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理科の合否を分けた一題

芝中学入試対策・理科の合否を分けた一題(2017年度)

難易度分類

[1] (1) A  (2) A  (3) A  (4) A  (5) A  (6) A  (7) A
[2] (1) A  (2) A  (3)① A  ② A  
(4)(あ) A  (い) B  (5)(あ) A  (い)A
[3] (1)(あ) A  (い)B  (2) B  (3) A  
(4)(あ) B  (い)B  (5)(あ) B  (い)B  (う)B
[4] (1) A  (2)A  (3) A  (4) A  (5) A  (6) A  (7) A
[5] (1) A  (2)(あ) A  (い)A  (3) B  
(4)(あ) A  (い)A  (5) A  (6) B

A…芝合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2017年度の芝は、昨年よりかなり難化しました。ここ数年の易化傾向に、歯止めがかかった印象です。
定番の小問集合は、『花』という曲の歌詞を題材にした問題。
生物分野の問題は、セキツイ動物の進化に関する問題。
物理分野の問題は、豆電球の回路に関する問題。
地学分野の問題は、太陽の見え方に関する問題。
化学分野の問題は、物質の状態変化に関する問題。
芝特有の、基本的知識を中心とした問題と、知識と知識を関連づけて考える問題。さらに、実験や観察についてのべた本文やグラフから規則性を見つけだし、それに従って解き進む問題が中心です。
対策としては、基礎知識をしっかり身につけるとともに、理科的な視点でものごとを関連付けて考える姿勢を身につけることが大切です。

問題構成は、4分野から大問5題、小問49問。
解答形式は、言語が4問、記号選択が31問、記述が2問、数字が12問。作図はありませんでした。
記述は、それぞれ、10字前後と2行程度のもので、字数制限はありません。
計算は、煩雑な計算はなく、グラフから読み取ることで、対応できるものも少なくありませんでした。
選択肢は、組み合わせを選ぶもの、間違っているものを選ぶものなど、さまざまです。
確かな知識力とすばやい判断が必要となります。

問題別寸評

[1]

(総合)「花」の歌詞についての問題です。
「花」の歌詞から、季節や時間帯を推測し、考える問題です。下線部の意味がくみ取れれば、全文を読む必要はありません。味わって読むのは、帰宅してからにしましょう。

(1)

(あ)虹は、太陽と反対の方向にできます。
(い)「まちがっているものを1つ選ぶ」問題です。LEDの光は、光色の純度が高く、必ずしも虹のように見えるわけではありません。それは、赤色でも青色でも同じです。

(2)

晴れた日の気温と湿度の変化は、互いに逆になります。
ふつう気温は、1日のうちで午後2時ごろに、最高になります。

(3)

サクラの花は、離弁花の両性花です。花弁があるので、虫媒花に分類します。

(4)

キク科の植物は、ヒメジョオンとセイヨウタンポポです。花弁が5枚の合弁花が集まって、1つの花のように見えるという特徴があります。エノコログサとイヌムギはイネ科、ハコベはナデシコ科の植物です。

(5)

夕暮れにのぼってくる月は満月、正午ごろのぼってくる月は上限の月です。「満月→下弦の月→新月→上弦の月」の順に変化します。

(6)

水銀は、常温で液体の金属です。

(7)

食塩は電解質なので、水溶液は電気を通します。
食塩水を炎の中に入れると、黄色の炎が見られます。これは、ナトリウムの炎色反応によるものです。

[2]

(生物)セキツイ動物の進化に関する問題です。
Aは両生類、Bはほ乳類、Cはは虫類、Dは魚類、Eは鳥類、Fは無セキツイ動物です。

(1)

「水中から陸上への進出」とあります。進化は、「魚類→両生類→は虫類→ほ乳類」の順です。

(2)

両生類は、カエルとイモリです。イカとアリは無セキツイ動物、ネズミとクジラはほ乳類、イワシは魚類、ニワトリとワシは鳥類です。

(3)

①卵の殻は、乾燥から中身を守るしくみです。水中に卵をうむ、魚類や両生類の卵には、殻がありません。
②鳥類とほ乳類は、体温を一定に保つことができる恒温動物です。鳥類には羽毛が、ほ乳類には体毛が生えています。

(4)

(あ)直立すると、内臓が骨盤の上に乗るかたちになります。
(い)目が前方についていると、距離を正確に把握できます。平爪は、特に霊長類に見られるもので、手で物をつまんだり握ったりするのに、都合がよいと考えられています。

(5)

茎や葉に通っている維管束の役割は、液体(水や養分)の運搬と植物のからだを支えることです。
液体を運搬するのは、道管と師管です。道管は水を下(根)から吸い上げるもの。師管は光合成でできたものを下方に運ぶものです。道管は師管より内側を通っていて、木部をつくります。木部は大部分が死んだ細胞ですが、丈夫な繊維が残り、植物のからだを支えることができます。

[3]

(物理)豆電球と電圧に関する問題。
「電圧とは」から、乾電池を直列につなぐと回路全体の電圧は本数倍になり、豆電球を直列につなぐと豆電球の数で割った数になることがわかります。

(1)

(あ)豆電球①は、2V以上の電圧をかけなければ光りません。直列なので、2+2=4より、回路全体に電圧装置で、4V以上の電圧をかけます。
(い)豆電球①は、電圧が10Vをこえると切れています。直列なので、10+10=20より、回路全体に電圧装置で、20Vかけたときが最大となります。

(2)

図4より、豆電球①に0.4Aの電流が流れるとき、電圧は5Vかかっているとわかります。豆電球②には、豆電球①と同じ5Vの電圧がかかるので、図4より、豆電球②に流れる電流は1.0Aです。

(3)

図4から、豆電球①と②に流れる電流の和が0.8Aになるのは、電圧2Vのときとわかります。

(4)

(あ)豆電球①・②には、同じ0.5Aの電流が流れます。このとき、豆電球①には1.5V,豆電球②には10Vの電圧がかかります。直列につないだ豆電球の電圧の和が、回路全体の電圧に等しいので、電源装置の電圧は、1.5+10=11.5(V)となります。
(い)図4から、豆電球①と②の電圧の和が6Vになるのは、電流が0.4Aのときとわかります。

(5)

→合否を分けた一題参照。

[4]

(地学)太陽と地球に関する問題。
基本の知識を関連づけて考えていけばよい問題です。セオリーに則って、丁寧に処理し、しっかり得点したいところです。

(1)

9月1日は、夏至から秋分の日までの間の日なので、太陽は真東よりもやや北寄りから上ります。真東から北東の間の方角に背中を向けて歩くと、正面は真西から南西の方角へ進んでいることになります。

(2)

9月1日の3週間後は、9月22日ですから、秋分の日のころです。日の出の方角は、だんだん真東へ近づき(南寄りになり)、日の出の時刻も遅くなります。

(3)

太陽が地平線に沿って平行に動くのは、北極か南極のどちらかです。地球は、北極から見ると、左(反時計)回りに自転しているので、太陽は北極では右周り、南極では左回りに動いて見えます。

(4)

太陽がもっとも南寄りから出るのは、冬至の日です。冬至の南中高度が46.6度のとき、春分・秋分の日の南中高度は、46.6+23.4=70度です。したがって、この地点の緯度は、北緯20度(90-70)です。

(5)

太陽が最も北寄りから出るのは、夏至の日です。夏至の南中高度が90度のとき、春分・秋分の日の南中高度は、90-23.4=66.6度です。したがって、この地点の緯度は、北緯23.4度(90-66.6)です。

(6)

太陽が真東から出るのは、春分か秋分の日です。南中高度が90度なので、この地点の緯度は0度、つまり、赤道上の地点です。
                                                       

(7)

太陽がもっとも南寄りから出るのは、冬至の日です。冬至の北中高度が78.4度のとき、春分・秋分の日の北中高度は、78.4-23.4=55度です。したがって、この地点の緯度は、南緯35度(90-55)です。

[5]

(化学)水の三態に関する問題。
図1・2は、状態図とよばれるもので、温度や圧力が変化すると、物質の状態がどのようにうつりかわるかを表したものです。状態図を見たことがない生徒は、戸惑ったかもしれませんが、問題文をしっかり読みとり、基本の知識に当てはめて考えることができれば、理解できるのではないでしょうか。

(1)

図1・2の圧力の1気圧というのは、海抜0メートルの気圧の平均と同じです。水が固体から液体に変化する温度T1は凝固点で、1気圧では0℃です。液体化から気体に変化する温度T2は沸点で、1気圧では100℃です。

(2)

「固体→液体」は融解で、「液体→固体」は凝固。「液体→気体」は気化で、「気体→液体」は凝結。「固体→気体」と「気体→固体」は昇華といいます。

(3)

人の全体重が、スケートの刃のわずかな面積にかかるので、氷には、大きな圧力がかかることになります。このとき、図1から、BC上の点は温度の低いほうへと移っていきます。つまり、スケートリンクのように低い温度の場所でも、氷が水に変化し、アイスクケートの刃と氷の面の間のまさつが小さくなります。

(4)

氷から水に変化しているbc間は0℃、水から水蒸気に変化しているde間は100℃です。

(5)

①はすべて氷の状態、②は氷と水が混ざっている状態、③は水のみの状態です。同じ重さの体積は、「氷>水」なので、最も大きいのは①、最も小さいのは③です。

(6)

「-5℃の氷1g→0℃の氷1g」で0.5×5=2.5(cal)
「0℃の氷1g→0℃の水1g」で80(cal)
「0℃の水1g→100℃の水1g」で1×100(cal)
「100℃の水1g→100℃の水蒸気1g」で540(cal)
が、それぞれ使われます。
これを合計して10g分で計算すると、(2.5+80+100+540)×10=7225(cal)となります。

合否を分けた一題

ふだん学んでいる豆電球では、抵抗値が一定で、電圧と電流が比例するものと仮定して、問題を解いています。実際は、豆電球自身が発熱して高温になると、抵抗値が大きくなり、流れる電流も少なくなります。一方で、あまり大きな電流が流れると、フィラメントが切れてしまいます。これらのことを踏まえて考えます。

[3]
(5)

(あ)・(い)図4から、豆電球①がつくには、1個あたり2V以上の電圧が必要です。直列2個ですから、2×2=4(V)。一方、豆電球②がつくには、1個あたり1V以上の電圧が必要です。直列3個なので、1×3=3(V)。豆電球②の方が先につきます。
(う)図4から、豆電球①は、1個あたり10Vをこえると切れてしまいます。直列2個ですから、10×2=20(V)。一方、豆電球②は、1個あたり5Vをこえると切れてしまいます。直列3個なので、5×3=15(V)。豆電球②の方が先に切れます。

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