Ⅰ | (1)①A ②A (2)①A ②A (3)A |
---|---|
Ⅱ | (1)A (2)A (3)A |
Ⅲ | (1)体積A 表面積A (2)A |
Ⅳ | (1)A (2)B (3)C |
Ⅴ | (1)B (2)B |
A…桜蔭合格を目指すなら必ず得点したい問題
B…着眼点や解法ツールにより正答率・かかる時間に差がつく問題
C…難易度や処理量から判断して、部分点狙いで答案を作成すべき、もしくはとばすべき問題
①②
お決まりの順算・逆算の計算問題が1つずつ。
2015年度と同様に、計算過程で出てくる数値の煩雑さは例年に比べると穏やかで、「煩雑なはず」と思っている受験生にとってはちょっぴり肩透かしでした。
その分、このあとの大問Ⅱ・Ⅳで煩雑な計算が控えていることなど、露知らず・・・。
①②
図形の規則性の問題。
1番目の正方形を除き、2番目の正方形から、それぞれの4つの数のうち一番小さい数に注目すると、等差数列になっています。「N番目の正方形の一番小さい数=2+4×(N-2)」という立式ができれば、①②ともにあっさり解けます。
円の転がり移動の問題。
典型題です。円の中心が動いた距離に注意しつつ、作図が正しくできれば、あとは長方形、正方形、おうぎ形の3種類のグループごとに面積を計算して合算です。
おまけのシールに関する数の問題。
連続する小数計算を行う過程で計算ミスをしたらおしまい、という大問です。
桜蔭対策の演習を積んできた受験生にとっては解き慣れたタイプの問題ですが、ひたすら小数計算を行う、「以上」「未満」「以下」「四捨五入」「切り捨て」に注意して範囲を確定する、相変わらず面倒な出題です。
設問(1)は易しすぎるボーナス問題。
設問(2)では、十の位以下を四捨五入して500になる数の範囲が450以上550未満であることは間違えようがないところでしょう。範囲の両端の450と550をそれぞれ1.08でわる計算をミスしないように。
設問(3)は、170円の3割引が119円なので、(119円×□個×1.08)の1円未満を切り捨てた金額が950円以上1050円未満ということです。
950円に注目して、950÷1.08÷119=7.3・・・ →8個
複数解があるかも、と念のため9個の場合で計算して、1050円を超えてしまうのでダメなことを確認した方が安心です。
回転体の問題。
今年度の立体図形は、正方形をつなぎ合わせた図形を回転させる典型題。
設問(1)は、体積比(1:3:5)と面積比(底面積比①:③:⑤、側面積比②:④:⑥)を駆使できたかどうか。
駆使できなかったとしても、体積は半径6cm、高さ4cmの円柱と等しくなりますし、表面積も上下から見たときの半径6cmの円2つの面積と、半径2cm、4cm、6cmで高さがそれぞれ4cmの3つの円柱の側面積を合計したものとなります。
設問(2)は、複数のアプローチの仕方が考えられます。
体積比を用いて、1+3+5+・・・+?=225=15×15 と考えていくと15番目までたせばよいことがわかるので、15×2=30個と求めてもよし。
正方形の個数と立体の体積の関係を順番に調べていくと、「個数×個数×4×3.14=体積」という式が成り立つことがわかるので、個数×個数=900より、個数は30個と求めてもよし。
どんなアプローチの仕方をとったとしても、もたつくことなく短時間で処理すべき設問です。
大問Ⅲまでが問題用紙1枚目。
大問Ⅳから問題用紙2枚目に入ります。
噴水のある池の水量変化。
大問Ⅱに続き、大問Ⅳもひたすら計算の連続。しかも、単位換算が絡むため、大問Ⅱよりもさらに緻密さが要求されます。
設問(1)は、池に入った水量と池から出た水量から、結果としてどれだけの水量が増え、どれだけ水の深さが上昇したかを求める問題。池の底面積の単位を「㎠」か「㎡」のどちらで処理するかによって、水量の単位を「㎠」か「kL=㎥」のどちらで処理するかが決まります。
設問(2)も(1)と同様。ただし、切りの良い時刻ではないため、その点に注意が必要です。設問(1)より、午前△時から午前□時の1時間で水量が500L増えることを利用すると、計算が少しラクになります。
設問(3)は、通常の水量の増減に加えて、雨による水面上昇が加わります。しかも、与えられた単位は「mm」。辛抱強く計算していきましょう。
同時に複数のことを考えるのではなく、はじめの水量、通常の水量の増減、雨による水面上昇の3つに分けて、ひとつひとつ計算していくのがミスのない方法です。
速さの問題。
このあと詳述します。
2016年度の算数は、大問Ⅰ~Ⅴという構成に変化はありません。
出題分野も、規則性、図形の移動、数、立体図形、水量変化、速さ、といった桜蔭頻出分野の範疇におさまるものばかりで、受験生にとって安心できるセットです。
問題用紙1枚目は大問Ⅱの計算が少々面倒ですが、難易度をおさえた問題ばかりです。全問正解が可能な1枚目でした。
その問題用紙1枚目の答案を埋めて、気分よく問題用紙2枚目に突入した受験生の壁になったのが大問Ⅳ。
単に水量の増減を丁寧に根気よく計算していくだけなのですが、深さ、底面積、水量の単位について、どの単位に基準をおいて単位換算を行うかで、所要時間に差がつくうえ、ミスを誘発する、厄介な大問です。
ここにどれだけ時間を費やしたか、つまり、このあとの大問Ⅴにかける十分な時間が残っていたかが勝負の分かれ目です。
というのも、大問Ⅴは、問題文がそれなりに長く、区間があったり、速さが途中で変わったり、自転車を借りたり返したり。一見すると複雑な条件設定の速さの問題のように感じますが、落ち着いて解き進めてみると、1区間にかかる時間で処理できる、A~C3人の出発時刻はそろっている、BとC、AとC、いずれも速さが変わる前に出会っているなど、案外素直な条件設定にしてくれていることがわかります。速さと比の演習を積んできた受験生であれば、そのあたりを読み取り、うまく解き切れる大問になっています。
この「落ち着いて」解き進めるだけの時間的余裕、精神的余裕があったかは、前問のⅣにどう対応したかにかかっています。思いきってⅣをとばし、「落ち着いて」Ⅴに取り組んだあとに、Ⅳにもどるという作戦が功を奏した受験生が少なからずいたようです。
では、2016年度の合否を分けた一題として、その大問Ⅴを取り上げます。