一 | ① A ② A ③ A ④ A ⑤ B |
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二 | 問一 全体としてB 問二 A 問三 A 問四 A 問五 C 問六 A 問七 B |
三 | 問一 すべてA 問二 <A>B <B>A <C>B <D>A問三 すべてA 問四 A 問五 A 問六 B 問七 A 問八 二つともA 問九 A 問十 A 問十一 二つともB 問十二 A |
四 | B |
A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
今年度の慶應義塾湘南藤沢中等部は大問4つの構成となっており、例年通りの出題でした。大問一は、二つの慣用句に共通する漢字を答えた上で、それぞれの意味がプラスかマイナスかを答える問題、大問二は、論説文で、乳幼児への英語教育の可否論、大問三は、物語文で、中学から疎遠になった友だちとの仲を取り戻す一方、中学から仲良くなった友だちとの対立に悩む少女が主人公のもの、大問四は、課題作文でした。
慣用句の問題が出たこと、物語文が長文であること、課題作文が出たことなど傾向通りだったので、慶應義塾湘南藤沢中等部を第一志望として学習してきた受験生が、入試問題を見たときに戸惑うことはなかったことでしょう。
しかし、抜き出し問題の答えが線部から遠いものが多く、探すのに時間がかかるものでした。抜き出し問題への対応力が問われた入試問題と考えます。
慣用句の意味まで含めた正確な知識が問われる問題でした。慣用句は慶應湘南藤沢中等部を目指すなら絶対に学習しておかない分野ですので、正解すべき問題です。ただ⑤は特徴的なヒントではなかったので、正答率が低いと考えます。
「したがって」、「すると」、「そして」という、意味が近い接続語の使い分けの問題でした。それぞれの意味を区別できるかが問われました。
「したがって」…明確に前後が因果関係になっている。
「すると」…前の部分に対し、どういうものが来るかわからない結果が後に書かれている。
「そして」…前のことに付け足す内容が後に来る。
今年の慶應湘南藤沢中等部の問題で、大きく差が出る問題の一つです。
普段から接続語の問題に対する取り組み方をしっかりしなくてはいけないことを教えてくれる問題でした。
空欄の前の「赤ちゃん」と、直後の「実感できる」をヒントに本文から答えを探すという、抜き出し問題としては基本的なものです。正解すべき問いです。ただし、線部から1ページ以上離れたところにある答えを、いかに時間をかけずに見つけられるかも重要です。
問二同様、線部の前後をヒントに本文から答えを探します。今回は「大人、つまり自分でわかって努力する人」について、本文で他に書かれているところを探せば答えが見つかりますが、やはり、線部から1ページ以上離れているため、時間がかかってしまう可能性があります。問いや線部の前後のヒントを明確にする、この作業が欠かせません。
「意味不明」と「雑音」にわけて、これらの言葉の意味を自分の中で明確にして、本文から同じ意味の言葉を探しましょう。今回も線部から1ページ以上離れたところに、しかも線部の前にあるので、時間がかかる可能性があります。
合否を分けた一題で取り上げます。
< 1 >の内容は「大人」に関して、です。大人に関して書いてあった―線1「良い教材になる」やその直後の「効果」という言葉から、答えを考えます。正解すべき問いです。
本文を読み、筆者の主張を理解できたかが問われた問題です。といっても、< 2 >を含む段落の一つ前を読めば、筆者の主張はわかるようになっていました。ポイントはそれを具体的表現に言い換えられた選択肢群から選べるかどうかです。少し苦戦すると思われます。
全て書けなくてはいけない漢字です。細かい部分まで気を付ける必要のある「呼」「吸」という漢字で減点にならないようにしましょう。
< >の前後のちょっとした表現から心情を読み取り、適切な選択肢を選ぶ問題です。選択肢が6つあり、< 1 >や< 3 >は特に高度な問題になっています。しっかりと根拠を考えたか考えないかで、大きく差がつく問題でした。
問三と同種の問題ですが、こちらは標準レベルでした。すべて正解すべき問いです。
空欄の直前の「のど元にこみ上げた」からと、朱里に対して言いたいことが言えない思い、ということから答えが選べます。正解すべき問いです。
線部の少し後に「やさしい…八方美人。いい子ちゃん」とあります。正解すべき問いです。
線部の直後にある「朱里は私のことを、グループから外そうとはしなかった」の対比表現、「朱里は『日向』からはみ出した私を、きっと受け入れはしないだろう」が線部の6ページも後にあります。話の流れをおさえていないと、とんでもない時間がかかってしまう抜き出し問題でした。
「〔 a 〕を越える」・「『日向』と『日陰』の〔 a 〕。それを…引いた。」という空欄の前後の内容から、答えの方向性(線や境など)を定め、探していきます。これも、問題は難しくないのに、線部からはとても遠いところに答えがあり、見つけるのに時間がかかる可能性がありました。
誰のせいか、そしてその人は何をしたのか、を考えます。葉子自身に原因があると読み取れれば正解できます。正解すべき問いです。
葉子が最後にできたことを選びます。境界線を越えて自分の言いたいこと、思ったことをそのまま言える友達。正解すべき問いです。
直前「どこでも行けそうな」から答えが選べます。正解すべき問いです。
Ⅲ…朱里グループ「日向」からはみ出してしまった葉子は、もう二度と朱里に受け入れてもらえないと考えています。人と離れるときに感じる心情を考えます。
Ⅳ…「日向」 からはみ出したのは葉子自身が決めたことです。境界線を越えることに以前は感じていた心情が答えです。
選択肢の絞り込みが厳しい問題でした。
線部の後から書かれ出すしおりの言動に注目して読んでいけば、特に「どのくらい経ったころだろう。やがて」という表現から時間がかかった後で本心を話し出したことに眼がいけば、答えが選べます。正解すべき問いです。
「文字」の特徴を書いていくのですが、そのときに、「文字」と対照的なものをイメージすることが重要です。それは「会話」です。
また、「『お金』の例を参考にして」と問いにありますから、「文字」の説明に使えそうな表現をそこから使っても構わないし、文章の形式を真似して書くのも構いません。
いろいろなことをヒントにして、決して空欄にしないこと。これが大切です。
今回は大問三の問五を、合否を分けた一題として取り上げたいと思います。
指示語の問題なので、多くの受験生が「書ける!」と思うであろう問題ですが、実はとても難度の高いものでした。短くまとめるのに苦労します。まとめ方を学びましょう。
―3「この違い」とはどのような違いか、三〇字以内で書きなさい。
解き方の手順
「この違いとはどのような違い」という、指示語の問題です。直前の内容をもとに、二つの点を書けばよいのですが、字数が「三〇字以内」なので、本文の表現のように具体的には書けず、自身の言葉でまとめる必要があります。三〇字以内はとても厳しい条件です。
では書く手順を見ていきます。
まずは本文の表現から考えていきます。
「違う」のは誰(何)と誰(何)かを考えます。
それは、家で英語でしか話しかけられていない1歳前後の赤ちゃんと、「たいていの子ども」です。
これら二つのさらなる違いを確認します。
すると、日本語を聞いたときに興味を示さないのと、示すのとの違いが見えました。
これをそのまま書いてみると、
家で英語でしか話しかけられていない1歳前後の赤ちゃんは日本語を聞いたとき興味を示さないが、たいていの子どもは日本語を聞いたとき、興味を示すという違い。
字数は七十五字です。
これを三〇字以内にするわけですから大変です。
まとめるときに考えることは、
・重複表現をなくすこと
・答えに使うべき言葉の優先順位を考えること(今回はありませんが、比喩表現や例は優先順位が低いことを知っておいて下さい)
です。
【重複】でいうと
「赤ちゃん」と「子ども」
「日本語を聞いたとき」
「興味を示す(示さない)」
ですね。
これらを一回だけしか使わないように文を書いていきます。
また、【優先順位】でいうと、
「英語」
「日本語」
「子ども」
「興味」
と言ったところが最重要となるでしょう。
上記を考えに入れて三〇字以内にまとめると、
英語育ちの子と日本語育ちの子の日本語への興味の有無の違い。
となります。