1 | 問1A 問2B 問3A 問4A 問5A 問6A 問7A 問8A 問9A問10A 問11A |
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2 | 問1A 問2B 問3A 問4B 問5A 問6A 問7A |
3 | 問1(1)A(2)A 問2A 問3A 問4aA bA 問5A 問6A 問7A 問8A 問9aA bA cA 問10A 問11aA bA 問12B 問13C |
A…聖光学院中学合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
問題数は例年とほぼ同じくらいといえますが、問題の難易度が若干あがったのではないでしょうか。用語記述が例年よりも難しい用語を問うてきているといえますし、長文記述も問われていることがなんとなくわかっても、答え方に困りそうな問題であるといえます。
(歴史)
「お札」をテーマに、肖像画・歴史的な出来事・人物に関連する事項・文学史というように幅広い範囲で問われています。
空欄の修飾語がそれぞれヒントになっています。(1)は、「国際連盟事務局で活躍した外交官」です。(2)は、あとのほうに「管理通貨制度」を導入した大蔵大臣で、軍部と意見が対立したため、二・二六事件で暗殺されたとあります。(3)は、江戸時代に大名領(「藩」と書いてしまうとヒントになってしまうからでしょうか)ごとに発行された紙幣のようなものということになります。(4)は、富本銭を除く硬貨で、708年に最初に発行されたものということです。いかがでしょう。(4)以外は、ある程度までしっかりと学習を進めた受験生でないと苦心しそうな用語です。
紙幣に肖像画が描かれる理由ということですが、対象となる人物の業績を伝えるのみではなく、もっと実用面での理由を求められているといえそうです。紙幣の肖像画をしっかりと目にされたことはあるでしょうか。髪の毛の一本一本や顔のしわなど、相当に精緻な描写がなされていることが分かると思います。かりにこれをコピーではなく描いて偽造しようとした場合、困難を極めそうです。また、コピーで偽造したとしても、おそらく線がにじむなどの症状が出るものと思えます。つまり、肖像画にすることで偽造を困難にし、かりに偽造されたとしてもすぐに見破ることができる可能性を高める工夫であるといえそうです。
文学史の問題ですが、各時代の代表的作品・その作者はおさえておきたいものです。よく出題されるものをここにあげてみたいと思います。源氏物語/紫式部、枕草子/清少納言。
歴史的出来事の並び替えは、頻出事項です。そして、聖光での並び替えは、単なる年号での並び替えというより、ストーリーで考えることができるかを試しているといえます。まず、大政奉還が一つのカギになります。大政奉還は、15代将軍徳川慶喜が朝廷(天皇)に政権を返上した事件です。これを境に、討幕の動きに関係がある事件が前の時代、明治政府(新政府)に関連する出来事がこれより後の時代と目安がつけられます。薩英戦争は、生麦事件を契機として薩摩藩とイギリス艦隊とのあいだで繰り広げられた戦争であり、尊王攘夷運動と相まって、これからの日本の政治的中心を幕府とするのか新政府を打ち立てるのか、いまだ混とんとしている状況の事件です。したがって、薩英戦争は、大政奉還よりも前の出来事と分かるでしょう。鳥羽・伏見の戦いは、戊辰戦争の最初の戦いです。戊辰戦争は、新政府軍と旧幕府軍の戦いですから、明治政府が出来上がってからの戦いということが分かります。したがって、大政奉還よりも後の出来事ということが分かります。では、版籍奉還はどうでしょう。版籍奉還は、各藩が有していた土地と人民を朝廷に返還するという政治的な出来事です。では、鳥羽・伏見の戦いとどちらが前後なのでしょうか。版籍奉還は、すべての藩が対象となるものですから、戊辰戦争が生じているような状況では実施することは困難であると予想できます。したがって、戊辰戦争つまり鳥羽・伏見の戦いが終わり、政局がある程度安定してから、版籍奉還が実施されたと見るのが妥当でしょう。
本問のイラストにおいて大天使ミカエルは、欧米列強の象徴として描かれ、そこにアジアの象徴として描かれたブッダがまさに迫りつつある様子が描かれています。さて、三国干渉は、ロシアがフランス・ドイツに働きかけてリャオトン半島の返還を日本に迫った事件です。この背景には、日本の大陸進出に対する欧米列強の危機感が透けて見えます。つまり、この時代にロシアは不凍港を手に入れるために中国北東部を自国領土にすることを企てていたため、その近くに他国が領土を有すること自体が目障りだったのです。さらに、フランス・ドイツもアジアを植民地化することを推し進めていたため、三国での利害が一致した結果、干渉してきたのです。イラストに書かれている状況と酷似した状況にあることが理解できます。
人物史の問題に関しては、できる限り詳細な情報までインプットしたほうがよいかと思われます。この問題でも、「藤原鎌足」について問われていますが、一つ一つの選択肢は非常に細かい知識を問うているといえます。ア.は、前半は藤原鎌足に関連した記述ですので問題ないのですが、後半は蘇我馬子についての記述です。イ.は、藤原鎌足は、遣隋使の経験はありません。また、「天武」天皇ではなく「天智」天皇です。エ.は、乙巳の変を起こしたのは間違いありませんが、その対象者は、蘇我「蝦夷」ではなく「入鹿」です。このように、人物史あるいは出来事においても、人物に関連する事項は、可能な限り詳細かつ確実にインプットしておく必要があります。
律令政府とは、律令に基づいた政治をおこなう政府をさします。律令制に着目して選択肢を吟味してみると、ア.は、調と庸は男性のみに対する税ですが、「租」は男女「とも」に課された税です。イ.は、東大寺を建立させたのは、「聖武」天皇です。エ.は、大陸との交流のため北九州に造営したのは「大宰府」です。多賀城は、蝦夷制服のために現在の宮城県に築城されたものです。山陽道は、大宰府と畿内を結ぶ幹線道としてこの時代においては最重要視されていた幹線道路です。
室町時代以降の貨幣経済や交易に関する問題です。イ.は、この時代は、すでにアイヌ・琉球・東南アジアとの交易が始められていた時代ですから、「遠隔地との取引はできなかった」は誤りです。ウ.は、三井などの両替商の登場は、江戸時代に入ってからです。エ.は、いわゆる贋金(にせがね)に対して、幕府や各藩の大名は手をこまねいていただけではありません。贋金の発行については、極刑(死刑もしくはこれに類する刑)に処することを公にしていましたし、いまの「透かし」のように偽造防止の手段を講じている藩も存在しました。
小判の改鋳に関連して、知識ではなく、表から読み取る問題です。表の上段、下段、慶長小判と正徳小判の数値をみると、金の含有量と金以外の含有量の数値が全く同じです。そして、中段の元禄小判に注目してみると、明らかに金の含有量が下がり、金以外の金属の含有量が増えています。これは、小判の「質」が相当程度に低下したことを示しています。そこで、元禄小判が発行された年号を見ると「1695年」となっています。これは、生類憐みの令が出されたのが「1685年」ですから、そのちょうど10年後ということになります。元禄小判が出されたのは、この出来事と関連させてみると分かりやすいのではないでしょうか。つまり、「生類憐みの令」を発した、ときの将軍である徳川綱吉は、派手好きな浪費癖のある将軍として有名です。当然、幕府の財政は悪化します。そこで、幕府は貨幣の質を落として、「量」で稼ごうとします。ここからお分かりのように、小判の質を落とした理由は、悪化した幕府財政を補うことにあったということになります。
憲法制定、日清戦争での勝利、国内での産業革命についての問題です。選択肢を見ていきますと、アは、一見すると正しいように見えますが、「大日本国憲法」はなにかおかしいです。「帝国」が抜けています。こちらの学校では、こういった誤答の選択肢を設定するのが特徴です。ここの選択肢の一言一句まで、しっかりと見極めるんだ、という心構えが必要です。イは、帝国議会発足当時の衆議院議員総選挙選挙権は、「直接国税15円以上を納税の25歳以上男子」に限られていました。当時の貨幣価値から換算してみると、現在で30~45万円ほどの税を納めていた計算になります。かなり高額な収入であると推測され、現に、国民全体の1.13%ほどしか有権者とされていませんでした。ウは、下関条約締結は1895年ですが、明治時代最初の貨幣発行は、1871年の新貨条例によるものといえますので前後関係が逆といえます。エが正解の肢ですが、日本の近代工業の発祥は、製糸業です。生糸・綿糸は、世界有数の生産国となり、最大の輸出国となりました。
渋沢栄一の生涯を問題に即して簡単に見てみます。栄一は、武蔵国、いまの埼玉県深谷市の出身。徳川慶喜のもとで幕臣を経て、明治政府期においては官僚として活躍していた時期もありますが、その後退官し、実業家の道をたどります。会社を500~600設立し、「日本の資本主義の祖」と称されています。そして栄一は、「道徳経済合一説」つまり、公益になるような会社をつくることを会社設立の前提としていました。すなわち、財閥のように会社の利益のみを優先し、搾取を奨励するような非民主的な方法をよしとしなかったのです。
(公民)
勤労権ならびに労働三権についての問題です。テキストに記載されているような基本用語のみならず、問6のような、国語と外国語の関係性を問うような問題も出題されています。ただし、これ以外の基本的事項・用語をいかに正解できるかに合格のカギがあると思われます。
労働三権についての問題です。労働三権とは、団結権・団体「交渉」権・団体行動権です。労働三権の根拠条文が憲法第28条であることが思い出されれば、空欄に「交渉」がはいることに気づくでしょう。
憲法では、基本的人権として自由権・平等権・社会権が規定され、これを守るための権利として参政権と請求権が規定されています。さらに詳細に分類すると、自由権には、身体の自由・精神の自由・経済活動の自由が含まれます。平等権は、性別や国籍などによって差別されることのないことを保障するものです。社会権は文字通り社会の中で生きていくのに必要と思われる権利、すなわち、生存権・教育を受ける権利・勤労権・労働三権を保障するものです。本問では、憲法第27条(勤労権)と労働三権を規定する第28条が、いずれの権利に属するかですから、社会の中で働いていくことに関する権利ということで、社会権に属することになります。
最低賃金法により各都道府県に最低賃金が定められ、各企業はこの金額を下回ってはいけないことになっています。そして、この金額算出の指標になっているのが「物価(指数)」です。たとえば、家賃や光熱費などは、地方で数円~数万円という差が生じることが考えられます。こういった差が生じていながら全国一律の賃金の支払を求めるのは、支払う側の企業に酷な面も生じますし、支払われる側の労働者にとっても不平等感が生じかねません。そこで、各都道府県に最低賃金を定めるよう、法が規定しています。
社会科というよりも、表から正解を読み取る能力を試される問題といえます。まず、アについて、条文では、「労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分…休憩時間を…与えなければならない」(労働基準法34条第1項)とされています。アのグラフを見ると9:00~12:00で3時間、12:30~17:00で4時間30分、合計7時間30分労働していることから6時間を超える労働時間となるため休憩は「少なくとも45分」与えなければならないはずです。にもかかわらず、12:00~12:30の30分の休憩しか与えていませんので、同法違反となります。ウは、労働時間の合計が7時間15分ですから、休憩は、少なくとも45分与える必要があります。時間を見るとたしかに12:00~12:45が休憩となっているため「少なくとも45分」与えたことになるようにも見えます。しかし、同法第34条3項では、「使用者は、…自由に利用させなければならない。」と定められています。グラフを確認すると「昼休み兼業務に関する会議」と記されており、「自由に利用させ」ている、とは言えません。したがって、これも同法違反となります。エは、9:00~15:30の6時間30分の労働時間ですから、休憩時間は45分与えればよいところ、1時間与えているので、時間に関しては問題ありません。しかし、同条第1項では、「労働時間の途中に」休憩時間を与えなければならないとされています。エは、労働時間終了後から休憩時間を与えていますので、「途中」ではないことから、同法違反となります。消去法で考えると、イが正解となりますが、確認しますと、イの労働時間は、9:00~12:00と12:30~14:30の合計5時間です。したがって、同法によれば、そもそも休憩時間を与えなくてもよい事例になります。与えなくてもよい休憩時間を与えているのですから、同法違反とはなりません。
問題を一読しただけですと一瞬戸惑いそうですが、「それぞれの会社…で設立」「勤労者の権利を代弁する」「組織」「漢字4字」と、キーワードを集約すると、「労働組合」となるかと思われます。そして、問1でお示しした労働三権が、労働組合に関する権利であることは必修事項です。
本問は社会の問題というよりも、一般教養といったかんじでしょうか。「サボタージュ」はフランス語で破壊行為や妨害行為を意味します。フランスでは、労働者による工場機械や社屋の破壊行為が横行していました。そこから、日本では労働組合の活動として「怠業・避業」を意味し使われるようになりました。「サボタージュ」を語源として、「サボ」る➜さぼるとなった、といわれています。
まず、「非正規労働者」とはどういった労働者をさすのでしょうか。ところで、「正規」労働者は、いわゆる正社員といわれる労働者をさします。これとは対照的な非正規労働者とは、これ以外のパートタイム、アルバイト形態の労働者や、有期雇用契約(月単位や年単位で就労期間があらかじめ決められているもの)により就労する者をさします。非正規労働者の特徴として、賃金面や福利厚生(社会保険加入や有給休暇の取得条件等)で正規労働者(正社員)と差を設けられているのが一般的といえます(エの肢が誤っていないといえる根拠)。また、企業の繁閑期の差を理由として、会社都合による就業・休業、最悪の場合、解雇(雇止め)を決定されてしまうという不利益を被る可能性も高いといえます(いわゆる「雇用の調整弁」。ウの肢が誤っていないといえる根拠)。非正規労働者が全就労者に占める割合は年々増加傾向にあり、38.3%(2019年度)にまでのぼっています(アの肢が誤っていないといえる根拠)。また、就労者全体に対する非正規労働者の割合を男女別でみた場合、女性は約55%、男性は22%と倍以上の差が生じています(2019年度。イの肢が誤っていて本問の正解となる根拠)。
(地理歴史融合)
千葉県をベースに地理・歴史の知識を広く問う形式になっています。千葉県の地理・歴史を問うというよりも、千葉県にとらわれず、地理と歴史の一般的な知識を問う形式になっています。
(1)は、基本的な地名の問題です。千葉県と東京都の都県境をなす川、「江戸川」です。(2)は、言われてみると思い出すというレベルかもしれません。「安房」の国です。千葉県は「房総半島」ともいわれますが、房総の「房」は、安房からきています。「総」は、上総・下総の総です。
成田山新勝寺とゆかりの深い伝統芸能ですが、みなさんも、2月2日の節分に豆まきをおこないますね。テレビを見ていると、成田山新勝寺での豆まきの様子が毎年必ず映し出されます。その際、まいている人に注目していると、多くの芸能人が参加されているのを目にされると思います。さまざまな出演者のなかで、ほぼ毎回登場するのが「歌舞伎」の役者さんです。とくに市川海老蔵さんは、ここ数年毎回登場されていらっしゃいます。問題文にある通り、歌舞伎市川一門はこの成田山に縁が深いため、市川海老蔵さんも参加されていらっしゃいます。
海外に出る際に身分を証明するものという問題文から連想できそうです。「パスポート」です。問題文で紹介されているものは、「1866年」発行となっていますので、幕末の鎖国が崩壊する前後に発給されたものと分かります。
(a)食料自給率について、都道府県レベルでみたこと、考えたことがあるでしょうか。こんなことまで覚えなくてはならないのか…というため息が聞こえてきそうですが、出題された聖光学院の先生が求めていらっしゃるのはそうではない気がします。都道府県別で食料自給率を比較した場合、上位に入る都道府県と下位に入るそれとで、どのような特徴があるかを聞いているのではないかと推測できます。まず、上位に入る都道府県は、食料生産が盛んな地方(農業就業者の割合が高いともいえるかもしれません)で、人口が比較的少ない都道府県ではないかと思われます。データを確認してみると、1.秋田県(192%)2.北海道(185%)3.山形県(139%)4.青森県(120%)5.新潟県(112%)となっています。その反対に、人口が多い割には農業がさかんではない地域(都市部となると思われますが)においては、食料自給率は低い傾向にあるのではないかと思われます。最も低いのは1.東京都・大阪府(1%)3.神奈川県(2%)4.埼玉県(10%)5.愛知県・京都府(12%)7.奈良県(15%)となっています。問題となっている千葉県ですが、稲作や畑作、畜産も盛んでランキング上位に入るものもたくさんあります。しかし、人口で見ると600万人を超え、全国でも6位に位置するほど増加しています。つまり、人口で割る食料自給率の計算方法からすると、人口を多く抱える都道府県は、比較的数値が低くなることが推測できます。以上から、問題では東京都の次に数値が低いものが千葉県であると判断できることになります。
(b)千葉県が生産上位の農作物を写真から選ぶという問題です。まず、Ⅰ.の農作物が何かを考えてみると、長崎が1位、そのほかに香川県が3位にはいるという、あまり見慣れない農作物ランキングです。そこで、写真も照合してみると、まず、サツマイモが表では明らかにされているので、写真イがサツマイモと分かると思います。残りのアとウの写真を見ると、アがつるもの野菜、ウが樹木のように見えます。ここから推測するに、長崎が1位になり、樹木のもの、ということで「びわ」が思いつくのではないでしょうか。千葉県の南房総市、館山市、鋸南町(きょなんまち)は、びわ産地として有名です。長崎県が、ランキングで上位に入ってくる農作物はそれほど多くありません。常に上位に入ってくるものとしては、じゃがいも(2位)、レタス・たまねぎ(同4位)、にんじん・みかん・いちご(いずれも5位)ですが、これらが出題された場合、長崎県以外に特徴があるため、長崎は覚えなくても判断には困らないと思われます。そこで、覚えるべきものとしては、びわとじゃがいもということになるかと思われます。Ⅱ.のランキングはかならず覚えなくてはならないものといえますし、写真からもきゅうりと判断できるかと思われます。
本問で、誤っているものを見つけるのに苦労した受験生が、少なからずいらっしゃったのではないかと推測されます。和食調味料の「さしすせそ」ですが、「さ」が砂糖、「し」は「しお」です。「す」は「酢」です。よく問題とされるのが「せ」です。これは、「しょうゆ」です。なぜ「せ」が「しょうゆ」であるかといいますと、古語の読み方で「せう(ふ)」は「しょう」と読むからです。「せうゆ」で「しょうゆ」です。さいごの「そ」が「みそ」の「そ」です。「しお」は発酵調味料ではありませんから誤っています。
統計資料の問題について、テキストや問題集等でよく目にされているものは大丈夫でしょう。しかし、普段の学習で目にする統計資料といってもどうしても限界があります。そこで、学習した内容を総動員して統計資料を読み解くことが必要になります。まず、表のⅠをみると、電子部品、輸送用機械(やすく言えば「自動車」等です)、生産用機械(「農業用機械や建設用機械、工作機械(製品を作る機械)」等です)が上位を占めています。九州が、シリコンアイランドやカーアイランドと呼ばれていることから、発想すれば、電子部品と輸送用機械が上位を占めていることから九州に位置する県であることが推測できます。ⅡとⅢは似ていますが、特徴的なのは、Ⅱの食料品です。全体の三分の一を超える割合となっていて、Ⅱがあらわしている道県の主幹産業であるといえます。食料品工業が主幹産業であるのは北海道か千葉県かと比較してみると、水産加工業や酪農関連加工業がさかんな北海道のほうが、食料品工業がさかんなのではないかと推測できます。したがって、Ⅱが北海道、Ⅲが千葉県となります。なお千葉県は、石油・石炭製品、化学工業の出荷額につき、全国1位となっています。
木更津市の人口動態についての問題となっていますが、関東近郊のいずれの都市でも起きている現象ですから、ある程度予測できたと思われます。問題は下線部(Ⅲ)の「川崎市と木更津市を結ぶフェリー航路」という記述です。川崎市と木更津市(正式には「久里浜―金谷」)のフェリーは、1960年から就航しています。木更津市の人口増加に寄与したのは、「東京湾アクアライン」です。なお、Ⅰ、Ⅱの記述は正しいです。
湿地を保護していく理由を問われていますが、エの「湿地では外来の生物が育た」ないという部分について、なぜ育たないのかという理由がたちません。在来の生物が育つ環境であるならば、外来種でも同様に(むしろ天敵がいないなどの理由で大繁殖する可能性のほうが高いことに警鐘が鳴らされています)生活できると考えるほうが合理的であると思われます。
(a)この問題は、写真のみで判断するのではなく、しっかりと問題文を読んでみましょう。問題文と写真を総合してみると、「干潟で行われている海藻の養殖」ということが分かります。海藻といわれて思いつくのは、わかめ・こんぶ・のりといったあたりでしょうか。このなかで、干潟で養殖がおこなわれるのは、「のり」です。ほかの二つは全長が長くなる性質のある海藻ですから、ある程度の深さが必要になるかと思われます。
(b)つぼに入る習性を利用して捕獲する漁の対象となる生物ということですが、「タコ」です。「タコつぼ」とよくいいますが、タコには暗くてちょっと狭い場所がお気に入りという習性があります。これを利用してツボを海に沈めて漁をするという方法がとられています。
(c)千葉県で古くから捕獲してきた歴史があり、食用のみならず、油をとったり、骨やひげまでも利用する生物ですが、「クジラ」です。クジラ肉は現在でも食用として利用されています。また、クジラからとった油は「鯨油」といわれ、様々な用途に使われます。骨からも油が取れるため、煮たり圧縮して採油していました。しぼった後の骨は粉砕して、肥料として利用されていました。ひげは、釣り竿の竿先やバイオリンの弓などに使われています。
加曾利貝塚は、千葉県内陸部の高台に位置する貝塚で、海岸線から直線距離でも約10km程度あります。現在と比較すると海岸線が内陸まで入り込んでいたことが理由と考えられます。
(a)アは、スポーツ庁・文化庁・観光庁3庁のオリンピックに向けた連携マークです。一見すると富士山のようにも見えますが、あくまでも3庁が連携するイメージを描いているもので、富士山との関連性はないとのことです。イは、「文化財愛護シンボルマーク」で昭和41年5月に定められたものです。「このシンボルマークは,ひろげた両手の手のひらのパターンによって,日本建築の重要な要素である斗栱(ときょう=組みもの)のイメージを表し,これを三つ重ねることにより,文化財という民族の遺産を過去,現在,未来にわたり永遠に伝承してゆくという愛護精神を象徴したものです。」(文化庁HPより引用)。ウは、観光庁による「がんばろう!日本」のキャンペーンマークです。エが「伝統マーク」で、伝統的工芸品に伝証マークとして貼付されます。
(b)「浮世」とは、元々「憂き世」とあらわされていた言葉で、つらいことやはかないことを象徴する言葉として使われていました。江戸時代の閉鎖的な社会の中にあって、そんなつらい世の中なんて笑い飛ばして浮かれて暮らしていこう、という風潮を好んだ風流人たちが「浮世」という字をあてたといわれています。
地層の生成過程についての記述を選択する問題です。まずイですが、地面に対して水平に重なっている地層に筋がついている場合、海流による浸食というよりも、断層面がずれたことでできあがった筋ではないかと推測されます。ウは、「不規則な形状」とされていますが、写真の地層を確認すると、ある程度規則的に層を織りなしていることが見られるため、不規則とはいえません。エは、房総半島が南方からぶつかったという記述がありますが、これはおそらく「伊豆半島」を意識した記述ではないかと思われます。房総半島は、土地の相対的な隆起(水位の低下のどちらかという意味です)の結果、できあがった陸地であるといわれています。最後にアですが、写真をよく見ると幾重にも重なった地層が、横方向と縦方向といずれも見られます。これは、なんらかの地殻変動に起因し生じた断層により地層がずれ、その後の堆積や隆起を繰り返した結果であることが推測されます。
聖光学院中では、記述(30~50字程度)かもしくは図に書き込む問題(もしくはその併用)が出題されます。問題に誘導がついていることがほとんどですから、誘導に乗ってしまうことが合格への近道といえます。そういう意味も込めて、3⃣の問13を「合否を分けた一題」にさせていただきます。
「房総導水路」は、千葉県が京葉工業地域の発展とこれに伴う周辺都市拡大による人口増加を原因とする水不足の解消のために造成された用水です。昭和46年に着工し、全行程が完成したのが平成9年ですから、あしかけ約28年を要した大工事であったことがうかがえます。千葉県の各地では、昔から地下水を利用していたのですが、水位が安定しておらず安定的な生活用水供給につながらず、地元住民は困惑していました。また、京葉工業地域の用地不足解消のため内陸部へ工場が進出することで、水不足はさらに深刻度を増していきました。このような歴史的経緯の中、房総導水路は計画・完成を迎えたのです。以上のことを踏まえて、記述してみましょう。
『千葉県内陸部への工業化・都市化の進行で工業・生活両用水の需要が高まったが、これに応えられる河川がなかったから。』(55字)