A…渋谷教育学園渋谷中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
一 | 問一 A 問二 B 問三 A 問四 A 問五 A 問六 A 問七 B 問八 B |
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二 | 問一 A 問二 A 問三 A 問四 A 問五 A問六 A 問七 B 問八 B 問九 A |
ヘッセ作 松永美穂訳『車輪の下に』より
漢字の読み書きです。全問正解を目指しましょう。
傍線部「ルツィウスは感じ入ったようなしたり顔で聞いていた」についての正しい説明を選ぶ、記号選択問題です。
まずはそこまでに起きた出来事を整理し、ルツィウスとハイルナーの位置関係を整理しましょう。校長の書斎に入ったのは、ドアが開いた瞬間に蹴りを入れられたルツィウスだけで、ハイルナーは中には入っていません。「感じ入る」とは、「すっかり感心すること」、「したり顔」は「うまくいって得意そうな様子」という意味ですので、後半が似た内容になっているものを選びましょう。
傍線部「いま彼の味方をするには勇気が必要だった」について、ハンスがそう感じていた理由を選ぶ記号選択問題です。
この場面でのハイルナーの態度は、傍線部と同じ段落に「青ざめて」「反抗的に立ち」、「校長の視線を避けようともしなかった」とあることから、重い処分に内心ショックを受けていながらも、取り乱したりせず堂々とふるまう様子が読み取れます。その姿を見た生徒たちが「彼に感心した」ともありますが、次の段落に書かれている通り「そんな人間と付き合うのは危険でもあり評判を落とすことにもなる」ため、生徒たちはハイルナーには話しかけられない状態になっています。
合否を分けた一題で解説します。
傍線部「彼は立ち去った」について、ハイルナーの様子を正しく読み取って答える記号選択問題です。
「情熱的なこの少年は、みんなが自分を避けるのを感じ、それを理解してたが、ハンスのことだけは信頼していた」とありますので、ここから選択肢ア・ウは当てはまらないと判断することができます。
選択肢後半部分の根拠となるのは、そのあとのハンスの言動です。「青ざめていたが高慢な様子」からは、先ほどの校長先生の場面と同じく、ハイルナーが内心の動揺を抑えようとしていることが読み取れます。さらにハンスに小声で話しかけた後「小さく口笛を吹きつつ」「両手をズボンのポケットに入れて」という様子から、あくまで平静を装っていることが読み取れます。
傍線部「不幸な演奏家」という表現の意味を問う記号選択問題です。
傍線部の前から「一番おもしろいのは…あれこれ頼んだり約束したり脅したり」とあり、ここから同室の者たちが面白がってしつこくルツィウスに演奏の依頼をしていることがわかります。そしてその結果、ルツィウスは出演したものの、秋からヴァイオリンを始めたばかりだったため「きよしこの夜」を弾ききることができませんでした。その原因は未熟さであるといえるでしょう。
二か所ある空欄にふさわしい語句の組み合わせを選ぶ問題です。
1には、ハンスが彼(ハイルナー)を見かけて「ふと心に浮かんできた」心情があてはまります。ハイルナーは浮かれる生徒たちの中、一人ぼっちで列車に乗っています。前の場面での内容をふまえ、あてはまるものを考えましょう。
2は、その1の心情を消し去らせてしまった心情です。この場面でハンスは、ハイルナーを見たとき以外は故郷に帰る喜びを仲間たちと分かち合っているので、それにふさわしいものを選びます。
本文全体の内容を踏まえて、読者の解釈として“誤っているもの”を答える記号選択問題です。
選択肢は長いですが、きちんと最後まで読みましょう。校長は、確かに文字だけなら嫌味ともとれそうな発言をしてはいます。しかしその前に「校長は音楽教師に向かって愉快そうにうなずいた」とあることから、この発言は純粋に努力家ルツィウスへの好意であると判断するべきです。よってこれを嫌味とするエが誤りです。
森博嗣『自分探しと楽しさについて』より
漢字の書き取りです。
傍線部「他者の意識を通して想像した自分」とは何なのかを答える記号選択問題です。前の段落で「想像上の他者の認識による位置づけ」「『他者による自分』感覚」「他者から認識されている(と想像する)イメージ」と繰り返し述べられています。
これらはすべて「自分」が考えていることですので、補うのであれば
「自分の想像上の…位置づけ」「(自分が想像する)『他者による自分』感
「他者から認識されている(と自分が想像する)イメージ」という意味です。
簡単な表現で言いかえるならば「私はみんなから〇〇な人だと思われている」というセルフイメージの話をしています。
傍線部「他者から見た…成り立たない」について、その理由を答える記述問題です。
まず、傍線部の一文が「このように」で始まっていることに着目します。「このように」は前までの内容をまとめたいときに使われますので、前の段落を確認しましょう。
「装うことに物理的な無理(矛盾)が生じる」
「他者が言葉だけでは信じてくれなくなる」
「能力的に不可能であれば実行できない」
こういった要素をまとめて書いていきましょう。
傍線部「本来の動機は同じである」について、正しく具体化したものを選ぶ記号選択問題です。
傍線部までの流れを確認します。
一般に 他者から見た「自分」は、本来の「自分」よりも高いところにある。
自分の認識として価値が高い
↑↓
あくまでも最終的に有利になるための戦略・自分の「利」になる
…ということですので、自分を高く見せようとすることも、自分を低く見せようとすることも、最終的に有利になるためのものである、と述べられていることになります。
傍線部「大多数の人が悩むテーマ」の具体例としてふさわしいものを選ぶ記号選択問題です。
傍線部の主語を見れば「他者に見られたい『自分』と本来の『自分』のギャップ」であることが明らかですから、それに沿ったものを選びます。「他者からこう思われたいのに、実際にはそうでない」というものが正解になります。
空所にあてはまる語句を選ぶ記号選択問題です。
対比の形に着目しましょう。
簡単に言い換えてしまえば「理想を下げるか 現実を上げるか」となりますので、それと同じ内容を述べているものを選びましょう。
筆者が「自分に嘘をつく」ということについてどう考えているのかを選ぶ、記号選択問題です。設問に「この前後の内容から」という指示がありますので、話を「自分」に戻したあたりから読んでいきましょう。
・「自分を見失う」=見失った自分は「見せかけの自分」「他者に対して演じていた自分」
・自分の「理想」「計画」を失っただけで、むしろ自分が前面に出ているといえる。
・何をしようが、どんなことをしようが、自分は自分であって、すべてが「自分らしい」行動なのである。
つまり、何をしても自分なので、嘘をついたところでそれは「嘘をついている自分」でしかなく、自分を嘘でだますなどという現象は起こらないということになります。
傍線部「他者を認識したとき……行われる」という表現の意味を問う記号選択問題です。次の文以降で説明されています。
「『彼はこういう人だ』という記号化がなされる」「それに合致する行動を観察したとき、『彼らしい』という表現になる」「自分らしくない=過去の自分の行動パターンからややずれている、という程度」
記号化するというのは、地図記号などを思い出していただければわかる通り、個々の特徴をなくして単純化し、「パターン化する」ということです。
傍線部「『君らしくない』と言われたときには……よろしい」と筆者が述べる理由を説明する記述問題です。
今回は文章の最後の一文に傍線がありますので、根拠となる部分は前から探していくことになります。すると、ひとつ前の段落で「どんどん自分らしくない行動をする方がチャレンジであるし、新しさを見つけられるのではないか。」と筆者が強調表現を用いて自分の意見を述べている箇所が見つかります。
また、傍線部を含む段落で、「『君らしくないね』と言えば……コウリョクがない」とも書かれていますので、この二要素をベースに組み立てていきましょう。
傍線部「それはけっしてロマンティックな役割や危険な役割ではなかった」という表現について、それがどういうことなのかを説明するという記述問題です。
解き方の手順
①「それ」とは何かを確認する。
国語の問題で、傍線部に指示語がある場合には、その内容を確認する作業は必須です。
「彼の理想は前進すること、有名な試験に受かって重要な役割を果たすことだったが、それはけっしてロマンティックな役割や危険な役割ではなかった。」
ここだけを取り出せば主語が「彼の理想は」であることはすぐにわかりますね。代名詞の「彼」はそのまま使わず、「ハンス」と名前に置き換えましょう。
②二つの役割について
ハイルナーが一人ぼっちになってしまったことについて、ハンスは「行ってあげるのが義務かもしれないと感じ、自分の臆病な感情に苦しんではいた。」と葛藤している状況です。寄り添ってあげにくい背景として、「重い謹慎処分を…危険でもあり評判を落とすことにもなるからだ」と述べられています。
傍線部のひとつ前の文では「そして彼は友人としての義務と名誉心との戦いに敗れてしまった」とあります。
つまりこの相反する要素は
とまとめることができます。
どちらがロマンティックな役割で、どちらが危険な役割であるかは一目瞭然です。
そして、「ハンスの理想は」で書き始めて「~ではない」要素だけでは文として不十分なので、本当の理想である「前進すること、有名な試験に受かって重要な役割を果たすこと」も付け加えましょう。
例
ハンスの理想は、
有名な試験に受かり重要な役割を果たすことであって、
処分を受けた友人と共にいることや、それによって自分の評判を落とすことではなかったということ。