受験算数において最も重要な学年です。ただ、5年生で扱う問題は、受験レベルを考えると、決して難易度は高くはないので、適切な勉強を続けていれば、成果を出しやすい時期であるともいえるでしょう。
基本的には『本科教室』の徹底による単元理解と、『計算と漢字』を用いた基礎力・計算力の定着が、学習の軸になります。カリキュラムテストは隔週ではありますが、実際はセンター模試や思考力育成テストが入って来て、毎週のようにテストがあります。そこで2週間単位の学習スケジュールではなく、あらかじめ1週間単位の学習スケジュールを組み、その週の学習内容はその週のうちに終わらせるようにしたいところです。
『本科教室』の「学びのひろばのまとめ」「オプション理解」を確実に理解し、実践できるようにしておくことは必須です。「オプション活用」は、たしかに5年生としては難易度が高いものがそろっていますが、受験レベルでみると典型問題ばかりなので、自力で答えが導けるようにしておきたいところです。
『栄冠への道』は全てを解き切る時間的余裕がないのが現状ではないでしょうか。本科教室での理解が浅い内容の類題を『栄冠への道』で扱って反復できれば充分でしょう。
予習は不要です。我流で先取り学習を進めるよりも、授業で理解した方法を繰り返すことで、基本的な解法を確実に身につけましょう。
『本科教室』で単元の理解ができても、得点に結びつかなければ何の意味もありません。得点に結び付けるには「スピード」と「正確性」が必要不可欠です。その養成に必須である教材が『計算と漢字』です。
「計算と漢字」では、時間を計って見直しまで意識した学習を進めましょう。理解した「つもり」の問題に繰り返して取り組むことで、理解の定着につながり、また、自分なりの見直しの仕方も身につくので、スピードと正確性のアップにもつながります。
この際、必ず心がけてほしいこととして「毎日」「決まった時間に」とりくむことが挙げられます。受験算数には「安定」が絶対条件です。気分や体調に左右されない計算力を身につけるためには、安定した環境で解くことが必須になります。
もちろん毎日同じ時間に取り組ませることが難しいこともあるでしょう。それでも『計算と漢字』を解くことを習慣にしなければなりません。私は直接、ノートをチェックすることで、怠けることのできない緊張感を与えることにしています。
基本的には5年生までと同じ勉強リズムで良いでしょう。6年生からは毎週となるカリテをペースメーカーとして、その週のうちに学習内容を定着させることを最優先としましょう。ただ、『本科教室』の構成が5年生とは異なることには注意が必要です。内容が「基本問題」「演習問題」「発展問題」「練成問題」に分かれますが、今まで通り全て解ききることで、各分野の徹底定着を図りましょう。
ただ、これだけでは桜蔭中合格に必要な応用力を身につけるのは困難なのが現状です。
そこで私は月刊誌「中学への算数」の併用をお勧めします。たしかに難易度の高い教材ですが、最難関中学合格に必須の算数知識を得るには最良の教材です。
具体的には「レベルアップ演習」まで取り組んでおきたいところです。余裕があれば「日々の演習」に毎日少しずつ取り組むことで、この時期から駒場東邦中レベルの難問対策をすることも可能です。その際には必ず専用のノートを用意し、答えを出すだけではなく、その経過を意識した自分なりの答案作りを心がけることが大切です。私はその答案を添削し、この時期から答案の質も高めていくことで、6年生後期の成績の向上を図っています。
なお、この中学への算数を用いた学習は、入試直前まで続けることで、確実に実力につながりますが生徒によっては手が回らないこともあるでしょう。私は個々の生徒の実力を適宜見極め、必要な課題を明確に与えてまいります。
なお、日曜日のカリテ後に日曜日特別講座が始まります。土曜日に通常授業があり、日曜日がテストと日特でつぶれてしまうと、家庭学習時間を確保できなくなることが懸念されます。もちろん日特で、さらに力を伸ばすことも考えられますが、状況によっては、弱点補強に充てた方が良いこともあります。現状を正しく理解したうえで、受講するかどうかを決めましょう。