Ⅰ | (1)アA (2)イA (3)①ウA エA ②オB |
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Ⅱ | (1)①A ②A (2)(a)①A ②A ③A (b)①A ②B |
Ⅲ | (1)アA イA (2)B (3)①B ②B |
Ⅳ | (1)B (2)①A ②B |
A:桜蔭合格を目指すなら必ず得点すべき問題
B:着眼点や解法ツールにより正答率・かかる時間に差がつく問題 ⇒ 合否を分けた一題
C:難易度や処理量から判断して、得点できなくても合否に影響しない問題
計算問題。
2018年度より計算問題は2題から1題に減りましたが、今年度も1題でした。
今年度は逆算です。桜蔭の計算問題としては特に数値が煩雑になることもなく、易しめです。
確実に正解することが求められます。
割合の問題。
「花子さんと弟が買ったお菓子の個数は、それぞれ12個ずつで等しい」
「花子さんと弟の、お店で食べる個数と持ち帰る個数がそれぞれ入れ替わっている」
という2つの条件から、お店で食べるお菓子の個数と持ち帰るお菓子の個数がそれぞれ12個ずつになっていることを、短時間で気付けたかどうかが勝負の分かれ目です。
植木算をベースとした規則性の問題。
①は、1個目のちょうちんだけ間隔が異なることに注意して、植木算の考え方でちょうちんの個数を計算します。
②は、それぞれの柱に1番近い左右につるしたちょうちんの位置を調べていきます。ちょうちんが柱から何㎝のところにあるかを調べていくと
1本目の柱の右が35㎝、 2本目の柱の左が110㎝
2本目の柱の右が25㎝、 3本目の柱の左が120㎝
3本目の柱の右が15㎝、 4本目の柱の左が130㎝
4本目の柱の右が5㎝、 5本目の柱の左が5㎝
5本目の柱の右が130㎝、 6本目の柱の左が15㎝
6本目の柱の右が120㎝、 7本目の柱の左が25㎝
7本目の柱の右が110㎝、 8本目の柱の左が35㎝
8本目の柱の右が100㎝、 9本目の柱の左が45㎝
9本目の柱の右が90㎝、 10本目の柱の左が55㎝
となります。10㎝ずつ差がつくことに気づけば、あとはそれにしたがって書き出すだけです。
調べていく過程で「規則の読み取り」という意識を持てたかどうかがカギです。
①が平面図形、②が速さと比の問題。
①は陸上トラックの距離を求め、転がした輪の回転数を求める問題です。
②は「2人とも輪を1秒1回転させる」ことから、AとBの輪の速さは毎秒150cmと毎秒120cmと
求められます。そうすると、そこから距離一定で時間の比を求めて、かかった時間の差に注目す
るという、典型的な速さと比の問題に帰着できます。
答えは 周という、桜蔭でなければ確信が持てずに不安になる数値でした。
(a)①②③は立体図形の体積と表面積。
(b)①②は図形の規則性。
(a)①②は、高さ1㎝の円柱の積み木を積み重ねてできた、高さ10㎝の円柱の体積と表面積を求める問題です。③は、問われている立体の完成形が図として与えられているので、それを見て考えることができます。積み木をずらしたときに、新たにできた面はすべて円の3分の2の面積です。新たにできた面は全部で6カ所あることを、与えられた図からもれなくとらえましょう。
(b)上から順に1個、2個、3個、・・・、と積み木を積み重ねてできた立体について。こちらについては、後ほど詳述します。
大問Ⅱまでが問題用紙1枚目で
大問Ⅲから問題用紙2枚目に入ります。
立体図形の問題。
(1)は三角形の相似を利用して、辺の長さを求める問題です。
相似な三角形の向きをそろえて考える点さえ注意すれば、平易な問題です。
(2)は指定された4つの面で囲まれた立体の体積を求める問題。
問われている立体を作図して正しくとらえる作業は、桜蔭の立体図形では必須の力です。求める三角すいの体積も、底面積が等しい2つの三角すいに分けて考える手法が必要です。
(3)①は三角形の面積を求める問題です。
辺ABを底辺としたときの高さが辺BGと等しいことがわかれば、設問(1)からつながっていることに気付けたでしょう。
(3)②は設問(2)の立体の表面積を求める問題。
設問(1)からのつながりを意識すれば、三角形ALBの高さを求めるにあたって、「3辺比が3:4:5の直角三角形」を利用できたでしょう。
Ⅳ
数の性質・不定方程式。
(1)は、「5で約分できる」ことから、分子は「3で割って1余る5の倍数」で、10、25、40、55、70、85、100、分母は「3で割って1余る20の倍数」で、40、100。「1未満」の分数であることに留意して、合計8個の分数の和を求めます。
(2)①頻出の不定方程式。3量の個数がわかっているので、3段面積図の最下段を切り取り、2量の不定方程式に持ち込むタイプです。桜蔭志望であれば、充分に対策を積んできたはず。次の設問②が、①の答えをもとに考えるため、もれなく完答すべき問題です。
(2)②10gと60gの球に書かれてあるのは4の倍数であるため、4で割ると2余るのは20gの球に書かれた数の合計ということになります。
20gの合計が最大になるのは、大きい方から100、97、94、91、88、85、82の7個を選んだとき。それぞれを4で割ったときの余り0、1、2、3、0、1、2の合計が9なので、4で割ると1余ることがわかります。合計を4で割ると2余るようにするには、4で割ったときの余りが2の82を、4で割ったときの余りが3の数と入れ替えればよいので、次に大きい79と入れ替えます。
あとは、10gと60gの合計が最大となるように、それぞれ大きい方から10gを5個(100、96、92、88、84)、60gを1個(100)選べば、最大の合計1194を求めることができます。
2020年度の算数は、昨年度と同様に、従来の大問5つ構成から大問4つ構成に変わった2018年度を踏襲し、大問4つ構成。今後もこの形式が続くと考えてよさそうです。
昨年度は得点しやすい問題と得点しにくい問題が明白で、得点しやすい問題をミスなく確実に拾い切り、そのうえで得点しにくい問題においてどれだけ加点できたか、が合否の分かれ目でした。
2020年度は問題の難易度に大きなばらつきがなく、一定の難度の幅に収まるものばかりです。極端に処理量が多い問題もなく、時間配分を誤る危険性は低いといえるでしょう。出題テーマも桜蔭頻出の範疇にあり、地道に桜蔭対策を積んできた受験生が報われやすかったといえます。
差がつく可能性があるところは、冒頭に示した【難易度分類】でのBにあたる問題。
そのうち、一見しての思い込みを排除しチェックを入れることにより、「規則の読み取り」を正しく行うことができたかで正答率に差がついたⅡ(2)(b)を、合否を分けた一題として取り上げます。
200個の積み木を上から順に1個、2個、3個と積み重ねていくので、何段まで積み重ねることができるかは、200までの範囲で最大の三角数を求めればよいことになります。
1から19までの和 (1+19)×19÷2=190 より
19段 まで積み重ねることができ、積み木は200-190=10個 余ります。
設問①でできた19段まで積み重ねた立体について、「机に触れているところ」(以下、「下の部分」と表記します)と「上から見えるところ」(以下、「上の部分」と表記します)を分けてみていきましょう。
◆下の部分
下の部分はすべて円になります。
1段目は1枚、2段目は2枚、3段目は3枚、・・・、という規則なので
19段目は19枚の円。
◆上の部分
上の部分は要注意です。一見して、下の部分と同じ円の枚数になると思い込まないように。
上の部分で見える円の枚数は、1段目は1枚、2段目は3枚、3段目は5枚、・・・、という規則。
つまり、(段数×2-1)枚 になっており、そのうち1枚だけが円で、残りはすべて円の3分の2です。
19段目は 19×2-1=37枚 で、そのうち1枚が円、残りの36枚が円の3分の2です。
1枚の円の面積を 3 とすると、円の3分の2の面積は 2 です。
上下合わせて、円が1+19=20枚、円の3分の2が36枚より
求める面積は 3 ×20枚+ 2 ×36枚= 132 です。
3 =3×3×3.14=9×3.14
よって、 132 = 9☓3.14× =396×3.14=1243.44㎠