1 | 問1 A 問2 B 問3 B 問4 B 問5 C |
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2 | 問1 B 問2 B 問3 A 問4 A 問5 A 問6 A 問7 A 問8 C |
3 | 問1(1) A (2) B 問2(1) B (2) B問3(1) A (2) A (3) C 問4 C |
A…世田谷学園合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2020年度の世田谷学園は、物理・地学の2分野からなる大問3題の出題でした。昨年から大問が1つ減り、ついに生物単元が1問も出題されなくなりました。化学に関する問題もほとんどなくなってしまったのは驚きです。今後も偏った単元で出題されるのか、要注意です。難易度は昨年までと同程度で、長い問題文を読解しなければならないような問題では正答率が低くなったと思われます。計算問題のレベルも例年と大きな差はありませんでした。一部に「合金」などの普段問われない知識が出てきたので、予備知識の多さで多少点差が開いたと思われます。合格を目指すには6割程度の得点が必要です。
出題構成は、地学分野から1題、物理分野から2題でした。
地学分野の問題は、堆積岩に関する問題。
物理分野の問題は、電気回路に関連する問題と、キログラム原器に関する時事問題。
知識問題に関しては教科書レベルですが、大問3に関してはキログラム原器が変わったという時事問題になっているので、一歩踏み込んだ知識が必要とされました。知識だけでなく電気回路の根本的な考え方や、問題文をもとにして計算方法を考えるタイプの計算問題など、単元がかたよっている割にバランスの良い出題方式となっていました。まんべんなく覚えるのではなく、ひとつの単元に関してより深く理解を深めている・よく考える人のほうが有利に立つような印象です。
問題構成は、大問3題、小問21問。
解答形式は、記号選択が13問、数字が3問、言語が2問、記述が2問、作図が1問。
解答形式としては例年とあまり変わりません。
物理分野にしては計算がわずかに少なめだったかなという印象です。
(地学)堆積岩に関する問題
前半は堆積岩・火成岩に関する基礎知識で、テンポよく解き進められたと思います。後半になると思考力型の問題が入ってきて、最後は河岸段丘のでき方。「河岸段丘は浸食されてできる」程度の知識では解くことができません。「どうしてそうなるのか」を常に考える習慣がついているかどうかで得点力に差がつくような作りでした。全体としては難しくありません。ここで得点を稼ぎましょう。
堆積岩6種(れき岩、砂岩、泥岩、石灰岩、チャート、凝灰岩)に関しては、名前が言えるだけでなく何でできているのか、特徴も言えるようにしましょう。
Bの閃緑岩が出題されることがめずらしく、少し迷ったかもしれません。色で分かりますね。
もちろん火山岩、深成岩を3種ずつ言えることが必須です。
当たり前ですが、川は上流の地層を侵食して下流に運搬します。
石の向きを変えるには水の力が必要です。風などでは無理ですよね。この問題ではわざわざ「普段は水の流れの力がはたらいていない」という表現で、河原が水に沈むときがあることを伝えてくれています。
水位が高くなる理由を考えて答えましょう。「洪水」は川の水が陸地に流れ込むことなので、言い過ぎかもしれません。
れき層の向きから、答えは2択にしぼることができます。あとは河岸段丘のでき方を知っているかどうかです。階段状にけずれるのは、川の流れが速くなり浸食されたあとなので、河岸段丘は土地が隆起して傾斜が急になったときにできます。
(物理)電気回路に関する問題
前半は電気回路の基本問題、後半は切り替えスイッチの回路を考えさせる少し難しい問題です。合格を狙うのであれば、問1から問6までの基本問題ではすべて正解したいところです。普段勉強しているときから、すべての回路図の中に電流の値を書き込む練習をすべきです。最後の問題もそれほど時間はかからないと思いますが、何分も考え込んでしまうくらいなら後回しにしましょう。
電球を通らずに電池に戻ってしまう道があるかどうか、指でなぞって調べるだけです。わかりづらい場合には、電球が直列か並列かに気を付けて回路図に書き直しましょう。
ここで得点をかせぎたいところです。電球が直列の場合だけ電流が小さくなることを考えて、各回路に電流の値を書き込みましょう。並列に分かれている場合には、それぞれの電流を足すと電池が出している電流の量が分かります。直列は足し算してはいけません。
スイッチ、電池の入っていない回路は話にならないので、実質2択問題です。ツの回路ではスイッチを閉じたときにショートしてしまいます。
回路は3つに分かれますが、オフの回路はつなげる必要がありません。オートの回路に温度センサーをつなぎ、電池は両方の回路に必要なので、オンとオートの回路が合流しているところに入れましょう。
(物理)キログラム原器に関する時事問題
2019年に1キログラムの基準となるものが変更されることが話題となりました。時事問題ではありますが、この年の問題の中では一番難しい問題です。知識、記述、計算、思考力と様々な能力を問われるため平均点は低かったと思われます。知識の必要ない密度や長さの計算部分で確実に点をとっていくことがポイントです。
1gあたりの体積が大きいということは、1㎤あたりの重さは小さいということになります。
オの選択肢がまぎらわしいですが、水の温度が変わると重さは変わらないですが体積が変わってしまうので、異なる温度の水だと1L+1L=2Lになりません。
→合否を分けた一題へ
2種類以上の金属を混ぜたものを合金と言います。言葉自体にはあまりなじみがないかもしれません。覚えておきたいのは、鉄をもとにした合金のステンレスと、アルミニウムをもとにしたジュラルミンです。電熱線に使うニクロムもニッケルとクロムの合金です。
金や白金(プラチナ)が高価なのは、長い年月が経ってもきれいに輝いているからですよね。これらはとても安定した金属で、他の物質と反応しにくい性質があります。キログラム原器としては重さが変わってしまうと困るので、空気中の酸素とくっつきにくい、つまりさびにくいことを記述しましょう。
キログラム原器に求められることは、「重さが変わらないこと」です。
1mの基準は光が3億分の1秒間に進む距離、つまり速さが基準になっています。
3億分の1秒で1mすすむということは、1秒に3億mすすむということです。地球の直径を□とすると、(□×3.14)× 7.5周 = 3億m という式になります。答えは何万㎞で答えるので、それに合わせて3億km→30万㎞として計算しましょう。光の秒速は覚えておいて損はないです。
1g→1000gと変換して考えるということですね。自分で具体的な問題を作って、重さの部分を1000倍したら答えが何倍になるか考えましょう。
知識問題では差がつきにくく、極端に難しい問題も無いので、合格ラインを超えるには計算問題で点数をとれるかどうかに大きく左右されます。少しでも計算手順を簡単にして、ミスを防止したいところです。そこで、表と問題分とで単位の異なる、少しだけ面倒な計算を、合否を分けた一題としました。
基準単位である1gあたり、1㎏あたりなど、1を求める計算は楽です。
グラフから1Lで999.7gあるとわかります。グラフに書かれている単位はgなのですが、これを1㎏あたりの体積に直すので、1000gあたりを求めるよりも1㎏を求めると考えたほうが計算方法を考えやすくなります。単位を㎏にそろえて書いてみましょう。