学習を進めましょう。
市町村合併に関する問題。
地方分権一括法によって1999年以降合併が進みました。
市町村はその規模から、村→町→市の順に数が多かったのですが、人口減少などによる合併が進んだこともで、平成に入ってからは、町→市→村の順で数が多くなっています。
その後、合併がさらに進み、市→町→村の順へと数が変化していきました。
地方部の人口の減少や、過疎化の進行などにより、行政改革を進めるために合併が進んでいることがわかります。時代背景と関連付けて考えていくことがポイントでした。
地方自治の政治に関する問題。
首長は、不信任の決議をされた場合、内閣と同様に議会を解散することができます。
また、首長は住民から直接選ばれます。また、裁判所については国の仕事であるため地方自治体が介入することはありません。また、地方自治体の特徴である直接請求権については以下の通りです。
地方自治体の財政に関する問題
地方自治体の財政は、平均してみたときに、その地域の住民から集めた税だけでまかなうことができている割合は3~4割となっており、3割自治や4割自治と言われています。
東京都などの大都市では、人口が多く住民税の収入が多くなっていますが、鳥取県や島根県などの人口が少ない地域では、10~20%と低い割合となっています。
こういった格差を無くすために、国は、収入の少ない自治体に対して地方交付税交付金や国庫支出金などを支給しています。
今回の問題は、歴史と地理の複合問題です。
各県の特色から都道府県の判別を行いつつ、白地図をイメージした上で経線の通過する場所を考えます。
その上で歴史的なかかわりの深い地点を問うといった問題でした。
この形式の問題は、例年出題されていることから、同じ単元内の知識にとどまらず、他の分野との関連付けが大切になります。
なかでも歴史的な出来事と地理との関連を問う問題は対策が必須といえます。
日常の学習のなかで他分野とのかかわりを踏まえて、学習を進めるよう心掛けてください。
経線1が通る都市をリード文のキーワードを手がかりに考えます。
「日清戦争の講和条約」が結ばれた都市とあるため、下関市出ることがわかります。
次に、選択肢ア~エの都市を判別していきます。
1 後鳥羽上皇が島流しにされたのは、島根県の隠岐です。
2 金山経営のために江戸幕府の領地となったのは、特別天然記念物のトキの飛来地でもある佐渡金山です。
3 江戸時代に朝鮮との交流地となったのは、長崎県の対馬です。
4 鉄砲が始めて伝わったのは鹿児島県の種子島です。
下関市は、山口県に位置しており、縦線の経線が通過するのは、種子島(問1)です。
次に、経線2と3の経線の都市を考えます。
経線2についても同様に、リード文中からキーワードを抽出していきます。
「新潟港」と「絹産業遺産」の群馬県を通過する経線であると考えられます。
経線3についても確認します。
「合掌造り集落、五箇山」とあるため、富山県を通過します。
したがって、経線1~3を西から順に並べ替えると経線1→3→2となります。