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理科の合否を分けた一題

聖光学院中入試対策・理科の合否を分けた一題(2016年度)

難易度分類

A…聖光学院中学合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

(1) A  (2) A  (3) A  (4) A  (5) B
(6) (a)A  (b)B
(1) A  (2) A  (3) (a)A  (b)C  (c)A
(1) A  (2) A  (3) B  (4) B  (5) A  (6) A
(1) A
(2) (a)A  (b)A  (c)A 
(3) (a)A  (b)A  (c)A
(4) (a)A  (b)A
(5) A

出題総評

2016年の聖光学院中1回の問題は、[1]が生物分野からソメイヨシノについて、[2]が地学分野から太陽系の惑星について、[3]が物理分野から気圧について、[4]が物理分野から浮力についての出題となっていました。例年通り大問4題となっていました。難易度については聖光学院受験生からすれば、低くなっており非常に高得点での争いが予想されます。実際、今年度の合格者平均は、83.6点となっており、150点満点の算数の合格者平均84.7と大差ないものになっており、理科を得意とする受験生には不利に働いたと考えられます。

問題別寸評

1 ソメイヨシノについて
(1)A(エ)

非常に基本的な問題です。

ソメイヨシノを観察したことがあれば必ず正解できます。
(ア)は合弁花のツツジでしょう。
(イ)は梅の花です。これも必ず観察しておきたい花です。
(ウ)は合弁花のヘチマでしょう。

植物の分類はまずは種子を作るか、作らないかで分類します。
次に種子植物のうち子房がないものが裸子植物、子房があるものが被子植物になります。
さらに被子植物のうち、子葉の枚数が1枚のものを単子葉植物、子葉の枚数が2枚のものを双子葉植物になります。
そして、双子葉植物の花びらがくっついている植物を合弁花、花びらが離れているものを離弁花といいます。

(2)A(ウ)

非常に基本的かつ常識的な問題です。
桜の花びらが散って、葉をつけることは小学生1年生でも知っています。

(3)A(オ)

4年生前期の知識なので、かえって忘れていた受験生がいたかもしれません。
ソメイヨシノの冬芽は花の芽と葉の芽に分かれます。
花の芽が太く丸みを帯びています。
葉の芽は細長くなっております。

(4)A(サ)

これも4年生前期の知識ですが、さくら前線の見方です。
当然、気温が関係しています。

(5)B(ウ、カ)

ソメイヨシノには自家不和合成という性質があり、自家受粉できません。
この実験だけから、分かることはソメイヨシノの花には、胚珠を作るものがあることと、他の種類のサクラの木の花で作られた花粉がくっついて、受粉がおこることが分かります。

(6)(a)Aさし木(b)Bクローン

原木から個体を増やす方法として「さし木」という方法があります。
「接ぎ木」と間違えないようにしましょう。

また、すべてのソメイヨシノは同じ遺伝子をもっているとあるので「クローン」を想起したいところです。

2 太陽系の惑星
(1)A(あ365、い1)

易しい問題です。

易しすぎて逆に不安になった生徒もいたのではないでしょうか。
地球は1年(365日)で太陽を1周します。
また、地球が1日に1回転するので朝と昼と夜があるのです。

(2)A(海王星)

易しい問題です。

水、金、地、火、木、土、天、海で覚えているはずです。
リズムよく覚えてください。(スイキンチカモクドッテンカイ)

著者が受験生の時は冥王星も惑星として覚えましたが、科学の定義も変わることを覚えておいてください。

(3)

まずは、①~⑦の惑星の特定から始めましょう。

①地球から見ると青色に見える、大黒斑(大暗斑)とよばれた模様が出現した、という記述から海王星であることがわかりますが、聖光受験でも特定は難しかったと思います。

②大赤斑という記述から、木星が想起できるかが勝負。相当の天体好きの受験生であれば2014年にナサが大赤斑が縮小していることを発表したことを知っているかも知れません。

③くっきりとしたリングという記述から、土星だと特定できるはずです。

④この文章からだけでの特定は難しいと思います。⑤⑥⑦を特定した後に残りの天王星と特定できます。

⑤地球から観測すると赤く見えるという記述と水が流れていた跡があるという記述から、火星だと判断できます。

⑥明けの明星、宵の明星という記述から金星だと特定できます。

⑦岩石型惑星で残っているのは水星しかありません。

(a)A②木星 ⑤火星 ⑦水星

(b)C(エ)
この問題は実質的には、知識問題です。
土星の環の直径は27万キロありますが、環の厚みは10mほどです。
土星に興味を持って調べていた受験生は(エ)を選べたかもしれません。

(c)A(白夜)
易しい問題です。
「びゃくや」と読みます。

3 気圧
(1)A(あ0、い100)

易しい問題です。
あまりにも易しいので不安になった受験生もいたと思います。
通常、水は100℃で沸騰し、0℃で氷になります。

(2)A(エ)

易しい問題です。
マッターホルンの高さが富士山よりも高いことを知っていれば解ける問題です。
スイスとイタリアの国境にあるマッターホルンの高さは4478mです。
ですので、富士山(3776m)よりも高いので気圧は低くなり、富士山よりも低い温度で沸騰が起こることがわかります。

すると、選択肢の中で86℃よりも高い温度で沸騰するのは選択肢(エ)の88℃しかありません。

(3)B(ふたに重りをのせる)

気圧が低いので沸点が低くなり88℃程度までしか水温が上がりません。
ですので、気圧を高くする方法を考えることになります。

(4)B(イ)

合否を分けた一題で扱います。

(5)A(4℃)

易しい問題です。
水の温度が4℃のとき、最も体積が小さくなるという知識問題です。
ですが、水はご存じの通り、液体であるときより、固体である時の方が体積が大きくなりますが、特殊な性質であることを認識しておきましょう。

(6)A(ウ)

冬の日に洗濯物を干すと、洗濯物から白い煙のようなものがでるのは、洗濯物の水分が、湿度と温度の低い方へ移動しているからです。
もともと空気中に含まれていた水蒸気が冷やされたわけではありません。

4 浮力
(1)A(ア)

浮沈子の実験は有名ですが、ここで分からなくても、(2)を解くことで正解が分かるようになっています。

(2)

(a)A(体積)
易しい問題です。
浮力の基本中の基本です。

(b)A(1)
易しい問題です。
水は1㎤あたり1gと考えるのが通常です。

(c)A(アルキメデス)
アルキメデスと王冠の逸話はあまりにも有名です。
浮力を使って、本物の金でできた王冠か、金に混ぜ物を入れて作られた王冠かを調べました。

(3)

(a)A(375)
易しい問題です。
浮力は、液体の質量○g/㎤×浸かっている物体の体積(㎤)になります。
水の場合は質量が1g/㎤なので、使っている体積分の浮力が働きます。
5×5×5=125㎤なので125gの浮力が働きます。
500-125=375gとなります。

(b)A
0cmのとき500gで5cmのとき375gになるグラフです。

(c)A(0.5)
氷の体積は5×5×5=125㎤です。
氷の重さは125×0.9=112.5gです。
よって112.5gの浮力を受けているので112.5㎤が沈んでいる部分になり、浮いている部分は、125-112.5=12.5㎤になります。12.5㎤を5×5=25㎠で割れば0.5cmが求められます。

(4)

(a)A透明な液体は温まると膨張するので体積が大きくなるが、重さは変わらないので、透明の液体の密度は小さくなる。浮力は液体の密度×沈んでいる物体の体積だから、浮力が弱くなり、沈むことになる。

(b)A(ウ)
温められたときに最後まで残るものを考えれば答えがだせるはずです。

(c)A(風船、気球など)
風船に空気より軽い気体をいれると浮かびます。
また、気球のように熱を加え、空気を膨張させて浮かばせることもできます。

合否を分けた一題

3 気圧
(4)B(イ)

常識的に考えれば、選択肢(ア)を選ぶはずです。

しかし、これは復氷(ふくひょう)という原理により答えは(イ)になります。
復氷とは、氷に圧力がかかると溶ける温度が低くなり、圧力が低くなると溶ける温度が高くなることによって再び凍って結局切れない現象をいいます。

スケートやカーリングは実はこの原理を使っています。

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