1 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 B 問5 C 問6 A |
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2 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A 問6 A |
3 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 B 問5 B 問6 B |
4 | 問1 A 問2 B 問3 A 問4 B |
A…慶應湘南藤沢合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2018年度の慶應湘南藤沢は、例年通り、基本的知識を問う問題と、観察や実験の手法と結果を吟味し、論理的に考える問題が中心です。思考問題は、結果を示すグラフを手がかりとするパターンも同じです。
本年は、てこの問題では場合分けの手法が必要で、やや手間がかかった分、昨年度と比べて、難易度が上がった印象です。
地学分野の問題は、川原の石の大きさを調べた結果についての問題。
化学分野の問題は、いろいろな気体の発生と二また試験官の使い方についての問題。
物理分野の問題は、てこのつり合いの実験についての問題。
生物分野の問題は、ヒトの器官の位置とはたらきについての問題。
対策としては、まずは、基礎知識をしっかり身につけること。特に、実験器具の使用については、詳しく説明できるようにしておかなければなりません。
慶應湘南藤沢特有の実験や観察を通して考える問題については、見知らない観察や実験であっても、操作の目的と意味を読み取り、結果のグラフから、なぜそのような結果が出るのかを考える力が必要です。普段から、いろいろな種類のグラフに接して、実験・観察の条件や結果から、どんなことがわかるのかを考える練習をしておくとよいでしょう。
問題構成は、4分野から大問4題、小問31問。
解答形式は、記号選択が20問、言語が3問、記述が3問、数字が3問、作図が2問。
選択肢は、「すべてを選ぶ」問題があり、取りこぼしがないように注意が必要です。
記述は、「10字」「15字以内」「10字以上25字以内」の字数指定があり、出来るだけ簡潔な表現をこころがけなければなりません。
また、昨年なかった数字で答える問題が3問出されました。
作図も、対策が必要です。
試験時間が25分と短いので、時間を意識して取り組みましょう。
(地学)川原の石の大きさを調べた結果についての問題です。
流水のはたらきの基本の知識をふまえた上で、調査結果のグラフを読み取り、石の大きさの分布を考えます。誘導があるものの、統計学的な解釈が必要で、かなり高度な理解が求められます。
川の曲がった部分は、外側が侵食作用によってけずられてがけになり、内側が堆積作用によって川原ができやすくなります。
「糸と糸の交わった交点の下」の石の大きさを測るので、特定の石の大きさにかたよることなく、だれがどこで行っても、同じ結果が出る方法と言えます。
本文にあるように、川原の石は上流ほど大きく、下流ほど小さいはずです。
それぞれのグラフで、最も個数が多い石の大きさに着目すると、○アは上流、○イは中流、○ウは下流とわかります。
グラフの読み取りの問題です。
最も大きな1024~2048mmの石があるのは、○アの上流です。
○イで最も大きいのは512~1024mm、○ウで最も大きいのは64~128mmです。
小さい石は、○ア~○ウのすべてで見られるので、最も大きな石と最も小さい石の大きさの差は、○ア>○イ>○ウとなります。
石の個数の分布は、最も個数が多い石の大きさを中心に、大きさが大きくなっても小さくなっても、個数が少なくなっていくように分布しています。したがって、選択肢1・2は間違っているとわかります。
選択肢3・4の「同じ位の大きさの石」は、「最も個数が多い石」の意味です。○ウ(下流)の16~32mmが最も多くなっています。
統計学の考え方です。少しわかりにくかったかもしれません。
大雨などで水かさが増すと大きな石が運ばれ、水かさがもどるとその場所に取り残されることになります。10字以内なので、簡潔に書きます。「水かさが多いとき」または「川が増水したとき」など。
(化学)いろいろな気体の発生と二また試験官の使い方についての問題です。
ぐっと平易な問題です。基本の知識を問う問題ばかりですから、しっかり得点しておかなければなりません。
二また試験官についてはよく聞かれますので、確認しておくとよいでしょう。
イの根元のでっぱりは、イに入れた固体がアにいかないようにするためのものです。
気体Aは二酸化炭素です。
助燃性がないので、二酸化炭素の中では、線香は燃えません。
気体Bは酸素です。
助燃性があるので、空気中の線香は、酸素を約2割しか含まない空気中よりも激しく燃えます。
気体Cは水素です。
最も軽い気体で、可燃性です。
水素が発生する、水溶液と金属の組み合わせを考えます。
塩酸を使わないので、「水酸化ナトリウム水溶液にアルミニウムを溶かす。」でよいでしょう。
(物理)てこのつり合いの実験についての問題です。
てこを、重さをはかる道具として利用している仕組みに、上皿天秤やさおはかりなどがあります。
この問題では、一定の手順をふんで操作した場合の、はかりの性能(目量とひょう量)を考えます。
棒の目盛りは、支点からの距離に比例しているので、皿やおもりをさげた位置の目盛りの数字を、そのまま計算に使います。
右9でつり合えば、皿の重さは71/2g(5×9÷6)。
右10でつり合えば、皿の重さは81/3g(5×10÷6)。
したがって、71/2gと81/3gの間です。
おもりを右8にすると、おもりの重さによる右回りのはたらきが小さくなります。
したがって、皿の重さによる左回りのはたらきも小さくしなければなりません。
皿の重さを□gとすると、□×5=5×8より、□=8(g)
ここでミスをすると、以降にひびきますので、確実に処理したいところです。
→合否を分けた一題参照。
右1におもりをさげたときが、最も小さい追加になります。
皿は左5の位置なので、右1におもり5gの追加で、1g(5×1÷5)の測定ができます。
棒を回すはたらきのつり合いより、
(8+20)×5=5×(さげたおもりの目盛りの合計)
が成り立ちます。
目盛りを大きい順にたして、同じになる組み合わせを見つけます。
(さげたおもりの目盛りの合計)=28=10+9+8+1
(生物)ヒトの器官の位置とはたらきについての問題です。
基本の知識が中心ですが、横隔膜より上に位置する器官と、下に位置する器官を、区別しておぼえておく必要があります。
作図は、採点基準がありますので、基準となるポイントを外さないことが大切です。
アは肺につながっているので、気管です。イは、その形から、胃とわかります。ウは小腸で、胃につながっています。胃はおもにタンパク質を消化する器官ですが、選択肢に該当するものがないので、×と答えます。
器官の位置を、図にかき入れる問題です。それぞれ、採点基準となるポイントがあります。
心臓は、2つの肺の間で、やや右寄り(からだの左寄り)に書きます。
かん臓は、肺のすぐ下で、やや左寄り(からだの右寄り)の位置です。肺の下に横隔膜があり、肝臓は横隔膜より下なので、肺と重なることはありません。
基本の知識です。横隔膜が下がり、肋骨が持ち上げられると、胸の空間が広がって圧力が下がり、気管を通して空気が入ってきます。
空気は、圧力が低いところに流れ込みます。
最後にとどめのグラフです。しっかりと手がかりを読み取ります。
激しい運動をしているとき、血液量が増えるのは「全身の皮ふ・骨格筋」で、「じん臓」は減るであろうと予想できます。では、「肺」はどうでしょうか?
肺に流れ込む血液は、心臓につながる血管を通ることを思い出しましょう。つまり、肺の血液量は、心臓が送り出す血液量と同じなのです。
問4の操作の手順を理解し、場合の数の考え方が身についている生徒であれば、計算自体は煩雑ではないので、それほど時間はかからないのですが、それに気づくことができないと、苦戦することになります。
また、ここでミスをすると、問5・問6でもつまずく可能性があるため、合否を分けた一題としてとりあげます。
操作①で、皿とはかりたいものを左5にかけます。はかりたいものの重さを□gとすると、「左回りのはたらき=(8+□)×5」となります。
操作②で、まず、1個目のおもりをさげる位置を決めます。おもりをさげる位置が支点から遠いほど、右回りのはたらきが大きくなります。
操作③で、2個目のおもりをさげる位置を決めます。2個目は、1個目より支点に近い位置に下げることで、右回りのはたらきをより細かい刻みで追加することができます。
操作④で、3個目、4個目、5回目と追加し、ちょうどつり合わせます。
操作⑤で、さげたおもりの位置から、はかりたいものの重さを計算します。
右回りのはたらきが最大のとき、測定できる最大の重さとつり合います。
おもり5個を、支点から遠い位置に順にさげたときの右回りのはたらきの合計は、「5×10+5×9+5×8+5×7+5×6=5×(10+9+8+7+6)」なので、てこのつり合いから、
(8+□)×5=5×(10+9+8+7+6)
□=32(g)