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算数の合否を分けた一題

渋谷中入試対策・算数の合否を分けた一題(2021年度)

難易度分類

[1] (1)A (2)A (3)B (4)B (5)B (6)A
[2] (1)A (2)B (3)B  
[3] (1)A (2)A (3)C  
[4] (1)A (2)A (3)B

A:渋谷教育学園渋谷中合格を目指すなら必ず得点したい問題
B:着眼点や解法ツールにより正答率・かかる時間に差がつく問題
C:難易度や処理量から判断して、飛ばすことも考慮すべき問題

問題別寸評

[1]
(1)計算問題

特に工夫が必要というわけでもなく、いたって普通の計算問題でした。

(2)食塩水

面積図・てんびんを使用すれば取り組みやすい問題でした。

(3)通過算

一見簡単な通過算の問題ですが、図を描いて考えることに慣れている受験生は苦戦したと思われます。式での処理に切り替えられた受験生は時間をロスすることなく正答までたどり着いたのではないでしょうか。

(4)平面図形の求積

円に内接・外接する正方形についての面積の問題です。普段から円と内接・外接する正方形について、面積比を使用して解く受験生にとっては造作もない問題だったはずです。経験の無い受験生はかなり時間をとられてしまったと予想されます。

(5)回転体の体積

回転体の体積を求める問題でした。もとの図形が軸に対して左右対称ではないので、片側に折り返してから考えます。見取り図を描いて解くか、体積比を利用して解くかで処理スピードに差が生まれます。渋渋中受験者であれば、体積比を利用する方法をしっかり使いこなして正答までたどり着いてほしいところです。

(6)逆比

標準的な比を利用する問題でした。確実に正解したい問題です。

[2]調べ・規則性

調べることで規則に気付くことが出来るかが重要な分かれ目でした。類似の問題に取り組んだことのある受験生もいたのではないでしょうか。問題文で与えられた図の続きを書くことで、条件を整理しようとすると規則に気付きにくい問題でした。後ほど合否を分けた一題で解説致します。

[3]立方体の展開図
(1)(2)

与えられた展開図・見取り図を利用して頂点に記号を振っていけば正解にたどり着ける問題でした。限られた時間の中で、迷いなく作業に取り組み始めることが出来れば、時間のロスも少なかったはずです。

(3)

立方体を転がし、どこにたどり着くかという問題だけであれば、サイコロを転がす問題で類似の問題を経験した受験生も多かったと思います。見取り図に関しては、数字の向きを考慮に入れるため、移動した先の立方体の頂点の位置を正確に把握しなければなりません。立方体を5回も転がすので、ひとつひとつ調べるためには時間がかかります。解法が思い浮かばなければ飛ばすのも一つの選択肢でした。特定の面・特定の辺の動きだけを追いかけることで、最後の立方体の頂点の位置を求めることが出来ます。

[4]水量変化とグラフ

標準的な水量変化とグラフについての問題でした。問題文がやや長いですが、正確に条件を整理し、すべて正解したいところです。

(1)

Cの排水量を求める問題でした。与えられたグラフから、A管・B管の給水量を求め、C管の排水量を求めます。確実に正解したい問題です。

(2)

水面の高さを左右でそろえる問題でした。これも類似の問題を解いた経験がある受験生がほとんどだったと思います。確実に正解したい問題です。

(3)

仕切りを動かし、水面の高さをそろえた状態からスタートさせることに注意をし、正確に状況判断ができれば3問とも正解までたどり着ける問題です。

水量変化とグラフの問題では、グラフに変化が起こった瞬間の状況を正確に把握する必要があります。グラフに情報を書き込んだり、図を描くことで状況を整理しましょう。

合否を分けた一題

2021年度は、平年と比べて難易度は易しめでした。例年、大問1で1題~2題は時間をとられてしまう問題が出題されていますが、2021年度の大問1はどれも比較的取り組みやすい問題で構成されています。
受験生の間で差がつく可能性があるのは、解法によって取り組む時間に差が生じる大問[1](4)(5)、規則に気付くことが出来るかどうかの大問[2]、迷わず頂点に記号を振る手法をとったかどうかの大問[3]です。
この中から、合否を分けた一題として大問[2]を取り上げます。

[2]

「伝言ゲーム」に関する問題です。1人の生徒が2人ずつの生徒に伝言を伝えるか、3人ずつの生徒に伝言を伝えるかで伝えることの出来る生徒数が変わってきますが、(1)を調べていくと規則に気付きます。

問題で与えられている図は以下のものです。

この図に続きを書き込むことで解答を出そうとすると、規則に気付くのが難しくなってしまいます。
時系列順にまとめてみます。

1人の生徒が2人ずつの生徒に伝えるというルールに注意すると、上記の12人が答えになります。
正しい答えを出すことももちろん大切ですが、ここで規則、問題の構造に気付くと(2)(3)を素早く解くことが出来ます。
例えば、3分後に連絡を受ける人数は、1分後または2分後に連絡を受けた人の人数の和と等しくなっています。4分後に連絡を受ける人数は、2分後または3分後に連絡を受けた人の人数の和と等しくなっています。5分後までの伝言が伝わる人数を表にまとめてみます。

1分後 2分後 3分後 4分後 5分後
1人 1人 2人 3人 5人

フィボナッチ数列の関係になっています。(1)は
1+1+2+3+5=12人
と考えることもできます。

(2)は1人の生徒が3人ずつの生徒に伝言を伝えることになりますが、根本原理は同じです。
4分後に連絡を受ける人数は、1分後または2分後または3分後に連絡を受けた人の人数の和と等しくなるはずです。あとは数字だけを追いかけましょう。

1分後 2分後 3分後 4分後 5分後 6分後
1人 1人 2人 4人 7人 13人

1+1+2+4+7+13=28人

となります。

ここまでくれば(3)も非常に簡単です。

1分後 2分後 3分後 4分後 5分後 6分後 7分後 8分後 9分後 10分後
1人 1人 2人 4人 7人 13人 24人 44人 81人 149人

1+1+2+4+7+13+24+44+81+149=326

となり、ここで初めて学年の205人を超えます。10分後が答えとなります。

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