今年の入試も、知識、技術を問うというよりは、日ごろの学習の構えを問う出題が多く見られました。地図、写真、表はあるものの、「読む」力が圧倒的に求められる「文字、文だらけの問題」となっています。また、内容としては、生活に密着した知識と、社会問題に対する意識が問われていると感じられます。正確な知識の量に加えて、知識を統括する視点を持つこと、推論力、言語処理能力の高さ、説明力などが求められています。
2013年度入試で、合否を分けた問題として1題を挙げるとすれば、
Ⅰの問5の(3)、指定語句を使った記述問題です。
この問題は、様々な問題に関する知識をつなげていく、という視点が求められること、
状況の変化をとらえるという、歴史的視点も求められること、
指定語句3つをすべて的確に使う必要があること、
から、部分点に大きな差がついた可能性があります。
簡潔にわかりやすく説明をまとめることに苦労した受験生も多かったようです。
まず、中問である問5がどのような問題かを踏まえましょう。
日本の発電のエネルギー源に占める原油・石炭・LNGの割合を示す表の理解と解釈を問うものです。「エネルギー源」に関して、「輸入」にたよる割合が増えている、ということと、3つのエネルギー源の特色に関する知識は、それほど難しいものとは言えません。
ただ、そこから、「エネルギー資源の確保の国際間競争がきびしくなった理由」の説明には、一直線で結びつけることはできません。ここでは、知識で答えるより、着実な推論の積み重ねで、論理的につじつまのあう答案を作成したいところです。
「資源確保の競争がきびしくなった」ということは、資源を求める「輸入国」や「輸入を必要とする量」が増えていることが原因と推論できます。あとは、指定語句に関する知識を整理してつなげます。
【化石燃料】は限られた資源であること。
人口増、経済発展などにより、エネルギー資源の【輸出国】であった国の国内需要が高まっていること。
【BRICS諸国】が、上記のような急速に経済成長をとげている国の例としてあげられること。
以上を結びつければ、
【BRICS諸国】のような、これまでエネルギー資源の【輸出国】であった国が、人口増や経済発展にともない、【化石燃料】を国内で必要とするようになったから(エネルギー資源を輸入に依存している国の資源確保競争がきびしくなった)。
と、答案を作り上げることができます、知識の結びつけが問われる点で、ひらめきも必要ですが、知っている確実なことをもとに、論理的につないでいくことで、減点されない答案を練り上げることが求められます。
ひとつひとつの知識の単位を正確に確実にしていくことが基本となります。
用語のひとつひとつを、意味内容まで理解して頭の中に刻み込んでいくということです。
そのうえで、「関連用語」を結びつけて説明できるようにしていきましょう。
用語と用語の関係を常に意識し、関連性がある用語は、どのような関連性があるかを整理して、「つながりあった知識」にしていくことが大切です。
ひとつひとつの知識の完成度を高めるとともに、知識間のネットワークを作っていくという両面への配慮ができれば、「テーマ出題」に的確に対応する力を養うことができます。
以下、2013年度の入学試験問題の重要度(準備対策の必要度)および、難易度(得点の必要度)を示します。学習、対策の参考にしていただければ幸いです。
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、は大問の番号です。大問内の中小問について、重要度と難易度別に分類しています。
高い | 標準 | 低い | |
---|---|---|---|
Ⅰ | 問1(1) 問3 問4 問5(1)(2) 問7 問10 |
問1(2)(3) 問2 問5(3) 問6 問8 問9 |
|
Ⅱ | 問1 問2 問3 問8 問9 問11 問13 問14 |
問4 問5 問6 問7 問10 問12 |
|
Ⅲ | 問1 問2 問3 問4 |
問5 |
高い:十分な対策が必要
標準:対策が必要
低い:対策困難
A | B | C | |
---|---|---|---|
Ⅰ | 問1(1) 問5(1)(2) 問10 |
問1(2)(3) 問2 問3 問4 問5(3) 問7 問8 |
問6 問9 |
Ⅱ | 問2 問4 問7 問8 問9 問12 問13 |
問1 問3 問5 問11 問14 |
問6 問10 |
Ⅲ | 問1 問4 |
問2 問3 |
問5 |
A:確実に得点に結び付けなければいけないレベル
B:取っておきたいレベル
C:難問