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A…聖光学院合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2021年度の聖光学院は、例年通り、正確な知識を求める問題と、正確な計算力を求める問題で構成されていいます。今年度は見た目が難しそうな問題は見られず、どの受験生も悩まず解き進められたのではないでしょうか。
100点満点で、合格者平均83.7点(昨年度84.4点)、受験者平均78.4点(昨年度75.5点)と、高かった昨年並みの平均点ですが、上下の差がかなり狭まっており、差のつく問題が少なかったと言えます。理科が得意な受験生にとってはアドバンテージを取りにくいセットでした。
物理では浮力が出題されましたが、問題数が多いので浮力を苦手とする受験生は苦戦したかもしれません。
2021年 聖光学院中 理科 出題構成
生物→地学→化学→物理 の流れは、ここ数年定着しています。
一見とっつきにくそうな問題も多く出されますが、聖光学院の問題は基本に忠実に作業を繰り返すことで解答に到達できるように作られています。
対策としては、各分野とも隙のない知識を身に付けることです。中学入試用のテキストに載っていることを正確に記憶し、基本的な計算問題を高い精度でこなすことができれば、ほぼすべての問題ができます。理科が苦手な受験生でも、テキストを繰り返しやりこむことで十分対応できます。
(生物)動物一般の知識問題です。
動物のつくりに関する基本の知識問題から、飼い方の注意、大きさや寿命などがきかれています。メダカやザリガニの寿命は、飼った経験がないと想像しにくいかもしれません。
脊椎のある生物を選びます。
えら呼吸する生物を選びます。アメリカザリガニはえら呼吸です。
寿命が最も短い生物を選びます。カブトムシが幼虫で越冬するなどのサイクルを知っていれば答えられます。
成体の大きさが最小のものを答えますが、これも問題なさそうです。
オスとメスの見た目の違いを答えます。メダカは問題なく答えられます。カブトムシについても知らないことはないでしょう。
カブトムシの成虫を野外で捕まえられる季節を答えますが、当然すぎてかえって警戒してしまうような設問です。
カブトムシの幼虫を飼育するとき、こまめに交換しなければならないものを答えます。昆虫ゼリーに引っかかってしまった人がいるかもしれませんが、幼虫の飼育では使いませんね。幼虫は腐葉土を餌にしますが、交換しないとふんだらけになってしまい、環境が悪化します。
メダカが産卵した後に親と卵を分ける理由です。これを習っていない受験生はいません。
「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」に載っている生物の組み合わせを選びます。時事問題として対策できている受験生も多かったのではないでしょうか。
ニジマス・イワナ・ヤマメからニジマスを選べれば問題ないでしょう。
(地学)台風についての問題です。
大問4題中、最も時間と手間がかかる問題となっています。
求めようとする値を計算するために、与えられた数値のどれを使えばよいかを、すばやく見極めなければなりません。さらに、比の考え方をきちんと使えるかどうかがポイントとなります。
熱帯低気圧や台風が発生するときの海水温を選びます。何℃かと聞かれると相当難しいですが、
20℃, 27℃, 37℃と選択肢の数値の幅が大きいので、外すことはないでしょう。
ハリケーンを記述させます。知らないと書けないので、答えられない受験生がいたかもしれません。
台風の中心の軌跡を選びます。時系列の衛星画像で各時刻における位置が分かるので、それを地図中にプロットする作業を実行すると、容易に決めることができます。
台風周りの風向を答えます。図も見やすく、問題ないでしょう。
算数です。かなり基本的です。
ふだんの気圧×0.95=950より、ふだんの気圧=1000hPaとなり、
気圧は50hPa下がっていることが容易にわかります。
高潮を記述させます。
高潮による海面上昇の原因が気圧低下であることはここまでの問いで明らかになっています。もう一つの理由は、吹き付ける風の影響です。高潮について、理由まで含めて説明できるようにトレーニングしていれば、迷わず選べます。
(化学)気体の発生に関する問題。
水上で集めているので水上置換を答えます。見たままなので、全員正解でしょう。
二酸化マンガンを加熱すると生じる気体を答えます。酸素が発生することを知っている受験生はほとんどいないと思われますが、次の(3)で二酸化マンガンにある液体を加えることでも得られる、とあるので、知らなくても容易に分かります。
酸素の性質を答えます。差はつきません。
火を近づけると音を出して燃え、硫酸と固体が反応して生じる気体は、水素ですね。
条件を満たす固体は鉄です。
酸素と水素を反応させると、物質Yだけが生じました。とあります。
Yは水ですね。水の検出に用いるのは塩化コバルト紙。
酸素と水素を反応させると、物質Yだけが生じました。とあります。
酸素と水素が完全反応して、水だけになったと早合点すると、できた水の重さが酸素と水素の重さの和になっていないので、おかしいことがわかります。
表から、水素0.1gが酸素0.8gと反応して水0.9gになっていることをつかみましょう。
そうすれば、3gの酸素と反応する水素の重さは
3×1/8=0.75gとなり、生じた水の重さは
3+0.75=3.75gであることがわかります。
混合物と空気を密閉された容器内で反応させ、容器内の気体の体積が4/5になる、とありますから、容器内の空気の1/5を占める酸素がすべて使われたことがわかれば、気体Zが窒素と分かるでしょう。
苦し紛れに選択肢から判定しようとすると、混合物内の硫黄に対して、硫化水素や二酸化硫黄が引っ掛け選択肢として立ちはだかる可能性があります。
(物理)てこと浮力についての力学総合問題。
→「合否を分けた一題」で後述します。
全体的に基本問題でもかなり易しいものが並んでいるため、些細なミスが許されないセットでしたが、聖光学院を目指して勉強してきた受験生が大きく失点することは考えられません。
ただ今回のセットのうち、「浮力」は苦手にしやすい単元です。苦手なリにも基本をしっかり押さえた学習をできていればクリアできる問題ですが、問題数が多いため、苦手の度合いに応じて点数がばらけている可能性があります。苦手分野を放置したまま本番を迎えることは避けなければなりません。ここで大きく差を付けられると挽回できる部分がありません。
後述の通り、力のつり合いの式、てこのつり合いの式を立てるという方向性でテキパキと処理することが必要です。
物体に働く力のつり合いの式を立てます。
重力=5×125=625g、浮力=125g、ばねはかりの張力=□とすると、
625=125+□
となります。
与えられた条件から
の式を立てることが目標です。物体②の体積を□として、てこのつり合いの式を立てると、
(5×□)×10=40×20となります。
ばねの張力を□として棒にかかる力のつり合いの式を立てると
□=80+40となります。
棒の真ん中から物体③までの距離を□として、
100×□=40×20
これを解きます。
まず空気中で水平に釣り合わせた図で、棒にかかる力が
X=80,Y=100と分かっていますから、ばねはかりはXYを5:4に分ける点でつり下げていることがわかります。この長さを⑤、④とします。
水中では「空気中ではかった重さから浮力の大きさを引いた値」がX,Yにかかる力となります。
X=80-16=64,Y=100-25=75ですから、
64×⑤ > 75×④
となり、つり合わず左側が下がっていくことが分かります(選択エ)。
張力そのものは64 < 75より(イ)を選びます。
金属Aと金属Bでできた80gの物体を考えます。
浮力が大きい方=体積が大きい方
であることが分かります。これを問題で確認してしまったら身もふたもなくなりそうですが、浮力が苦手な受験生が体勢を立て直すのには役立ったかもしれません。
物体④、⑤の体積はそれぞれ
80÷5-=16, 80÷4=20 なので、物体⑤にかかる浮力が16gになるようにします。
水中部分の体積=16より、水面上の体積は20―16=4(㎤)となります。
左右の糸にかかる力を求めます。
80-16=64,Y=80-20=60 となります。この和が(9)の答えとなります。
これより物体④と物体⑤それぞれの支点(ばねはかりでつるした位置)からの距離比は
15:16と分かります。15にあたる距離が20㎝なので、1にあたる距離は4/3㎝となるので、指定に沿って解答しましょう。