1 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 B |
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2 | 問1①A ②B ③B ④B ⑤A ⑥A ⑦A ⑧A 問2 B 問3 C 問4 A 問5 A 問6 B 問7 B 問8 C 問9 【新潟】A 【前橋】B |
3 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A 問6 B |
A…世田谷学園中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…やや難しく紛らわしいが得点したい問題、正誤で差がつきやすい問題
C…受験者の大半ができない難問であるため、間違えても差がつかない問題
2017年度の世田谷学園中学の社会は、例年通り「地理」「歴史」「公民」から大問が一題ずつ出題されました。50点満点の問題で、受験者平均29.2点、合格者平均32.9点という結果でした。出題されている問題は標準的な問題が多く、受験生はバランスよく社会の知識を身につけることが必要です。その意味でもケアレスミスは厳禁となります。地理では、写真やグラフを用いた問題が例年出題されています。歴史では、時代や文化の背景や特徴を問う問題も出ていました。公民は、2016年上半期に起こった時事問題に関する出題でした。地理、歴史では、例年2行程度の記述問題も出題されています。単なる暗記ではなく、与えられた資料から答えのポイントを見つけて解答に反映させる意識を持つようにしましょう。
(地理)日本の農業に関する総合問題です。
基本問題です。新潟などの北陸地方は、米の単作地帯となります。
南九州の鹿児島県、宮崎県では肉牛・豚・鶏など肉類の生産が盛んです。
「竿灯祭り」は秋田県、「花笠祭り」は山形県で行われる東北地方を代表する祭です。宮城県仙台市の「七夕祭り」、青森県の「ねぶた祭り」と合わせてしっかり整理しておきましょう。
くだものの「銘柄」についての出題です。あまり馴染みのない受験生も多かったかもしれませんが、米や肉、果物など私たちが毎日食べている食品には「ブランド」や「銘柄」がついている食品が多くあります。日頃から自分の食べている食品の産地や銘柄には関心を持つとよいでしょう。(B)「つがる」「紅玉」は、りんごの生産日本一の青森県の品種です。(C)「いよかん」は、みかんの生産が盛んな愛媛県の品種です。(D)ぶどうの生産がさかんな山梨県の甲府盆地では、「甲州」「甲斐路」などの品種を生産しています。(E)「とちおとめ」は栃木県で生産するいちごの品種になります。
日本ではぶどうの生産に向かない冬季に、なぜチリやオーストラリアではぶどうを多く生産できるのかについて理由を考える問題です。解答には「南半球の国であること」、「季節が逆になること」の2点に触れたいところですが、チリを「南半球の国」と結びつけられた受験生は少なかったと予想されるため、受験生には少々難しい問題だったと思われます。
「近郊農業」は、大都市の近郊で集約的に農業を行い、少ない輸送費で新鮮な野菜を市場に供給します。
やや難しい問題でした。私たちの食事は、米や小麦、麺類などの「主食」、野菜などの「副菜」、そして肉や魚、卵などの「主菜」で構成されています。これらの食材を合わせた全体の食料自給率は約40%となります。このため、カロリー換算した場合も同様の割合になると考えられます。
「6次産業」とは、農業や漁業などの第1次産業の業者が、食品加工(第2次産業)や流通・販売(第3次産業)の業務までを行うことを表す言葉です。
合否を分けた1題で扱います。
(歴史)焼き物に関する知識を問う総合問題です。
(1)基本問題です。臨済宗の栄西と曹洞宗の道元を区別できるようにしましょう。(2)商品の出荷港の名から有名になったということから「伊万里焼」が答えとなります。解答を「有田焼」とした受験生がかなり多かったと思われます。
(ア)鉄は武器や農具として使われました。(イ)日本では、鉄器は青銅器と同時か、少し早く使用されるようになったと考えられています。かなり細かい知識のため、自信を持って誤りであると判断できた受験生は少なかったと思われます。(ウ)青銅器は、祭祀などの儀式に用いられました。
基本問題です。「ワカタケル」の文字が刻まれた鉄剣が出土した古墳として、熊本県の江田船山古墳と埼玉県の稲荷山古墳が有名です。
確実に得点したい問題です。平安仏教を代表する天台宗の最澄と真言宗の空海は、遣唐使として派遣され、唐で仏教を学んだ後に帰国しています。
大輪田泊は現在の神戸港の近くに整備された港で、平安時代に平清盛によって日宋貿易が行われました。
基本問題です。広大なモンゴル帝国を建国したのはチンギス・ハンですが、現在の北京近くに首都を置き、「元」を建国したのは孫のフビライとなります。
「茶の湯」を「茶道」として大成させたのは、安土桃山時代の千利休になります。
豊臣秀吉による朝鮮出兵は、文禄の役(1592年)、慶長の役(1597年)の2回となります。文永の役(1274年)、弘安の役(1281年)は、鎌倉時代の元寇のときの2度の戦いのことです。
本文中に「中国製陶器を唐物として好んで用いた」とあることから、地理的理由として「九州地方が中国に近い立地であったため、自分たちで陶器をつくる必要性が生まれなかった」として答える問題です。30分という制限時間の中で、この点に気がつくことができた受験生は少なかったと思われます。
江戸前期の文化は、上方を中心に栄えた元禄文化となります。「おらが春」を著した小林一茶は、江戸時代後期に江戸を中心に栄えた化政文化の俳人になります。室町時代と江戸時代は、どちらも「2つの文化」がありますので、代表作品や人物をしっかり区別できるように整理しておきましょう。
明治維新以降は、近現代史の重要事項や事件が集中していますので年号を覚えることが大変有効です。(イ)王政復古の大号令(1868年)→(エ)戊辰戦争(1869年)→(ア)廃藩置県(1871年)→(ウ)征韓論(1873年)となります。
歴代内閣総理大臣の施策や実績に関する問題です。1925年の普通選挙法、治安維持法を成立させたのは、加藤高明内閣となります
第一回先進国首脳会議(サミット)は1975年にフランスで開催されています。これは、石油危機への対応について各国首脳が協議するために行われたものでした。第一回サミットが開催された年を把握できている生徒はほとんどいないため、解答できた生徒はほとんどいなかったと思われます。
(政治)2016年の上半期に起こった時事問題に関連させた総合問題です。
2016年の上半期に起こった時事問題からの出題です。上半期に起こったニュースや出来事は、毎年多くの学校で「時事問題」として出題されますので注意しておきましょう。(1)マイナス金利により、金融機関が日銀に預けているお金を企業や個人への貸し出しにまわすことで、経済の活性化が期待されました。(2)TPPへの参加については、環太平洋地域の12か国で協議されましたが、アメリカのトランプ大統領はTPPからの離脱を宣言しました。(3)電力の自由化により、電気事業における市場競争が期待されました。(4)裁判所からの違憲判決が続いたことを背景に、「一票の格差」の是正に向け議員数の削減が決定されました。(5)当初の予想に反して、イギリス国民は「離脱」の道を選択したことで、世界経済に衝撃が走りました。
日本銀行は、民間の企業や個人への貸し出しは一切行っていません。
北海道新幹線に関する問題です。新幹線に関する問題は、毎年多くの中学で出題されています。東北新幹線の終点である「新青森駅」から北海道の「新函館北斗駅」までが北海道新幹線の区間となります。
資源エネルギー庁は経済産業省に属しています。
2017年10月に行われた衆議院議員総選挙では、定員が小選挙区289名(0増6減)、比例代表176名(0増4減)の465名となり、衆議院総選挙での「一票の格差」は2倍を切りました。
「EU」は「ヨーロッパ連合」となります。政治では多くの略称が登場します。それぞれの正式名称については正確に答えられるよう確認しておきましょう。
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、世界からも大変注目されている協定であり、入試では数多く出題がされます。社会の学習を単なる暗記ではなく、その背景や因果関係、狙いや課題、問題点などとも合わせて理解することで、「点になる」知識となります。本問は、そのような学習姿勢で取り組んできた受験生にとっては確実に得点できることから、「合否を分けた1題」にさせていただきました。
TPPの狙いは、環太平洋地域の国々による経済の自由化と経済連携です。これにより、私たち消費者にとっては、よりよい商品がより安く手に入るメリットが生まれますが、一方で外国の安い農作物が多く輸入されることにより、競合する国内農家や企業の売上が大きく落ち込むことが心配されています。「経済の自由化」と「自国の生産者や企業を保護する」という両面を考慮しながら、各国政府は協議を進めていく必要があるのです。