聖光学院中のサピックスの合格率80%偏差値は62(麻布、桜蔭中、栄光と同じ偏差値、駒場東邦、女子学院より上)、日能研は68(栄光、麻布、駒場東邦、女子学院より上)、四谷大塚は67(栄光、麻布、駒場東邦、女子学院より上)と、各塾とも麻布中、栄光と同等もしくはそれより上のレベルだと判断しているようだ。
それほどの難関校なら、入試問題も難しいと思われがちだが、実際は合格者平均点が、今年は150点満点中120・7点、昨年度は105点と高得点になっていることからもわかるように、難易度が適度に押さえられていて、難関校の中では比較的取り組みやすい入試問題レベルといえるだろう。
ただ選択肢が多い分、差がつきやすい。例えば、今年度の最高点は146点だが、最低点は84点と、その差が62点もある。これは他の三教科も同じである。
さらに記述問題のレベルが年々少なくなっていることも気になる。
聖光学院の入試問題は、文章の要約問題や心情の変化を百字以内でまとめる記述が特徴の一つだったが、ここ数年は姿を消していて、逆に記述問題の割合が例年少なくなっている。
いわゆる難関校は記述問題が増加傾向であるが、聖光学院中はこれと正反対の傾向である。
受験者数の増加などによる採点の効率化、記述問題の難易度が高すぎることにより、受験生の得点に差がつかず、レベルがわかりにくいなどが原因なのかもしれないが、記述は受験生の思考レベルがわかるし、語彙力や表現力も試すことができるので、国語力をみるうえで有効な手段である。さらに、記述力はテクニックだけでは書けるようにならないし、一朝一夕で身につくものでもない。だから記述問題が減少することは、首都圏の最難関校としては、ややさみしい感じがする。
基本的には説明的文章、文学的文章一題ずつ出題される。
字数は9,000字程度と、年々増加傾向でかなりの長文である。文学的文章のほうが、字数はやや多めである。
説明的文章の題材は自然、言語、社会の規律や日本人の性質など、中学入試ではよく出題されるテーマが多い。文章の難易度は比較的読みやすく、説明的要素が強い文章である。(本格的な論説文は、あまり出題されない。)
文学的文章は、転校生の心情や田舎に帰省した少年・少女の心情の読み取りが多い。
このような文章の場合、設定の読み取りがとても重要である。
また主人公は小学生が中心であることから、児童文学から出題されると考えてよいだろう。
知識問題2題、文章題2題という形式は変わらない。
知識問題は、文脈から語句や漢字を考えさせるという形式である。つまり、意味がわかっているだけでなく、それを使えこなせるかいう点を試していると思われる。
文章題は、やや文学的文章のほうが長い傾向がある。
設問の傾向は、ここ数年記述問題が減少、今まで出題されていた要約や心情の変化をまとめさせる大型の記述がなくなっているのが特徴的だ。その代わり、選択肢問題が増加傾向である。選択肢問題は5択で、選択肢の文も長文傾向である。しっかりと最後まで読んだうえで、設問の意図を読み取り、根拠をとらえ、選択肢の文を比較→根拠と照合し、正答かどうか検討するという論理的なプロセスができるかどうかを試しているのだろう。
あと注意したいのが、「設問のつながり」である。麻布、開成、駒場東邦、桜蔭などの難関校でもそうだが、設問が有機的につながっているのが聖光学院の入試問題のもう一つの特徴である。(これは聖光学院のホームページでも公表している事柄である。)
以上、簡単に文章と設問の傾向について述べてきたが、この傾向を踏まえてこれから具体的な対策について説明していく。
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