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国語の合否を分けた一題

聖光学院中入試対策・国語の合否を分けた一題(2020年度)

難易度分類

① A ② B ③ B ④ A ⑤ A
① A ② B ③ B ④ A ⑤ A
問一 B 問二 B 問三 B  問四 A 問五 A 問六 B問七 すべてA 問八 B 問九 A 問十 A
問一 すべてA 問二 A 問三 A 問四 A 問五 A問六(1) A  (2) A

A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題

問題総評

今年度の聖光学院中学は大問4つの構成となっており、例年通りの出題でした。
大問一は、漢字の書き取り、大問二は、慣用句でした。
大問三は、かつてお互いに悲しみを抱いていた同級生が亡くなったと聞いた主人公の心の揺れを題材にした物語文でした。
大問四は、「報告」と「論文」の違いを明らかにした論説文でした。
合格者平均は103.8点、受験者平均は89.3点、差が15点近くある、例年と比べて国語の力のある受験生にチャンスがあった問題と言えます。特に大問4の論説文は筆者の言いたいことがはっきりと読み取れるものでした。すべての問題の正解が望まれます。また、時間内に慌てずに解くことも必要だったかもしれません。

問題別寸評

漢字の書き取り
どれも小学生で習う漢字ですが、普段目にしない言葉の②判然 ③美観は、苦戦した受験生がいたのではないかと考えます。

慣用句
②たてにとる③五指にあまる、は苦戦した受験生がいたと考えます。

問一 比喩表現の言い換え

難解な比喩表現ですが、「無理やり見せられた」に注目し、その言い換えにあたるものがあるかを考えると、正解が選べる問いでした。

問二 線部の理由説明 ※記述

「一番聞いて欲しくないコトバ」を確認し、野球部に関する今の状況や思いを読み取って記述する問いでした。「未練」「まだあきらめきれない」「心残り」などの心理表現が書ければ大きく得点を伸ばせたものです。

問三 線部の対象の説明 ※記述

「不公平」の対象ですから、二つのことを対比して書かなくてはならないという発想ができれば、答えの内容自体ととらえるのはそう難しくないのですが、四十字以内におさめる点が苦労しそうです。

問四 線部の対象の説明

線部直後の内容の読み取りで答えが選べる問題です。「誰も知らないのだ。」と文末にはっきり書かれています。正解すべき問いです。

問五  線部の理由説明

問いに「考えられますか」とあることから、ナスミはその理由について明確に説明しているわけではないことがわかります。ただし、ナスミ以外の人物、利恵が推測をしている部分が線部の大分後ろにありました。そこを根拠にすることが求められた問いでした。主人公の心情も利恵の言葉によって大きく変わる場面ですので、読み逃してはならない部分でした。落とせない問いです。

問六 何と答えるべきだったか ※記述

合否を分けた一題で詳しく説明します。

問七 擬態語

「未練たらたら」や「もやもや」、「もんもん」など心情を表す擬態語も含まれているので、すべてに自信を持って答えられるというレベルの問題ではありませんが、それでも全問正解すべき問いだと考えます。

問八 線部の言い換え

線部の直後に「あんた散髪屋なんだからさ」とあります。散髪屋であるならば、どうなのか?を考えることが必要です。また、線部の直前のできごとである利恵が主人公の襟足をバリカンでかった、ということも合わせて、線部の表現「みんな、こういうとこ見てんのよ」を考えます。特に「みんな」という表現に注目すると、より答えがはっきりするでしょう。散髪屋でない人は散髪屋の襟足(髪の様子)に注目する。利恵が主人公に伝えたいメッセージをここから読み取りましょう。やや難しい問いと考えます。

問九 線部の理由説明

線部の直後に「今オレは、利恵のいる場所を目指して歩いているそう思うと、たった一人で歩くことは、全然怖くなかった」とあります。このことから、利恵の存在によって今の自分が過去とは違うことがわかります。そうすると、利恵が主人公にとってどのような存在なのか、を考える必要があります。本文全体の中から、主人公に相対する利恵の言動から読み取りましょう。正解してほしい問いです。

問十 時系列並び替え

前半の三つの順が変わるだけ、あとは本文の順番通りという易しい問いです。正解はもちろんですが、時間をかけずに解くことが重要です。

問一 言葉の使い方

どれも普段目にする言葉です。正解すべき問いです。

問二 線部の詳細説明

 線部の直前に「この報告は」とあります。「報告」がどういうものか、指示語の前の内容をおさえると答えは選べます。正解すべき問いです。

問三 線部の理由

これも問二と同じ「報告」に関する問いです。「報告」に関して書いているひとつ前の段落を読んで答えを選びます。正解すべき問いです。

問四 線部の理由

線部の後から語られる筆者の考え「報告は客観性…論文は主観性」を読み取れば正解は選べます。落とせない問いです。

問五 線部の理由

 「ではなかろうか」「思われる」「「ほど」というあいまいな表現を、筆者は無責任と言っているのです。正解すべき問いです。

問六(1) 筆者の意見にあてはまる具体例

 「論文」は「実証的報告に対して、或る独自の解釈を与える」ものだと言っているので、それに該当するものを選びます。正解すべき問いです。

問六(2) 筆者の意見のまとめ ※記述

最後に記述問題がきていますが、筆者の言う「論文」のポイントを文章全体から集めまとめればよいだけの問題です。記述問題は、手間はかかるが決して難しいわけではないということを改めて教えてくれる問題でした。正解すべき問いです。

合否を分けた一題

今回は大問三の問六を、合否を分けた一題に取り上げます。短い字数におさめなくてはならない聖光学院中学の特徴が表れています。今回は二十字以内です。二要素入れなければならないので、まとめるのに厳しい問いと言えます。

問六 何と答えるべきだったか ※記述

―線部⑥に「好きだからだよ」とありますが、このとき何と答えるべきだったと考えられますか。二十字以内で書きなさい。

解き方の手順
「好きだから」と答えた結果、ナスミは待ち合わせ場所に来なかったという結論に至った主人公ですが、線部の大分後ろで、「あのとき、自分が言わねばならなかったコトバがあふれてくる」と書かれています。

「オレは、さびしかった。誰かに優しくしてもらいたかった。泣きたかった。側にいてほしかった。一人だった。ものすごく一人だった。なんで一人なんだと怒っていた。ずっと怒っていた。なのに怖かった。怖くてさびしかった。わかるよって言って欲しかった。誰かとずっと一緒にいたかった。」

ここをまとめればよい問いと考えられます。

ただし、この部分は主人公の一方的な思いでしかありません。線部の直前のナスミの問いかけ、

「どうして私じゃなきゃ意味がないの?」

を考慮に入れ、主人公にとってナスミの意味とは何かについても書く必要があります。
二人は大切なものを失った同士です。お互い同じ気持ちをもっているのがわかるから、主人公は一緒にいたかった、という内容が答えになります。

解答
大切なものを失った者同士、一緒にいたい。(二十字)

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