1 | 問1 A 問2 B 問3 A 問4 A 問5 A 問6 A |
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2 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A 問6 A 問7 A |
3 | 問1 A 問2 B 問3 A 問4 A 問5 B |
4 | 問1 A 問2 B 問3 B 問4 B 問5 C |
A…慶應湘南藤沢中等部合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2019年度の慶應湘南藤沢中等部の入試問題は、例年通り基本的知識を問う問題と、観察や実験の手法と結果を吟味し、論理的に考える問題が中心です。思考問題は、結果を示す表や数値を手がかりとするパターンも同じです。番号選択がほとんどをしめているなか、ひとつひとつの選択肢の文のボリュームが多いものについては、文意を読み取る力も必要となり、一筋縄ではいきません。
生物分野の問題は、アサガオの生育についての問題。
地学分野の問題は、月についての問題。
物理分野の問題は、電流と回路についての問題。
化学分野の問題は、食塩水についての問題。
対策としては、まずは基礎知識をしっかり身につけること。さらに、動植物の図鑑などに親しみながら、その表記の手法に慣れておくとよいでしょう。
慶應湘南藤沢中等部特有の実験や観察を通して考える問題については、目先のちがうアプローチもあり、根本原理に立ち返って考える力が求められます。実験・観察の条件や結果からどんなことがわかるのかを、普段の学習から考える練習をしておくとよいでしょう。
問題構成は、4分野から大問4題、小問24問。
解答形式は、記号選択が19問、記述が2問、数字が3問。昨年あった言語と作図がありませんでした。
選択肢は、「すべてを選ぶ」問題があり、取りこぼしがないように注意が必要です。
記述は、「10字以内」「30字以内」の字数指定があり、出来るだけ簡潔な表現をこころがけなければなりません。
数字で答える問題はどれも計算が必要な問題でした。
本年はありませんでしたが、作図も対策が必要です。
試験時間が25分と短いので、時間を意識して取り組みましょう。
(生物)アサガオの生育についての問題です。
種子植物についての基本知識の問題になっています。
スタンダードな植物ばかりですから、普段から整理して覚えていれば十分対応できます。
種子が発芽するために必要な条件についての問題です。アサガオは、他の多くの種子植物と同様に、空気・水・適当な温度の3条件がそろえば発芽します。
[実験]で水と適当な温度の条件は調べられていますが、空気の条件は確認できていません。
空気のない環境をつくるために、「水の中に沈める。」といった方法が考えられます。
10字の字数制限がある記述なので、簡潔に短くまとめる必要があります。
ウリ科の植物であるキュウリとヘチマは、くきの途中から巻きひげが出て、これを支柱に巻き付けることで体を支えます。また、カラスノエンドウはマメ科の植物で、エンドウなどと同じように葉の先が巻きひげになっています。
アサガオは、くき自体を支柱に巻き付けて成長します。くきの先を上から見て反時計回りに回転させながら、支柱に巻き付けていきます。
アとキがおしべ、イとオが花びら、ウとカががく、エとクがめしべです。多くの花と同じように、外側から、がく、花びら、おしべ、めしべの順に配置されています。
アサガオはがく5枚、花びら5枚、おしべ5本、めしべ1本です。めしべにある子房は、3つの部屋に分かれていて、それぞれに2つずつ種子ができます。
(地学)月についての問題です。
はじめから最後まで、基本の知識があれば解答できる問題となっています。もしあやふやなところがあったとしても、順にたどれば消去法で選ぶことができたのではないでしょうか。
月面の模様はいつも同じに見えるのですから、地球や人工衛星の影だったり、流れたり動いたりする水や雲だったりするわけではないことはわかります。知識がなくても解答できる問題です。
ちなみに、月の黒っぽいところは「海」とよばれ、月の内部から噴き出した溶岩がかたまってできた玄武岩におおわれています。また、白っぽく見えるところは「高地」とよばれ、斜長岩とよばれる白い岩石があるところです。
これも基本の知識です。月は地球の周りを公転すると同時に、自転もしています。公転と自転の向きと周期が同じため、地球からはいつも同じ面しか見ることができません。
地球の公転と自転、月の公転と自転は、すべて北極側からみて反時計回りです。
これも基本の知識です。
月の直径は、地球の約1/4倍です。これも基本の知識です。
月食は、月が地球のかげに入ったときにおこります。「太陽―地球―月」の順に並んだときです。
これも、よくきかれる基本の知識です。
これも基本です。
「太陽―地球―月」の並びが一直線にならないと、月食を見ることができません。
一直線にならないことがあるのは、月の公転面が地球の公転面に対して傾いているからです。
月食は、地球上の異なる位置であっても、月を見ることができる場所であれば同時にみることができます。これも知っていた生徒が多かったのではないでしょうか。
(物理)電流と回路についての問題です。
豆電球の回路と電流計のしくみについての問題です。
一見複雑そうな回路でも、ひとつひとつ関係性をみつけて比較していけば解答できることがわかります。
電流計は、50mAの端子につなげると50mAまで、500mAの端子は500mAまで、5Aの端子は5Aまで計ることができます。
電流計は、電流が流れると針が動くようになっています。つまり、電気エネルギーを運動エネルギーに変換するしくみといえます。選択肢にある洗たく機は電気でドラムを回転させるので、同じしくみといえます。
ちなみに、ガソリン自動車はガソリンをエンジンで燃やして動きます。飛行機も燃料を燃やして飛んでいます。蛍光灯は、電気エネルギーを光エネルギーに変えるしくみです。電気ポットは、電気エネルギーを熱エネルギーに変えるしくみです。
豆電球が並列つなぎになっているので、電流は枝分かれしてそれぞれの電球を流れ、合流して電池にもどります。したがって、A+B=C=D が成り立ちます。
豆電球には、同じ大きさの電流が流れます。50÷2=25より、豆電球1個あたりの電流は25mAです。
→合否を分けた一題参照。
(化学)食塩水についての問題です。
食塩水の溶け方について、目先のちがう切り口の設定となっているので、やや手間取った生徒もいたかもしれません。しかし、計算や考え方はそれほど煩雑ではありませんので、落ち着いて取り組めば対応できる問題です。
食塩と水の比が同じなら、濃さも同じと言えます。
食塩水Aの食塩と水の比は、10:50=1:5 なので、加えた食塩15gに対し、15×5/1=75(g)の水を加えればよいことになります。
最も濃さのうすい食塩水はBです。実験中の温度では、水100gに食塩36gを溶かすことができるので、食塩水Bの水115gには、全部で36×115/100=41.4(g)の食塩を溶かすことができます。したがって、あと36.4g(41.4-5)加えればよいことがわかります。
溶液の濃さの違いでできるモヤモヤを、シュリーレン現象といいます。
また、バラの切り花をバラの体内より濃度の濃い食塩水につけると、浸透圧によって体内の水分が出てしまい、しおれてしまいます。
単位体積当たりの重さのことを密度といいます。食塩水は水に食塩が溶けこんでいるため、水より密度が大きくなります。また、サラダ油は水より密度が小さい物質です。
食塩水と水をサラダ油の入ったコップに入れると、どちらも油に溶けないため、丸い球になってしずんでいきます。このとき、サラダ油との密度の差が大きい食塩水の方が、先にコップの底に落ちます。
いくつか方法がありますが、味をみることや、問3や問4にある方法を避けなければなりません。「実験結果」も書いて30字以内の字数制限がありますから注意が必要です。
・同じ体積だけとって重さを比べたとき、重い方が食塩水である。(29字)
・水分を蒸発させて、白い固体が残った方が食塩水である。(26字)
・電極を入れて電圧をかけたとき、電気が流れる方が食塩水である。(30字)
・同じ量の食塩を入れて、解け残りが多い方が食塩水である。(27字)
一見複雑な回路に見えますが、電流の値が与えられている箇所がある場合は、その箇所の数値を基準にして、順に電流値をあてはめていく方法が有効です。
アが50mAを示すことがわかっているので、これを基準に各電流計の示す値を順番に考えていきます。
イ:アとは並列に、2個の豆電球が2個直列につながっているので、50×1/2=25(mA)。
オ:アとイが合流しているので、50+25=75(mA)。
ウ:豆電球1個の抵抗の方が小さいので、オより大きな電流が流れる。
カ:ウとオの和なので、150mAより大きくなります。
エ:カのある回路より抵抗が小さいので、流れる電流はさらに大きいと考えられます。
「50mAマイナス端子を針が振り切れてしまう電流計」は、50mA以上のところにあるので、ウ、エ、オ、カが答えです。