一 | 問一 A 問二 B 問三 A 問四 A 問五 A 問六 A 問七 B 問八 B 問九 B 問十 C |
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二 | 問一 A 問二 A 問三 A 問四 A 問五 A 問六 A 問七 B 問八 B 問九 A 問十 B |
三 | ① A ② A ③ A ④ A ⑤ B ⑥ A ⑦ A ⑧ B ⑨ A ⑩ A |
A…世田谷学園中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
物語文 「木のぼり男爵」 イタロ・カロヴィーノ著 米川良夫 訳
1964年に日本語訳版が出版された、イタリア人作家による物語文が出題されました。世田谷学園中では、他の学校でもよく見るような少年少女の物語以外にも、今回のような海外文学の日本語訳、舞台が現代日本でないもの、現実世界でないものなど幅広い作品が出題されています。様々な文章に触れ、どのような文体・内容であっても正しい読み取り方をできるように訓練しておくことが大切です。
文章中で使われている語句の意味を選ぶ、記号選択問題です。Aの「いましも」はやや難しいかもしれませんが、その後の「多少ひき離していたが…こんなにぐずぐずしていたなら、たちまち追いつかれてしまったろう」という部分から、今現在の状態を表していると判断すれば正解することができます。
助動詞「れる・られる」の種類を区別する記号選択問題です。
「受け身・可能・尊敬・自発」の四種類は学習した受験生が多いとは思いますが、今回の「られ」がどの種類であるかを見誤ってしまうケースが頻発したのではないでしょうか。主人公のコジモは、本文中では樹上生活を楽しんでいることしか描写がありませんので、「降りることができない」かどうか判断することはできません。そしてコジモは身分が高く、警吏からも「旦那さま」と呼ばれ、荒ら草ジャンからも「お方」という丁寧な表現を使われています。よって今回は「尊敬」の意味で使われている「られ」であることがわかります。
文章中に出てくる慣用句の空欄に当てはまる漢字を選ぶ問題です。ぜひ全問正解したいところです。
登場人物の心情を答える、記号選択問題です。場面の状況を読み取れていれば、問題なく正解できると思われます。
コジモが何故傍線部の発言をしたのか、その意図を問う記号選択問題です。
ウ・オはすぐに外せると思うので、残りのア・イ・エから冷静に判断しましょう。物語文においては、本文を読みながら自分で想像を膨らませてしまっていると、本文中から客観的には読み取れない要素を選んでしまいがちです。あくまで根拠は本文であることを意識して解いていくようにしてください。
問四に引き続いて荒ら草ジャンの心情を問う問題です。「まん丸な」目で「じろじろながめまわ」すという動作から、ジャンの心情を読み取りましょう。
問五に引き続き、コジモの発言の意図を問う問題です。傍線部だけを読んでも、この二十ページというのが「もう二十ページ読んだ」なのか「あと二十ページ残っている」なのかは判断することができません。ここで設問を見てみると「解釈できる根拠となる一文を」とあります。つまりこれは、本文のどこかを読めば、これが「もう二十」なのか「あと二十」なのかが明確に分かるということです。とはいえ根拠がかなり離れた場所にあるので、本文全体をきちんと読んで理解できていないと、見つけるのは難しかったかと思います。
荒ら草ジャンの表情の意味を問う記号選択問題です。
この場面の状況と、前後の発言をよく読んで、あてはまるものを見つけていきましょう。
コジモとジャンの、「本文から読み取れる」共通点を答える記述問題です。
設問でわざわざこう規定されていますので、自分で勝手に想像した内容を付け加えず、必要な要素をうまく組み合わせて答える必要があります。すると、「ひとりで過ごしている・過ごそうとしている」「(退屈しないように)書物を必要としている」という要素が考えられますので、これらを組み合わせて答えましょう。
ジャンがこの後どのように変わっていくかを想像して書くという記述問題です。「想像して」とあるため、おそらく解答の幅はそれなりに広くなってくるでしょう。ただし、気を付けなければならないのは「『書物』が果たす役割を明らかにしつつ」という条件です。自分なりに「書物にはこういう役割がある」ということを定めて、それに沿って書かなければほとんど得点できなかったと思われます。どの設問にも言えることではありますが、設問の条件というのは非常に大きく点数に関わりますので、日頃から気を付けていく必要があります。
論説文「友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える」 菅野仁 著
2008年に出版された本ですが、最近テレビ番組などで紹介され再度注目されている一冊です。人間関係という抽象的なテーマではありますが、中高生向けにやわらかい文体で書かれた本ですので、きちんと読んでいけば内容理解自体は難しくはないと思われます。
文中の空欄にふさわしい語を選ぶ、記号選択問題です。標準的な難易度です。
文中の語句の意味用法を選ぶ、記号選択問題です。「矛盾した」は知識があればその通りの用法ですので、是非正解したいところです。残りのふたつは文脈から見極めましょう。
文中に登場する「フィーリング共有性」という語についての問題です。ここまでに二種類の人間関係の築き方が登場しています。この両者がきちんと読み取れていれば、見つけることができるでしょう。
問三と関連した問題であるといえます。傍線部を含む一文は、「違った形でフィーリングの…認め合うべきです。」と、筆者の主張の文となっています。ここまでに、第一段落で問題点が、第二・第三段落でそれに対する筆者の意見がそれぞれ提示されていますので、その内容に従って考えていけば正解できる問題です。
文中の空欄に当てはまる、対義語のペアを答える記号選択問題です。選択肢のいずれも入試問題には頻出の語ばかりですので、意味をきちんと覚え、使いこなせるようにしておきましょう。
「信頼できる他者」について正しい説明を選ぶ、記号選択問題です。論説文においては、このように唐突に登場したオリジナルの語句については、その後で説明をされるという「お約束」があります。この後の文章をよく読み、筆者の主張を理解していきましょう。
傍線部の考え方に伴う危険や不都合を読み取って答える、記述問題です。根拠となる箇所自体はすぐに見つかりますが、解答項目がふたつに分かれている点が、この設問を難しいものにしています。「自分がこの考え方をしていると、相手がどう困るのか」「自分がこの考え方をしていると、結局自分がどう困るのか」と、問われている内容を整理して、正確に答える必要があります。
合否を分けた一題で解説します。
傍線部のふたつの幻想という具体例が、もともとどこから発生しているのかを答える書き抜き問題です。二つの具体例は、ここまでにも出てきている「百パーセントの自分を丸ごと理解してくれる人」「百パーセント自分を受け入れてくれる誰か」「自分をぜんぶ丸ごと受け入れてくれる」…という考え方から出てくる具体例です。そういった性質のことを、筆者は端的に何と言い表していたかを探しましょう。
筆者の本文での考え方をまとめる、記述問題です。今回の文章では比較的わかりやすく、繰り返し主張が登場していますので、書きやすい方の記述問題であると言えます。
漢字の書き取り
いくつか難しめのものも混在してはいますが、少なくとも標準的なものでは失点しないように日頃から学習を積み重ねておきましょう。
解き方の手順
「絶望の終着点」=マイナスの要素
「希望の出発点」=プラスの要素
もともとの語句がきっちりと対比になっていますので、解答もそれに応じて、反対の内容になるように書いていく必要があります。
ではまず、直前の
「人というものはどうせ他者なのだから、百パーセント自分のことなんか理解してもらえっこない。それが当然なんだ」
という表現を、「絶望の終着点」としてしまうとはどういうことでしょうか。
絶望してしまうということは、希望や期待が持てなくなってしまう状態であり、終着点というのは物事の終わりをたとえた表現であると言えます。理解してもらうことを期待できず、諦めてしまうことが「絶望の終着点」です。
では、同じ表現を「希望の出発点」とするのはどういうことでしょうか。
これを前向きにとらえるという筆者の主張を思い出しながら考えていきましょう。筆者は本文の中で繰り返し、「異質性、あるいは他者性というようなものを…ある種の親しさみたいなものを味わっていくトレーニングを少しずつ心がけていくことが大切」「信頼はできるかもしれないけれど、他者なのだから…自分のことを丸ごとすべて受け入れてくれるわけではない…理解しておこう」「人はどんなに親しくなっても他者なんだということを意識したうえでの信頼感」と主張を述べています。よって今回の設問における表現についても、同じようにプラスにとらえるべきだという考えを持っていると考えることができますので、それを元に書いていきましょう。
例
Ⅰ 自分を完全に理解してもらうことが不可能だからと、関係を築くこと自体をやめてしまうこと。(43字)
Ⅱ 自分が完全には理解されないことをわかった上で、少しずつ信頼関係を築こうとしていくこと。(43字)