1 | 問1 (A)A (B)A (C)A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 B 問6 A 問7 B 問8 C 問9 B 問10 B |
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2 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 B 問6 A 問7 A 問8 A 問9 B 問10 B 問11 A 問12 A 問13 A |
3 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 B 問6 A 問7 C 問8 A 問9 A 問10 A |
4 | 問1 A 問2 B 問3 A 問4 B |
A…芝中学合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
問題構成・問題数は例年と変わらず、地理・歴史・公民・長いリード文を読んで答える分野融合問題が大問1題ずつ出題されました。
受験者平均点、合格者平均点に関しても、例年と比較して大きな違いはありませんでした。
40分の試験時間に対し問題数は39問で、そのうち表やグラフの読み取りが6問、短い知識記述問題が2題、この学校の特色である120字の大型記述が1題と、解ききるには高い処理能力とスピード感が必要です。
過去問演習を通し、時間をかけるべき問題とそうでない問題の区別をする練習をしていた生徒は、本番でも焦らずに臨めたのではないでしょうか。
時事問題を切り口としたテーマ設定が多いのもここ数年の特徴で、できごとや用語の名前だけでなく、地理的・時代的背景に至るまで考察する姿勢が求められます。
地図中の都道府県について、地名、地形、気候、産業について幅広く問う地理分野総合問題。例年と同様、10問中5問と半数がグラフや表の読み取りでした。グラフや表の読み取りに関しては、各都道府県の工業、人口、農業の特徴についてしっかりとした知識があるかどうかが問われました。平成30年度第1回入試に続き、世界地理からも1題出題がありました。日頃から地図や統計資料を用いて特徴や共通点を考えることが、この学校の地理学習を進める上で重要となります。
地図中に出てくる水道、盆地、平野の名前を解答する問題。
河川の河口の位置を問う問題。ア.大井川は静岡県、イ.雄物川は秋田県、ウ.球磨川は熊本県、エ.高梁川は岡山県に河口があります。
説明を読んで、当てはまる語句を答える問題。物流に関する用語としては、「モーダルシフト(芝中では、平成29年第1回に出題)」と共によく出題されるものです。
鹿児島県にあるシラス台地は噴火の際の火砕流や軽石、火山灰などが堆積してできた大地で、水はけがよく栄養の乏しい土壌です。乾燥に強いサツマイモや大豆、菜種などが主に栽培されてきました。
世界地理からの出題です。秋田県の大潟村付近を通る緯線は、北緯40度の線です。中国の北京、アメリカ合衆国のニューヨーク、スペインのマドリードがほぼ同緯度に位置します。
雨温図を判別する問題です。J福岡県、K長野県、L青森県と南北に離れたところが出題されているので、主に気温に着目して考えます。Ⅰのグラフは中央高地の気候を示した典型的な雨温図で、残ったⅡとⅢを比較して気温が低いⅡが青森県、気温が高いⅢが福岡県の雨温図です。
①福岡県、②岐阜県、➂静岡県、④秋田県の製造品出荷額等の割合を示した表を判別する問題です。
各県で盛んな工業を、工業地帯・工業地域についての知識も使いながら考えていきます。ア・ウ・エの選択肢は輸送用機械の割合が最も高いので、それ以外の要素に着目します。
イは電子部品の割合が最も高いことから、秋田自動車道、シリコンロードと呼ばれる東北自動車道を通じ輸送が容易で、広い土地を利用して大規模工場がつくられる④秋田県です。
①福岡県は北九州工業地帯(地域)に属します。北九州工業地帯の特徴は輸送用機械に次いで金属工業、食料品工業の占める割合が高いことが特徴ですから、エが解答として選べます。
窯業が項目に入っていることから、ウが美濃焼で知られる②岐阜県、輸送用機械・電気機械と機械類の割合が高いアが③静岡県です。静岡県は1県で東海工業地域を構成しますが、よく目にする工業出荷額内訳のグラフでは、輸送用機械を含む機械類がまとめられて約50%と書かれていますので注意が必要です。
⇒「合否を分けた一題」として取り上げます。
日本に木材の供給量についてのグラフを見て読み取れる事柄として、内容が誤っている選択肢を選ぶ問題です。知識はほとんど必要ありませんが、グラフに示されていることを正確に読み取る力が問われました。
グラフを読み取る際には、まずグラフのタイトルを確認し、次に縦軸、横軸が何を示しているかを見ます。すると、1960年から2018年にかけて、木材の供給量全体に占める国産材の割合は、1960年~2000年にかけては低下傾向、それ以降は上昇傾向にあることが読み取れます。
選択肢を検討していくと、ア.の選択肢は、日本の木材の自給率について書かれています。「自給率」とは全体の消費量に占める自国で生産している量の割合を示したものですから、このグラフからは正確には読み取れません。また、先に述べたように、供給量の割合を見ても「1960年から2018年まで低下し続けている」というのは誤りであると分かります。
日本では、第二次世界大戦直後の昭和20年~30年代に、戦争中に軍需物資として利用するために大規模な伐採が行われて森林が荒廃し、山崩れや河川の氾濫の被害が深刻化したことからスギなどの植樹が進められてきました(近年の花粉症患者急増の原因の一部とも言われていますね)。それらの樹木が生長して利用可能になったこと、国産間伐材の合板の利用が増加したことから、日本の木材の自給率は上昇傾向にあります。
東京都の市場で取引されるレタスの出荷元都道府県の割合を示したグラフを見て、茨城県、静岡県、長野県の当てはまる組み合わせとして適当なものを選びます。
レタスの生産については、長野県、茨城県、群馬県(2018年、農林水産省調べ)が上位3県に入ること、長野県は夏の涼しい気候を利用して抑制栽培を行っていることからQ に長野県が入ることは芝中受験生であればすぐに思い至るでしょうから、茨城県と静岡県に絞って考えます。PとRを比較すると、Pは12月~3月の寒い時期、Rは3~5月、10~11月の春・秋に出荷が集中していることが分かります。そこで、比較的温暖な静岡県が寒い時期に出荷が集中するP、残った茨城県が春・秋に出荷が集中するRであると考えられます。
歴史分野からの出題です。文化史や人々のくらしについて短いリード文を6つ読んで答える問題で、特に難問の出題はありませんでした。40分間という試験時間を考えると、この大問はテンポよく処理していく必要があったと言えます。
BやDのように「○○世紀」と示されたリード文では、何時代にあたるのかを置き換えて考えます。B
「摂関政治」、D「上方を中心とした町人の文化」といったキーワードから、時代の特定は容易でした。
2019年に国内の23番目の世界遺産として世界文化遺産登録された「百舌鳥・古市古墳群」の名称を問う問題です。百舌鳥・古市古墳群は大阪府堺市・羽曳野市・藤井寺市に広がっており、大仙古墳は堺市にあります。古墳時代の埋葬の文化の伝統と政治・社会の構造を顕著に示していることが評価されました。
古墳時代に渡来人たちによって伝えられた技術としてふさわしくないものを選ぶ問題。エ.の青銅器は弥生時代には日本に伝わってきており、青銅製の銅鏡・銅剣・銅鐸などが出土しています。
9~10世紀(平安時代)の国風文化について述べた文章を読んで答えます。「尾張の国」「悪政」「国司」というキーワードから、藤原元命であることが分かります。藤原元命の悪政については、『尾張国郡司百姓等解文』という史料が残っています。
平安時代に成立した文学作品として適当でないものを選ぶ問題です。イ.の『徒然草』は鎌倉時代に兼好法師が著した随筆です。
朝鮮から伝来した木綿について、麻と比較して優れている点を答える知識記述です。木綿は8世紀に日本に伝来したもののその時には根づかず、その後、安土・桃山時代になって急速に普及し、16世紀になると商品作物としての栽培が行われるようになりました。麻と比べて吸湿性に優れ、肌触りが良いことや、発色が良く染め物に適しているという特徴があります。これらのうちから1つを解答欄に合わせて10~15字程度で答えます。
室町時代に基盤が確立された伝統文化として適当でないものを答えます。ア.の歌舞伎は安土・桃山時代に「出雲阿国」という女性が始めた「歌舞伎踊り」が始まりです。今に伝わる芸能としては江戸時代に形作られました。
江戸時代に上方を中心として栄えた元禄文化についての出題です。浮世草子の『日本永大蔵』や『世間胸算用』という作品名から、井原西鶴を答えます。
江戸時代に幕府により朱子学が奨励された理由について説明する知識記述です。「○○を重んじたから」という解答欄に合わせ10字程度で答えます。儒学の中でもとりわけ朱子学は、上下の秩序を重んじる考え方が幕府の支配に都合が良かったために、幕府の学問(官学)とされました。
貝塚が全国につくられていた縄文時代についての正誤問題です。
X「食物を求めてたえず移動しながら」が誤り。旧石器時代の人々は食料を求めて移動生活をしていましたが、縄文時代になると定住生活が始まりました。貝塚は定住生活の中で出たゴミを一カ所に集めたものです。今から9000年程前、氷河期の終わり頃になるとクリやクルミなどの木の実が豊富に採れるようになったことが定住化の背景にあると言われています。
Y正しい文章です。
Z「打製石器が使われることはなくなりました」が誤り。縄文時代の人々は、骨角器や磨製石器と並行して打製石器も使用していました。旧石器時代の打製石器と比較して、用途に応じて様々な種類のものが作られるようになりました。
明治時代の「文明開化」と関係のない選択肢を選ぶ問題。
太陽暦・郵便制度・日刊新聞はいずれも「文明開化」を象徴するものです。この時期に日本に取り入れられたのはガス灯であることから、エ.の電灯が誤り。電灯は1878年に工部大学校で点灯されたのが最初で、1882年銀座に設置された街路灯で公開されたものですから、10年程時期がずれています。
1950年からの朝鮮戦争による特需景気の影響もあり、戦後日本は目覚ましい復興を遂げました。1956年、「もはや『戦後』ではない」という言葉が経済白書に記載され流行語となりました。
1950年代後半に「三種の神器」と呼ばれた電化製品の組み合わせとして正しいものを選ぶ問題。
「三種の神器」とは白黒テレビ・電気冷蔵庫・電気洗濯機を指します。1960年代半ばからは、これらに代わりカラーテレビ・クーラー・カー(車)の「3C」が豊かさや憧れの象徴となりました。
公害への対策として1971年に設置されたのは環境庁で、2001年に環境省に格上げとなりました。
2019年10月に10%に引き上げとなった消費税を中心とした政治・経済分野からの出題です。大問2に続き、一部を除いては時事問題集にしっかり目を通していれば答えやすい問題ばかりでした。軽減税率に関する問題が10問中3問を占め、用語だけでなく目的や内容まで理解しているかが問われました。
消費税の税率を10%に引き上げた中で、軽減税率が導入され一部の商品の税率を8%に据え置きとなりました。対象となったのは飲食品や新聞等で、各社の時事問題集でも大きく取り上げられていました。
消費税は1989年、竹下登内閣の時に税率3%で導入され、1997年、橋本龍太郎内閣の時に税率が5%に引き上げられました。その後2014年に8%に引き上げられ、2度の延期を経て2019年10月に10%に引き上げとなりました。
日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は約28%で、日本は高齢者人口が21%を超える「超高齢社会」です。
消費税のメリット(利点)として当てはまらないものを選ぶ問題です。
ア.「低所得者にとって負担感がない」が誤り。低所得者の負担が相対的に大きくなるために取り入れられたものが問1で出題された軽減税率です。
国の税収のうち、所得税・法人税・消費税が内訳の上位3つを占めています。
軽減税率の対象となる場合として正しいものを選ぶ問題。酒類など一部の例外を除き、購入して持ち替えった飲食品が対象となります。
税金の適正な使用について監視している行政機関は「会計監査院」です。
公的年金制度は社会保障制度のうち社会保険制度に当てはまります。社会保険制度は、健康保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5つで構成されています。
国の一般会計歳出の項目別割合の推移を示した表を見て、国債費の当てはまるものを選ぶ問題です。
受験生がよく目にするものは帯グラフや円グラフの形で示されたものですが、最新の年度だけを見て該当するもの(国債費の占める割合が23%程度)を選べば、苦労せず正解が出せたのではないでしょうか。
消費税が導入された1989年頃の好景気をバブル景気と呼びます。
移民について、「アンセルフィッシュ」という視点から筆者の考えを述べたリード文を読んで答える分野融合問題です。昨年開催されたラグビーワールドカップが題材となりました。学校によってはリード文全体を読まずとも答えられるものもありますが、芝中の場合は最後に文章全体をまとめるような問題が出るので、リード文にはざっと目を通しておく必要があります。
「2018年はハワイ移民が始まってから150年目」とありますので、ハワイ移民の始まった年は1868年、同年に起こったできごとは徳川慶喜による大政奉還です。
アメリカ合衆国に多くの人種や民族が集まり住んでいる状態を指して、「人種のサラダボウル」と呼びます。
2017年に福島県が日本で第2位となった作物はエ.ももです。
2か所の二重傍線部の人々に対する筆者の考えをまとめ、「利己的」「功績」「利益」という言葉を軸に共通する部分を考えます。
二重傍線部の人々は、「良い仕事に就くチャンスを得たい」「レベルの高い世界大会に出たい」と最初の動機は「利己的」なものです。それに対して筆者は、22行目~25行目、35~37行目で、「アメリカ社会に貢献しようとしたことは同じ」「功績をあげる~疑いありません」、「日本のラグビー界に貢献しようとする選手~理解できます」と述べています。また38~39行目で「よい結果~評価してよい」とも述べていますので、動機は利己的なものであっても、自分の利益をかえりみず功績をあげるために努力をした過程を評価すべきである、というようにまとめていきます。論旨がはっきりした文章で、比較的受験生間の点差は開きにくかったのではないかと思います。
参照する表の項目がなじみの薄いものでも、複数の項目の共通点や選択肢として与えられた県の特徴をとらえて考えることができる力が問われました。
地図中の5長崎県、6富山県、7愛知県、8宮城県の昼夜間人口比率、年平均人口増減率、一戸建て住宅率を示したグラフを見て8宮城県を選ぶ問題です。
人口増加率とその傾向の捉え方については平成29年の第2回入試でも出題されており、過去問でこの問題に取り組んでいた受験生はやや有利になったと言えます。
日本の人口について、三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)を含む大都市圏への人口集中が続いていること、一戸建て住宅比率は都市部ほど低くなるという傾向を押さえていることが解答の鍵となります。今回選択肢にある4つの県では7愛知県と8宮城県が都市圏にあたります。
表を判別する問題では、まずは際立って大きい数字、小さい数字がある項目に着目するのが基本ですが、今回は、一番差の大きい一戸建て住宅比率の項目と次に差の大きい年平均人口増減率の項目が、上記の都市部の特徴に当てはまることに着目します。
一戸建て住宅比率を見ると一番割合の低いアの選択肢は、年平均人口増減率を見ても唯一平均して人口が増加しています。よってアの選択肢が三大都市圏の一つである7愛知県、次いで一戸建て住宅比率が低く、人口減少が少ないイが解答の8宮城県となります。
残った5長崎県、6富山県のうち、一戸建て住宅比率が最も高いエが6富山県です。
一戸建て住宅比率が75%を超える県は石川県を除く中部・東北地方の日本海側に集中しています。
記事はいまのところありません。