算数は1問あたりの配点が高いため、他科目に比べて点数差がつきやすいと言えます。どの学校においても、算数の合格者平均点と受験者平均点にある程度の開きが見られます。
その開きの原因は、大半の学校においては、受験する母集団の学力差です。つまり、その学校を“押さえ”として受験する生徒と“本命”として受験する生徒とでは学力差があるため、結果として合格者平均点と受験者平均点に乖離が見られるということです。
しかし、渋渋の第1回入試は2月1日。この日に受験する生徒は渋渋を“本命”とする者がほとんどです。にもかかわらず、算数の合格者平均点と受験者平均点は毎年15点前後もの開きがあり、その乖離具合が顕著です。合格者平均点が極端に高いのであれば合点がいきますが、6割前後ですからけっして高いわけではありません。なぜ、ここまで差がつくのでしょう?
考えられる原因は3つ。
まず、ありきたりですが、「本校に合格するためには絶対に落とせない問題で失点するから」。どの年度の問題を見ても、計算問題を含めて“受験生であればどこかで目にしたことがある典型問題”が出題されており、その配点だけでも5割程度になります。ここでの失点は、やはり致命傷になります。
次に、「難易度が高い問題、処理量が多く時間がかかる問題が散らばっていて、そこで時間を浪費してしまうから」。大問であれば(1)(2)に比べて(3)は難しいだろうと予想できますが、手が止まるような問題が[2]の一行問題群に配置されるため、そこでの対応如何で差がつきます。特にH22年度第1回入試では、例年に比べて[2]の一行問題群が解きにくかったため、前半で焦りを感じ、そのまま引きずってしまった受験生が多かったようです。
最後に、「難しいわけではないけれど、随所に落とし穴があり、それにはまってしまうから」。これは合格者平均点と受験者平均点の乖離の原因であるとともに、合格者平均点が6割前後に抑えられている原因でもあるでしょう。問題文の読み落とし、問題条件の勘違い、題意の読み誤りなどから、大問をまるまる落とす生徒も見受けられます。算数が得意な生徒でも陥りやすいワナが潜んでいるのです。
H8年度の開校初年度入試以来、計算問題は必ず出題されます。それ以外に、頻出分野として、①割合と比、②立体図形、③平面図形、④速さ、⑤規則性、⑥数の性質、⑦グラフ問題、⑧場合の数、が挙げられます。
[2]の一行問題群での出題比率が高い分野なのか、大問での出題比率が高い分野なのかといった違いはありますが、ほぼ毎年①~⑧すべての分野から出題されると考えておいた方が無難でしょう。満遍なく問題演習に取り組むことが望まれます。
H20年度入試より、従来の答えのみが要求されるスタイルから、一部記述型の入試スタイルに変更されました。変更後、これまでの3年間の入試を見る限りでは、記述を要求される問題は、計算問題[1](2)、一行問題群[2](5)、最終問題として配置される大問[5](1)(2)(3)、と決まっています。下記の分野別分析表で該当問題に線を引いてありますので、参照して下さい。
計算問題では「式と計算」が、一行問題と大問では「式と考え方」が要求されます。普段の模試で、答えのみの記入に慣れている受験生にとっては、重荷に感じるかもしれません。しかし、答えに至るまでのプロセスを示すことで、たとえ誤答であっても方向性が正しければ部分点がつくのはありがたいこと。記述問題の数は多くはありませんが、答案作成練習は必須です。
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