A…慶應湘南藤沢合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題など
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題
一 | ① A ② B ③ B ④ C ⑤ B ⑥ B |
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二 | 問一 A 問二 A 問三 B 問四 A 問五 A 問六 B 問七 A |
三 | 問一 B 問二 A 問三 A 問四 C 問五 A 問六 A 問七 B |
四 | B |
語彙の問題です。ここでは「くりかえし言葉」を問うています。「自信満々」「重々承知する」「深々とふける」など、その場でひらめかないと苦しい問題です。少し考えて思いつかなければ、後回しにするのが得策でしょう。
論説文で出典は長谷川眞理子の「ヒトはなぜヒトになったか」でした。ヒトがどのようにして進化し、厳しい環境にも適応できるようになったのかを、他の霊長類と対比させながら論じています。本文内容はつかみやすかったのではないでしょうか。
「系統」「確保」「急激」「損傷」など熟語を中心とした漢字の書き取りです。すべて小学校で習う漢字です。
「生息(せいそく)」「編(あ)み出す」「営(いとな)む」など、基本的な漢字の読みが出題されました。問一と同様に、ここでの失点は避けたいところです。
接続語の空所補充問題です。後ほど「合否を分けた一題」で解説します。
指示語の「これ・それ・あれ・どれ」など、「こそあど言葉」を使い分ける問題です。少し紛らわしいものもありますが、近場の語句や文を具体的に指す時は「これ」を使うというのが原則です。
文中の空欄に入る1字か2字の漢字を、本文より抜き出す問題です。まずは空欄の前後を精読することが大切です。aとbは対になるものが入ります(平原と森)。Cに入る言葉は「他人の心を読んでする作業とは何か」を、dに入る言葉は、cの結果としてどのような生活を営むようになったのかを考えて導きます。
空欄に漢字を入れて、意味の通じる熟語を作る問題です。あはその後に続く「自分が何をして、何を感じているか…」という文脈から「客観的」だと分かります。いは直前に「何かをしよう」とありますので、それは「意欲」と言い表せます。
出来事を古い順に並べていく問題です。本文内容をていねいにたどっていけば、さほど難しくはないでしょう。「ヒトはチンパンジーと進化の方向が分かれても、しばらくは森林にも残っていた」ということがポイントです。また、本文では「ホモ・サピエンスが登場したときに、再び脳が大きくなった」と述べられています。
物語文で出典は杉本りえの「明日は海からやってくる」です。中学生の「灯子」「竜太」、「勇気」は辰島ニュースという中学生が作るローカル新聞の取材のため、漁師のトクさんに島の話を聞く場面です。島で育った竜太と町から転校してきた灯子の交流を描いています。
傍線部を時系列(出来事が起こった順)に並べる問題です。公民館でトクさんに話を聞く場面の前後の流れが、きちんとつかめていたかがポイントです。「島に移り住んだ灯子が島の人の似顔絵を描く」→「灯子が辰島ニュースをつくることを熱く語る」→「トクさんに話を聞くために連絡をとる」→「トクさんが公民館に現れる」→「トクさんの話を聞いている途中」→「定期船の出航の合図(トクさんの話が終盤に入る)」という時間の流れです。
「倉部」のほうが「辰島」よりも港として知名度が高く大きいため、多くの人が集まるという内容を踏まえれば、平易な問題です。
「すべて選びなさい」という指示ですが、文中に書かれている「辰島の施設名」を選択するだけですので難しくありません。辰島は「ひなびた素朴な島」であることも念頭に置きましょう。
この問題の難しさは、高い語彙力が求められることと、「あてはまらないものをすべて選ぶ」という問題形式にあります。「狡猾」「壮健」「辛辣」「精悍」「紅顔」「篤実」「尊大」「朴訥」など、漢字から類推できるものもありますが、受験生にとっては厳しい言葉が並んでいます。普段から語彙力を鍛えておく以外に道はありません。
問四とも連動する問題です。いまだ現役であるトクさんは、漁師の中では口下手ではなく論理的に話せる人です。また、灯子たちが話をメモしやすいように配慮してくれています。それは、子どもたちが島を知ろうとしてくれていることをうれしく思っているからです。
平易な問題です。竜太にとって「辰島はわが家であり、神聖なふるさとだった」と文中にあります。
竜太が島に訪れる客に対して反抗的な態度をとっていたころの考え方は、灯子との出会いの場面に書かれています。初めは、島の不便な暮らしを同情したり、観光のために島が汚されるのは、竜太は我慢が出来なくて受け入れがたかったのです。ところが、灯子に客を嫌う亮太の姿勢を非難されてからは、「自分は了見がせまかった」と反省し、考えを改めています。このあたりの内容を「できるだけ本文中の言葉を用いて」まとめましょう。
「あなたが住んでいる地域が、今後十年間でどのように変わっていくか」を180字以内で答える記述問題です。三の本文内容と絡めた出題だと考えられます。「昔からあった文化的なものが、再開発などによって失われていく」という方向で書くとまとめやすいでしょう。
慶應湘南藤沢中の国語というと「最後に出題される、大型の自由記述」という印象が強いです。もちろんそれは間違っていませんし、今後もその傾向が大きく変化することはないと思われます。したがって、慶應湘南藤沢中の国語攻略には、様々な自由記述のパターンに対応できるように訓練しておくことだといえます。
一方、記号選択問題はどうでしょうか? 一部を除いては、オーソドックスな問題が出題されています。実は、ここでしっかりと点数を積み重ねることが合格には不可欠です。
「合否を分けた一題」では自由記述問題ではなく、あえて標準的な記号選択問題を取り上げたいと思います。
では、「合否を分けた一題」として、二の問三を解説しましょう。
一見してお分かりかと思いますが、接続語の空欄補充問題です。接続語の問題は、空欄の前後の文章(もしくは段落)をよく読んで、その関係性を考えることが大切です。
1は、前の段落で「ヒトが二足歩行を始めた時点では、平原ではなく森で生活していた」と書かれています。また、後の文章(「チンパンジーとケイトウが分かれて…」)でも同じような内容が繰り返されています。したがって、前の段落内容を言い換えてまとめる働きをする「つまり」が入ります。
2の前の段落では、ヒトが森から平原で生活するようになった時に食べ物の確保が難しかったことが書かれています。2の後ろでは、その難局にどう適応していったのかを述べているので、話の展開が少し変化することを表す「では」が正解です。
3は平易な問題です。前に「ヒトの脳の大きさとチンパンジーやゴリラのそれは、あまり変わらなかった」という内容があり、後ろは「(ヒトの脳は)急激に大きくなる」と述べられています。前後が反対の内容ですので「しかし」が入ります。
4は後の文に含まれる「…も」に着目しましょう。「も」は並立の助詞です。前頭前野の機能・役割を並べて説明しているので、「また」を選びましょう。