SAPIXの算数において最も重要な学年です。特に割合・比を学習する夏休み以降が最も差がつく時期になります。ただ、この時期に扱う問題の難易度は、受験レベルを考えると決して高くないので、時期に応じて適切な勉強を続けていれば、学習を進めやすい時期であるともいえるでしょう。
基本的には算数Bの徹底復習と、効果的な基礎力トレーニングの継続が、学習の軸になります。
単元によってやや難易度にばらつきはあるものの、毎回のデイリーチェック(レベルH)で安定して170を超えられるような学習を心がけましょう。デイリーサピックスでは、思考力以外の★★★も解けるようにしておき、偏差値60という数字を算数の成績の下限としたいところです。
なお、サピックスで授業中に扱った解法と、サポートやデイリーサピックスに掲載されている解法が著しく異なる回もあります。そのような回に自分に適した解法を選び、身につけるのは、なかなか家庭内では難しいかもしれません。私は生徒の特徴に応じた解法を提案してまいります。
さて、私が提案する、おおよその学習リズムとしては以下のようになります。
① 授業があったその日のうちにテキストを見るだけでも良いから復習すること。
② 翌日にデイリーサポートの裏面で復習し、必ず授業内容を理解すること。
③ 土曜日と日曜日で、デイリーサピックスも併用し、その週の学習を完成させること。
④ デイリーチェックの前日は予備日とし、余裕をもった学習を心がけること。
このような計画的学習リズムを心がけることが、5年生で必要な算数の解法知識の定着につながります。もし、やむをえない事情で欠席したとしても、なんとかその週の学習を定着させることは必須です。デイリーサピックスの解法を参考にしても良いですし、質問教室で基本を教わってもよいでしょう。もちろん私も全力でお教えいたします。とにかく、その週の学習をその週のうちに完結させることを大切にしましょう。
「思いついた時に、なんとなく解いて終わり」では正直言って、基礎トレの無駄づかいです。基礎トレとは、意識を高く持って日々取り組むことで、驚くほど高い学習効果を得られる教材です。ここでは、基礎トレの効果的な使用方法を提案したいと思います。
まず基礎トレは1週間同じ問題が続くことが特徴として挙げられます。分かる問題を繰り返すことは一見、非効率的に思えますが、実はこの繰り返しこそ、桜蔭中合格に必須の、基礎知識の定着と、スピード向上のカギなのです。
まず、初回はどれだけ時間がかかってもよいので、徹底的に考え、間違えた問題を完璧に理解することが大切です。こうすれば2日目以降は、理論上はミス以外の失点はなくなるはずです。
2日目以降は、時間を計って見直しまで意識した学習を進めましょう。理解した「つもり」の問題に繰り返して取り組むことで、理解の完全定着につながり、また、自分なりの見直しの仕方も身につくので、スピードと正確性のアップにもつながります。
この際、必ず心がけてほしいこととして「毎日」「決まった時間に」とりくむことが挙げられます。受験算数には「安定」が絶対条件です。気分や体調に左右されない計算力を身につけるためには、安定した環境で解くことが必須になります。
もちろん毎日同じ時間に取り組ませることが難しいこともあるでしょう。それでも言い訳せずに、習慣にさせなければならないのが基礎トレです。私が直接、基礎トレのノートをチェックすることで、怠けることのできない緊張感を与えられたら良いかもしれません。
2・3月
5年生が始まったばかりで、4年生までの内容に不安があるならば、まずは「算数パワーアップトレーニング」の4年生編の全50回を基礎トレに加えて毎日一回ずつ、2・3月のうちに仕上げてしまいましょう。基礎トレと同じ方法で、片方を朝、もう片方を夜に取り組めると効果的です。
目標は、小学校の学年でいうところの4年生のうちに、パワーアップトレーニングを完成させることになるでしょう。
夏休み
SAPIXの算数のカリキュラムの一番の山場が夏休みです。割合・比を苦手にしてしまうと、秋以降のSAPIXの算数の速さ、図形には全くついていけなくなってしまいます。夏期講習直前の休みでBASIC(1割合)に、お盆休みにBASIC(2比)に取り組み、必ず補強しましょう。もし時間があまり取れないようならば、例題だけを定着させることも効果的な学習法となるでしょう。基本的な考え方の完全定着を図るため、私もいつも以上に丁寧な授業を心掛けていく時期でもあります。
9・10月
今までに習ったことのある「速さ」「図形」を、比・割合を用いて、さらに内容を深めて学習していきます。この時期からSAPIXの教材の難易度が急激に上がり、また発想も高度になってくるので、多くの生徒がついていけなくなる時期でもあります。SAPIXの速さの授業に並行して、BASIC(3速さ)で、補強できると良いでしょう。
私は、とにかく条件の整理の仕方を伝えていきます。この分野に関しては、まずは個性よりも普遍的な考え方を徹底させることで、今後の応用力の下地といたします。
年末年始
年末年始はBASIC(5平面図形)で相似の徹底理解を図りたいところです。この時点で平面図形の着眼の仕方を確立しておかなければ、2月からの受験生活のスタートに支障をきたすのは必至です。ただ、図形の着眼点は最も個性の出やすい分野です。解答に掲載されている方法だけではなく、個人個人の方法も、私は重視し、アドバイスを与えてまいります。
なお、5年生の間は、桜蔭中学合格に向けた特別な対策は一切不要です。答案記述力も、難問対策も6年生になってからで充分間に合います。まずは徹底した基礎力の確立と、計算力の完成を、共に目指しましょう。